コンテンツマーケティングに取り組み始めたばかりなら、これから何回もこんな言葉を聞くことになります。「コンテンツマーケティングの戦略を文書化しているマーケターは5倍成功しやすい」。
もし、コンテンツマーケティングのベテランならば、こう考えるかもしれません。「この言葉は耳にタコができるほど聞いたけれど、何を言おうとしているのだろう。達成したいことは明確。では戦略をどのようにドキュメント化すれば、実際に役立つというのだろうか」。
端的に答えるならば、「コンテンツマーケティングの戦略ドキュメントがあることで、よりスマートに、効率的かつ効果的に活動することができる」となります。
コンテンツの戦略を文書化するという行動そのものによって、あなたとステークホルダーは同じ方向を見ることができるようになります。コンテンツマーケティングの目標、その目標を達成するまでのステップ、成功をどのように計測するかを定義します。良いコンテンツ戦略は、ビジネスの課題と、その解決のためにコンテンツをどのように有効活用するかを明確にするものなのです。
事実、コンテンツマーケティングの戦略を文書化するということは、非常に重要なので、NewsCredメソッド(コンテンツマーケティングの成功のための方法論)の最初のステップにもなっています。
コンテンツマーケティング施策を立案・調整する際に考慮すべき要素は何百と(何千とまではいかないにしても)あるので、このガイドはいくつかの最も重要な要素にフォーカスするのに役立つはずです。コンテンツマーケティング施策のあるべき姿についての考えを整理し、チーム全体を従わせることができるような、包括的なコンテンツ戦略の文書にそういった考えをまとめる方法を身につけることができます。
編集可能なコンテンツマーケティング戦略テンプレートをダウンロードしましょう。読み進めながら作成することができます。
このフレームワークはコンテンツマーケティングの戦略の重要な要素を説明するために使います。そうすることで、行動の指針となり、課題対処の助けとなるのに十分強固な文書を作成することができます。
「なぜコンテンツマーケティングを行うのか。何を達成したいのか」。
誰もが、あなたのコンテンツ戦略ドキュメントを読む前でさえ、このような質問をするでしょう。つまり、こういった質問に答えるために最初の数ページを費やすことが重要なのです。
ここでは、コンテンツマーケティングの役割と目標を決めます。コンテンツマーケティングによって、どのような問題を解決しようとしているのか。そしてなぜ今その問題解決を行うべきなのかも明記しましょう。成功とは何か、計測すべきKPIを決めます。コンテンツ戦略に関わるステークホルダー全員を集め、共通の定義、共通の視点を持つようにしましょう。問題解決に取り組む前に、ビジネスの相対的な長所と短所を整理する必要があります。
このセクションでは、次の質問への回答を述べましょう。
次の質問は「コンテンツマーケティングが顧客の役に立っていることをどのようにして知るのか。コンテンツマーケティングがうまく機能していることを裏付けるためのどんな情報を持っているのか」です。
コンテンツ戦略のこのセクションでは、オーディエンスについての情報を、ステークホルダーに響く状態でまとめる必要があります。
オーディエンスを定義するにあたって、オーディエンスの行動を喚起するようなコンテンツを作るのに役立つ考察を得るために、キーワード、デモグラフィック、顧客データが有効なのかを検討しましょう。これらの考察は、オーディエンスを類型化されたペルソナではなく、人間として扱うために使います。人にはそれぞれの問題があり、目標があります。だから、どうしたら、彼らについてより深く知ることができるかということは、彼らの持つ疑問に答え、問題を解決するコンテンツを作るためには重要だということになります。
(コンテンツマーケティング戦略テンプレートはこちらからダウンロードできます)
ここまで、コンテンツマーケティングでどのようにビジネスを推進させるのかを定義してきました。必要な調査を実施し、オーディエンスは誰か、彼らが(同時にブランドが)ゴールを達成するためにコンテンツがどのように役立つのかを決めるための関連データを分析しました。
次は、実際に、定期的に高品質なコンテンツを作るための計画を立てましょう。まずは、2つの質問に答えてください。「何について話そうとしているのか」「実際にコンテンツを制作するのは誰か」。
何について話そうとしているのか
ブランドの立場からは、読者に対する話題は慎重に選ばなければなりません。
一例を挙げれば、NewsCredでは、コンテンツマーケティングに関する話題を選んでいます。私たちはコンテンツマーケティングを専門とする企業なので、コンテンツマーケティングの話題に対する意見を持っていることは妥当でしょう。逆に言えば、たとえば、私たちはマーケターへの最初のインタビューで、すてきな服装については語らないということです。このような話題は、オーディエンスにとっては重要な話かもしれませんが、私たちが提供できる価値からは外れたものです。こういった話題は、私たちをマーケティングリーダーというよりは、ファッション業界のパブリッシャーや、小売り業、キャリアコンサルタントと同じカテゴリーに属させてしまいます。
この方法では、ブランドが取り組みたいと考えているトピックを考えることが重要です。そのトピックにおいては、会話の価値が高まるような意見を述べる権利があると見なされるのです。
ブランドが視点・観点を語ることができ、また語るべきトピックを決めたら、今度はそのトピックを整理・グループ化して、階層構造にまとめましょう。
これによって、コンテンツピラー、サブピラー、つまりコンテンツの柱と、補助となる柱を作り出すことができます。階層化は、コンテンツハブのナビゲーションとして機能し、内部的にはタグ付けのルールとなって、コンテンツを見つけたり、索引化しやすくできます。
これで、重要性がランク付けされ、お互いの関連度合いによってグループ化されたトピックが手に入りました。では、制作するコンテンツはどのようなものになるでしょう。
公開しようとしているフォーマットについて考えましょう。考えられる素材として、たとえば10本のライセンスドコンテンツを選び、4本の動画を制作し、オリジナル記事は2本制作しているとします。戦略ドキュメントでは、各フォーマットの価値や、関連するゴールに対して、各フォーマットをいつ、どのように利用するのかについて述べましょう。各フォーマットが「ビッグロック」な課題(オーディエンスにとって重要でなおかつブランドのコアとなる話題)に取り組む継続的な戦略に、どのように適合するのかが、コンテンツ戦略上で示す必要があります。
下図は、コンテンツを都度都度制作する場合と、コンテンツを拡張し、価値の波及効果を生み出しうる構造にもとづいたフォーマットで制作する場合を示しています。
都度都度のコンテンツ制作から、継続的なコンテンツ戦略にもとづいた制作に
実際にコンテンツを制作するのは誰か
編集的なアイデアは、アイデアを実行する担当者が割り当てられて初めて力を持ちます。役割と責任、そしてコンテンツを発行する前にすべてのことが考慮されたということを確認するための、チーム全体が従うべきプロセスを明確にすることは不可欠です。コンテンツ戦略で考慮し、まとめておくべき役割と責任は以下のようになります。
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ブランドで、ワークフローを遂行するための適切な役割と責任を明確にしようとする際にしばしば直面する問題には、次のようなものがあります。
コンテンツ戦略のこのセクションでは、プロセルとワークフローを主に考えましょう。そして、問題が発生したときに潜在的な緩和策が取れるか確認しておきましょう。
抜きん出たコンテンツをどのように作るか。
語るべき一般的なトピックや話題は明らかになりました。コンテンツを制作するのに、誰に向けて語るのかも明らかになりました。けれども、どうやってトピックや話題を実際の記事やヘッドライン、動画やSlideShareといった形にしていけばいいのでしょう。
一番良い始め方は、ブレインストームです。一流の出版社のように、顧客を理解している創造的な仲間を集め、アイデアを書き出しましょう。ヘッドライン候補とフォーマットのリストを持っているならば、それらをコンテンツの階層に配置してみましょう。このアイデアは小さな話題に分割できる「ビックロック」になることができるでしょうか。
トピックやフォーマットに関連するアイデアを作る際は、クリエイターが遵守すべきガイドラインを考えましょう。スタイル、トーン、ボイス、引用のほかに、企業とビジネスに関連する重要な要素の編集ガイドラインを作成することで、それに従うことの統一意識が生まれます。コンプライアンスや法令など、抵触してはいけない事項があれば、そこは強調しておきましょう。加えて、品質チェックリストを作成して、コンテンツが公開基準をクリアしているかも考慮しましょう。編集ガイドラインを料理本の材料と考えましょう。ライターがブランドコンテンツのレシピをいろいろ作成できると信じたいですよね。ライターに包括的なガイドラインを渡すことで、それを実現可能にするのです。
ここまでの準備ができたら、コンテンツがオーディエンスの元に届くまでのスケジュールを可視化する編集カレンダーに、制作コンテンツを書き込みましょう。編集カレンダーでは、以下のような考慮すべきコンテンツの各要素が記載されます。
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NewsCredでは、有料チャネル、オウンド、またはアーンドチャネルの相対的な長所短所を考慮してコンテンツ配信の戦略を立てることは、私たちのクライアントにとって不可欠なことであると考えています。もし世界一のコンテンツを持っていたとしても、それに見合った強力な配信計画がなければ、誰の目にも留まらないからです。
コンテンツと、各コンテンツの目的に最適なチャネルを作るための初期計画を作りましょう。
有料メディアを使用する場合、その予算をどこから捻出するか、明らかにしましょう。そしてコンテンツを効率的に配信するために、なぜその有料メディアを使用するのかを説明しましょう。メディアのテストを実行する場合、提供された指標を最後に追記しましょう。そうすることで、戦略を読むことで、費用を調整できます。
コンテンツ戦略の末尾にあるとはいえ、これは非常に重要です。
ROIを計測することは、補足的なものではありえません。コンテンツマーケティングの取り組みが実際に目標達成に役立っているのかを知るための唯一の方法なのです。また経営層から、施策の継続承認や追加予算を得るための唯一の方法でもあります。
NewsCredでは、計測フレームワークを埋めていくことを推奨しています。この1ページのロードマップはNewsCredメソッドと連動しながら、ファネルの各段階におけるコンテンツマーケティングのKPIを追跡し、さらにこのKPIをモニタリングする技術や依存関係を特定するのに役立ちます。
(コンテンツマーケティング戦略テンプレートはこちらからダウンロードできます)
KPIを追跡するときは、考察を行い、より多くのターゲットオーディエンスが、段階的に利益を生み出すビジネスアクションにつながるような適切なコンテンツをしっかり読むように最適化しましょう。ここまでで作ってきたすべてのことが必要です。配信チャンネルを経由したサイトへのトラフィック、読者に価値を与える高品質コンテンツが適切に蓄積されたライブラリー。来訪者の行動を促進させるように最適化されたコンテンツハブを持つ必要もあります。これはコール・トゥ−・アクションやメールニュースの登録ボタンを適切に設置することを意味します。UXはサイトのパフォーマンスに影響します。なので、読者のジャーニーを通してアクションが可能となるようにし、なおかつ行き止まりにならないようにしましょう。サイトに人を集め、コンテンツを読んでもらうのは簡単でありません。それができたとしても、次の直接的なアクションがなければ、呼び込んだ人を失ってしまいます。つまり潜在顧客の注意を引くことができなくなるのです。
素晴らしいコンテンツマーケティング施策をどのように構築・実行するのか。そのことについて深く考えられたコンテンツ戦略を文書化することは、至難の業です。自分を褒め称えましょう。
これでコンテンツマーケティング戦略のドキュメントを手にすることができました。作業は完了です。素晴らしいアイテムのための段階的なアプローチ、タイムライン、プロジェクトを作り、必要なステークホルダーも巻き込みました。これはあなたの計画を発表する最後のステップです。もし現実的なタイムラインに当てはめず、この計画に実際の人を参加させなければ、あなたの苦労は水の泡です。責任を明確にすることで、ドキュメントを機能させましょう。
何かご質問のある方、あるいはこの中のどれかひとつでも自力で行うには重すぎる、という場合は、NewsCred by amanaの専門スタッフがお手伝いします。お気軽にご相談ください。
この記事は2016年11月に公開された後、2018年1月に更新しています。
元記事「How to Create a Documented Content Marketing Strategy」は2018年2月1日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はNewsCred BlogのShreya Kumarが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。
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