ビジネス活動のあらゆるシーンでコンテンツの需要が高まっています。コンテンツの開発に対する投資額は増加の一途をたどっており、PQ MediaによるGlobal Content Marketing Forecast 2017によれば、2016年には2兆ドル超だった世界のコンテンツへの投資額は、5年後の2021年には2倍の4兆ドル超に達すると予想されています。
また、Googleも、今年の3月に実施したアルゴリズムのアップデートに対して「素晴らしいコンテンツを作リ続けることに注力する以外には、順位が下ったページへの対処方法はない」とツイートしており、検索上位を獲得するためにコンテンツの質のみならず量が重要であるということを示しています。検索上位に位置しないコンテンツは、オーガニックのオーディエンスを得ることが期待できなくなるので、どんなにそれが良質のコンテンツであっても、誰も消費することのないコンテンツ、存在しないも同然のコンテンツと化してしまいます。したがって、私たちがコンテンツマーケティング施策を推進していくにあたっては、「質」の高いコンテンツを、適切な「量」用意し、それをオーディエンスに届けられるか—ということが死活問題となります。
There’s no “fix” for pages that may perform less well other than to remain focused on building great content. Over time, it may be that your content may rise relative to other pages.
— Google SearchLiaison (@searchliaison) 2018年3月12日
コンテンツの量を追求するというとき、多くの企業やブランドはTVCMからのスピンアウトコンテンツや、出版社とのタイアップ、社員によるブログ記事といった手法をとることがほとんどです。もちろんこれらの手法も、自社製品、ブランドストーリーを語るという観点からは重要な制作手法なのですが、製品の作り手やブランド側からの視点に偏りやすいという問題があります。
コンテンツマーケティングという手法が広まった背景の一つには「顧客は、企業・ブランドの“売りつけよう”という意志を感じたら、顧客は逃げてしまう」という考え方があります。もちろん購買の一歩手前で迷っているオーディエンスに対して製品の説明は必要ですが、最初から売ろう売ろうという語り口で潜在顧客に近寄ると、その人は逃げ出してしまい、結局は顧客にならない可能性の方が高くなります(ウィンドウショッピングのつもりが、店員さんに商品を強く勧められて辟易した経験、ありますよね)。相手がカスタマージャーニーのどの段階にいるか、に応じて語るべき内容は違うのです。
語るべき内容が異なるのであれば、当然、コンテンツの開発手法も異なります。NewsCredでは、考え得るさまざまな開発手法を整理し、目的に応じて採択するためにコンテンツ開発の「3つのC」を提唱しています。クリエーション(Creation)、コラボレーション(Collaboration)、キュレーション(Curation)の3つです。
クリエーション(Creation)
クリエーションによって制作されるコンテンツは、購入の検討段階にいたり、すでに一度購入している顧客を対象とすると非常に効果的です。クリエーションとは、ブランドの視点で、ブランド自身が一からコンテンツを作ることを意味します。ブランド自身が制作を行うので、ブランドや製品を深く理解していないとわからないこと、ブランドや製品側の視点を語ることが可能になります。したがって、購入するための最後の一押しであったり、顧客を、ブランドに巻き込んでさらなるファンになってもらうという目的に適しているのです。ただし、適切にブランドを語る、製品を語るということを考えると、コンテンツの制作に時間がかかり、コストもその分高くなるケースがほとんどです。
コラボレーション(Collaboration)
コラボレーションとは、文字通り、外部の専門家の協力によってコンテンツを制作することです。ブランドの目線が入るとはいえ、外部専門家がブランドを客観的に見ながら制作を進めるので、信頼感を生み出すのに適しています。雑誌とのタイアップ記事や大学教授や研究者からの寄稿などがこれに当たりますが、関わる人員が増えがちなのでクリエーション以上に制作に時間がかかりやすく、タイアップ相手との調整など、制作コストとして見えにくい部分のコストが高くなるケースが多くなります。
キュレーション(Curation)
キュレーションとは、すでに一般公開された外部のコンテンツを、ブランド独自の目線で選定して自身のコンテンツハブに掲載する方法です。これらのコンテンツは、ライセンスドコンテンツ、シンジケーテッドコンテンツなどと呼ばれます。もちろん勝手に引用するのではなく、適切なライセンス手続きの元に掲載をする必要がありますが、コンテンツハブの戦略やテーマに合致しているのであれば、この手法には大きなメリットがあります。一番のメリットは、既存のコンテンツを利用するので制作期間を非常に短くできること、そして費用も抑えられることです。また、コンテンツハブ上に、扱うテーマについての記事が集約されるので、テーマについて広く情報を探しているような潜在顧客層に、役に立つサイトとして認知してもらうことができます。そして、ターゲットとするオーディエンスが、どのような興味や関心を持っているか? を知るためにこのアプローチは非常に有効です(幅広い興味や関心に対して、一から独自にコンテンツつくることは、とても大変ですよね)。NewsCredでは、パブリッシャーネットワークを構築しており、キュレーションで利用することが出来るライセンスドコンテンツのストックと、コンテンツハブへの配信ソリューションを提供しています。
3つのC、クリエーション、コラボレーション、キュレーションによって制作されたコンテンツには、それぞれの向き不向きがあります。したがってコンテンツマーケティングの戦略を考えるにあたって、どのコンテンツをどのように使うか考えることが重要になります。オーディエンスの顧客化というカスタマージャーニーを考えてみましょう。まずキュレーションによってオーディエンスを集め、コラボレーションによってエンゲージメントを高め、オーディエンスのファン化を狙います。そして、クリエーションによってファンを顧客にコンバージョンさせます。このようにカスタマージャーニーは、マーケティングファネルとして考えることも可能です。この場合、ファネルの大きさが、そのままそれぞれのコンテンツの量にも一致することになります。すなわち潜在層であるオーディエンスを集めるために、キュレーションにより安価なライセンスドコンテンツの量をそろえ、ファネル中段・下段と進むにつれて、ブランド、製品について、量はなくても質の高いコンテンツを用意する、ということです。「3つのC」を活用することで、コンテンツハブ上のコンテンツの質も量も担保されるのです。
「3つのC」によって、コンテンツハブ上にコンテンツを定期的に制作すると、これらのコンテンツは「群」としても機能し始めます。つまり一つ一つのコンテンツの価値だけではなく、お互いのコンテンツが相乗効果を持ち、コンテンツハブ全体としての価値が高まるのです。信頼できる高品質な情報がたくさん存在するサイトとして認識されれば、検索エンジンの上位に位置でき、新規のオーディエンスの増加にもつながります。マーケティングファネルの各段階に応じたコンテンツが揃っているので、彼らはそこからファン化、顧客化します。このようなコンテンツハブを用意できれば、多大な広告出稿費に頼る必要もなくなり、施策全体のROIも向上する、それが現代的なコンテンツマーケティングのメカニズムです。
コンテンツマーケティング施策は単なる認知や集客だけを目的としてスタートすることになりがちですが、運用を続ける中で最終的に求められるのはビジネスの成果。「3つのC」で、より広い視野で、より体系立てて、より効率的に、「ビジネスの成果」をあげるコンテンツマーケティングが可能になるのです。
釜田 俊介はアマナのコンテンツマーケティングアドバイザーです。
amana Content Marketing
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コンテンツマーケティングの本場であるアメリカで、業界を牽引するリーディングカンパニーであるIndustry Dive。国内唯一の独占パートナーであるアマナがその集合知を活用し、成果へと繋がるコンテンツマーケティングをサポートします。
企業が抱える課題に沿って、戦略策定からチーム構築、コンテンツ制作、効果測定まで、コンテンツマーケティングの運用をトータルで支援します。