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日常的に目にする広告について考えてみてください。不気味なほど自分だけのためにカスタマイズされたようなものがあることに気がづきませんか?2024年の今、世界中のデマンドジェネレーションマーケターは、ターゲティングとパーソナライゼーション戦略の強化に全力で取り組んでいます。
実際、studioIDによる最近の調査ではデマンドジェネレーションマーケターの60%が、ターゲティングを最適化し、ふさわしいリードにリーチすることが自社の最優先事項であると回答しています。
さらに34%は、よりパーソナライズされた施策に注力していると回答しました。
しかし、ターゲティングとパーソナライゼーションの両方の取り組みは、これまでサードパーティのCookieに大きく依存してきました。2024年、これらのCookieは急速に廃止されつつあり、スピーディな改革を迫られています。
その解決策とは?Cookieの廃止によって生じた隙間を埋め、顧客にメッセージを確実に届けるためには、今こそ自社のファーストパーティデータに目を向ける時です。
ファーストパーティデータとは、企業が自社のチャネルで収集したデータを指します。例えば、自社サイトへの訪問や取引、ニュースレターの購読者、SNSのフォロワーなどから得られるデータです。自社のチャネルで収集されたデータであれば、それはファーストパーティデータということになります。
マーケターは、ファーストパーティデータ基盤の構築と主要顧客との関係強化に注力すべきです。このような、顧客から同意を得てデータを収集するマーケティングへの移行は、Cookieのない将来に対応し、意欲的な顧客を育成することで競合優位性をもたらします。
— Megan McCoskey、Industry Dive社製品担当バイスプレジデント
ファーストパーティデータを収集・分析する方法を知れば、それを使ってカスタマージャーニーをマッピングし、インテントデータ(ユーザーが「現在」どのような関心を持っているかを示す情報)を把握できます。そして何よりも、最適なタイミングで顧客にパーソナライズされたコンテンツを提供することができます。
ファーストパーティデータを収集し、活用するための最も効果的な方法と戦術を紹介しましょう。
ファーストパーティデータを確実に収集できる場所として、真っ先に思い浮かぶのが自社のWebサイトです。ここには、情報収集を目的とした極めて購買意欲の高い見込み顧客が集まっているはずです。ここでは、トラフィックとエンゲージメントの2つに焦点を当てる必要があります。
自社のWebサイトでより多くのトラフィックを獲得し、より多くのエンゲージメントデータが蓄積されれば、コンテンツ制作のベースとなるデータを得られるでしょう。
以下は、Webサイトから直接収集できるファーストパーティデータの例です。
・ページビュー…どのページが注目されているか?
・平均セッション時間…サイトにどれくらいの時間滞在しているか?
・再訪問者…サイトに戻ってきたユーザー数は?
・ページ滞在時間…最長/最短の滞在時間はどのページか?
・スクロールの深さ…ユーザーはどこまで深くコンテンツに興味を持っているか?
・上位の離脱ページ…どのページでサイトを離脱しているか?
見やすいページ設計と分かりやすいCTAで、WebサイトのUIUXを最適化しましょう。Googleアナリティクスなどのツールを使ってユーザーの行動をモニタリングし、ポップアップを設置して顧客情報を取得しましょう。
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顧客インタビューは、顧客に関する定性データを提供してくれます。
潜在顧客と話すことで、仮説を検証できます。あなたの仮説は間違っているかもしれませんが、それは全く問題ありません。耳を傾け、理解し、インサイトを発見することが目的です。偏見を持たない限り、インタビューの失敗などありません。
— Ladder
チームメンバーと協力して、顧客インタビューの質問リストを考えましょう。
・ペルソナを強化する必要がある場合
▷顧客の職業、責任範囲、課題について聞いてみる。
・他社との違いや自社の強み(USP)を知りたい場合
▷他社ではなく自社を選んだ理由や、自社を選ぶ中で最も価値を感じている点を聞いてみる。
・サービス拡大の可能性を検討している場合
▷自社で取り扱っていたらうれしいものを顧客に聞いてみる。
・カスタマージャーニーについてもっと知りたい場合
▷顧客がサービスを選択する際の意思決定プロセスについて聞いてみる。
・現在提供しているサービスの不足している部分を知りたい場合
▷自社サービスの満足度が最も低い点、改善方法について率直なフィードバックを求める。
・顧客からどう評価されているかを知りたい場合
▷自社の製品やサービスが、どのような問題を解消しているのかを顧客に説明してもらう。
・顧客の最終的な目標を知りたい場合(BtoBの場合)
▷自社との取引における成功とは何か、また達成しようとしているKPIは何かを尋ねる。それにより、他の見込み顧客に対しても、自社の提供サービスが顧客の目標をどのように支援できるかを示すことができる。
質問は丁寧かつオープンエンドなものにすることで、豊富なデータを得ることができるでしょう。得られたデータは、より充実したコンテンツを作成したり、さまざまなペルソナに向けたメッセージをパーソナライズしたりするために活用できます。
データは、常に再利用の価値を考えましょう。相手の同意を得た上で適切にデータを用いることで、顧客インタビューを本格的なケーススタディに昇華して同業種の人々を引きつけることができます。
ファーストパーティデータ取得の方法として次に合理的なのは、アンケートを作成して配信することです。この方法を使えば、特定のグループから大量の定量データを集めることができます。顧客アンケートを実施して既存顧客の動向を把握することも、ソートリーダーシップスタイルのアンケートを実施して、顧客だけでなく広くオーディエンスに公開することもできます。さらに詳細なデータを得るために、さまざまなグループを組み合わせたり、分割したりすることも簡単にできるでしょう。
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・アンケートは短くまとめる(最大10問)
・誘導質問をしない
・可能な限り、プルダウンや順位選択、点数システムを使用する
・参加率を最大化するためにインセンティブを提供する
・公平なデータを確保するためにbotや不適切な参加者を除外する
目的は、顧客の回答を定量化して、さまざまなコホート間のトップトレンド、課題、共通点を明らかにすることです。
さらに労力をかけて、対象となるすべての顧客の中で、さまざまなペルソナまたはセグメントに合わせた独自のアンケートを作成・配信しましょう。こうすることで、異なるセグメントに1対1で対応するデータが得られるだけでなく、各セグメントの共通点を評価する機会も得られます。
最初の3つの方法を除けば、SNSはファーストパーティデータを収集するのに最も効果的なチャネルかもしれません。ただし、すでに乱立しているこのSNSチャネルに参入するなら、それ相応のものを作る必要があります。
SNSのアルゴリズムは、個人アカウントであれビジネスアカウントであれ、質の高いコンテンツと継続的なエンゲージメントを評価します。ターゲットユーザーを絞りコンテンツを定期的に配信することで、どのトピックが最も反響を呼んでいるかを追跡できるようになります。
もう一つの戦略は、ターゲットユーザーが積極的に集まるコミュニティやグループを特定することです。
ディスカッションに参加し、貴重なリソースを共有し、コミュニティ内で信頼できる権威としてブランドを確立することによって、こうした場所に積極的に関わりましょう。
ほとんどのプラットフォームには分析が可能なダッシュボードが組み込まれており、どの投稿がターゲットユーザーに最も反響があるか、貴重なインサイトを見つけることができます。
しかし、覚えておくべき点は、SNSは貴重な露出機会を提供してくれますが、最終的なゴールはこのトラフィックを自社のWebサイトに呼び戻し、ユーザーの行動についてさらに深いインサイトを得ることです。
フォロワーリストに潜む素晴らしいインサイトを見逃さないでください。フォロワーを監査して何か推論や共通点を発見できないか、あるいは営業のABM施策のヒントにならないか見てみましょう。
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何が顧客との対話のきっかけになるのか気になりますか?それなら、コールドアウトリーチ(潜在顧客へのメール)を研究してみましょう。件名やメールの構成などに細心の注意を払うことで、特定のペルソナに響くパターンを見つけることができます。
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これはまた、アウトリーチ戦略を洗練させ、最大の味方である見込み顧客や顧客との協力関係を強化するという副次的な効果もあります。
ファーストパーティデータがマーケティングを成功へ導く明確な道筋である以上、企業単位で購買ポイントを探すようにしましょう。営業担当と早い段階でミュニケーションをとり、見込み顧客とのエンゲージメントをさらに高める方法を見つけましょう。また、オープンかつダイナミックな対話を心がけてください。
— Connor Flanagan、Industry Dive社 レベニューマーケティングディレクター
SNSからのアウトリーチ、コールドコール(テレアポ)、メールを組み合わせ、複数のチャネルでタッチポイントを用意しましょう。メールの場合、分かりやすくパーソナライズされた件名を設定し、自社が解決できる課題や、提供しようとしている価値が一目で分かるようにしましょう。
メール本文を作成する際は、各段落は1~2文にとどめ、読みやすく価値のある情報を伝えるようにしてください。相手の役職や所属部署に直接関連するインサイトやアイデアを提供できれば、なお良いでしょう。最後に最も重要なことですが、CTAやリクエストは明白かつ「イエス」と答えやすいものを心がけてください。
もちろん、ペイドメディアでのキャンペーンは、前述の戦略とは異なり貴重な予算を消費しますが、それでも顧客がどこに集まり、何が注目を集めるのかを検証するには最適な方法です。
さまざまなチャネルで戦略的にキャンペーンを展開することで、顧客の嗜好性の検証や、効果的なメッセージング、マーケティング戦略の最適化を図ることができます。
以下に、検討に値する有料キャンペーンをいくつかまとめました。
ペイドサーチとは、リスティング広告など検索連動型広告からの流入を指し、ペイドサーチを使用すれば、ユーザーの意図に直接働きかけることができます。この戦略の利点として、広範囲へのリーチ、消費者行動や市場動向に関するリアルタイムでの可視化や実用的なインサイトの取得などがあげられます。
SNSで実施する有料のプロモーションからの流入を指します。マーケターは各SNSプラットフォームのターゲティング機能を活用し、ターゲットの嗜好性、コンテンツ戦略全体の効果に関する詳しいインサイトを得ることができます。
プログラマティック広告は、リアルタイムで広告枠の売買を自動化するプロモーション施策です。この方法では、マーケターは効率的なターゲティング、最適化、他では効果が得られない可能性のある複数のチャネルにおいて、顧客の行動に関するインサイトを取得することができます。
最初からこうしたキャンペーンタイプにまんべんなく予算を投入してはいけません。これらの施策は、一つのダッシュボード上の異なるダイヤルとして考えてください。まず、自社のペルソナやその他のファーストパーティデータセットから、顧客がどこに集まるのか、独自のカスタマージャーニーなどについて何が分かるかを考察しましょう。
そのインサイトを使って、どのダイヤルを上げ、どのダイヤルを下げるか(あるいは全くダイヤルを回さないか)を戦略的に判断します。小さなことから始め、継続的に最適化と検証を重ね、顧客の行動にマッチした賢明な投資を行いましょう。
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イベントやポッドキャストはコストと時間がかかり、アトリビューション(間接効果)が発展途上であるためにリスクを伴いますが、マーケターには人気の戦術です。重要なのは、この方法でのROIをファーストパーティデータに結びつけられるかどうかです。イベントもポッドキャストも、適切に実施されれば、オーガニックなやダイレクトトラフィックを改善する多くの可能性を秘めています。
ポッドキャストの場合、有益なインサイトを得るためにはフォームや登録ページを活用し、「どうやって私たちのことを知りましたか?」という質問を盛り込むといいでしょう。
これにより、どのリードがポッドキャスト配信を通じて自社を発見したのか、またコンテンツのどの部分が購買意欲の高いリードに響いているのかを知ることができます。
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イベントの場合、アトリビューションの追跡のために利用できるツールはさらにあります(コンタクトリスト、登録者リスト、リアルイベントの入場証など)。いずれにせよ、イベントを主催する際には、リードの追跡、絞り込み、育成のための明確なプランを常に用意しておく必要があります。
当然ながら、すべての見込み顧客やリードを把握できるわけではないため、イベントがどのように注目を集め、コンテンツを再利用する機会を提供し、さらに先の会話をもたらすのかを考えてみるのもいいでしょう。
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人々がイベントに参加したり、ポッドキャストを視聴したりする最も一般的な理由は情報収集です。これらのコンテンツタイプはファネルの下に位置するものではありませんが、それでもターゲットオーディエンスの心に刺さるトピックを発見し、営業担当に接触する前にどのような情報を望んでいるかを知るのに非常に役立ちます。
イベント開催の前には必ず、各リードにポイントを割り振るリードスコアリングシステムを作りましょう。これには、SNSでのインタラクション、ダウンロードされたコンテンツ、サイト訪問、以前に参加したイベントなどが含まれます。
このような情報があれば、どのリードが十分なインタラクションを行ったかを分析し、購買意欲が高いリードを絞り込むことができます。もしこのような情報がなければ、営業チームは間違いなく、購買に至る準備ができていない顧客を追いかけることになるでしょう。
それは、貴重なリソースを無駄にするだけでなく、もう少し時間をかけてコンテンツで育成すれば購入の準備ができたであろう潜在的な顧客を遠ざけてしまうリスクもあります。
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自社が保有するチャネルを活用したデータ収集についてお話ししてきましたが、他の企業もファーストパーティデータを保有しており、そのデータも活用できることを知っておいてください。
ベンダーがデータやコンタクト先を売ってくれるわけではありませんが、豊富なファーストパーティデータを持つ組織と戦略的パートナーシップを結ぶことで、潜在顧客を取り込む道が切り開かれます。
セカンドパーティデータの活用を決定する際は、必ず以下の点を確認してください。
オーディエンスの属性や関心が自社のターゲット市場とぴったり一致しているパートナーを探しましょう。これによって、実施する施策がオーディエンスにとって適切で魅力的なものになります。
提携パートナーがプライバシーに関する法律や規律を遵守していることを確認しましょう。パートナーシップを通じたファーストパーティデータの使用は消費者の信頼を維持し、法律を遵守するために、例えばGDPR(EU一般データ保護規則)、CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)など、プライバシーの枠組みに準拠する必要があります。
パートナーとコラボレーションして、オーディエンスの興味やニーズに合わせたキャンペーンを作成しましょう。パートナーはファーストパーティデータを全面的に把握しているため、過去の成功事例をもとに、自社のキャンペーンをどのようにカスタマイズすればよいか、エビデンスに基づいて考えることができます。このカスタマイズにより、エンゲージメント率とキャンペーン効果を高めることができます。
目標に向けた明確な指標を設定し、キャンペーンのパフォーマンスを継続的に測定しましょう。これらのインサイトを活用して、今後のキャンペーンを最適化し、より良い結果を導きます。
ファーストパーティデータ戦略を構築する際は、どのセグメントに賭けるか、そして現在の運用状況を考慮して、どれが最も信頼できるものなのかを検討する必要があります。
チームや組織の成熟度から考えて、現在でも意味のあるキャンペーンもあれば、将来の目標として取り組むべきキャンペーンもあるでしょう。
いずれにせよ、マーケティング戦略を多様化することが、成功への近道となるでしょう。
この記事は、Max Donaldsonが執筆し、Industry DiveがDiveMarketplaceを通じてライセンスを取得したものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。
元記事「A Cookieless World: 7 Ways to Get First-Party Data for Targeting & Personalization」は2024年3月18日にstudioID’s insights blog – springboardに掲載されました。
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