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収益性の高いインフルエンサーマーケティングは、近年流行りのマーケティング手法です。しかしここ数ヶ月で、インフルエンサーではない「実際の顧客」が、消費者に対して最も影響を与える存在として再び重視されています。
インフルエンサーマーケティングが台頭した頃、消費者は従来の広告に対して不信感を抱いていました。そのため、インフルエンサーは、より身近で信頼できる存在として消費者に受け入れられ、急速に成長しました。Forbesによると、インフルエンサーマーケティングの規模は2,500億ドルにまで成長しています。しかし今、その信頼は失われつつあります。
2024年に1,000人を対象に行われた調査によると、消費者の53%がインフルエンサーのコンテンツを信用していないことが分かりました。
例えば、ラグジュアリーなブランドインフルエンサー旅行など、ブランドが提供するインフルエンサーへの豪華なサービスに対して批判が高まっています。これは、マーケターにとって注意すべき事例です。インフルエンサーも、このような華やかさには意欲を無くしており、本物らしさや透明性、社会的大義を求める消費者とブランドの動向が矛盾していると訴えています。
一方、Waterboyのような一部の企業はこうした世の中の声にいち早く気づき、インフルエンサーではなく、実際の顧客に焦点を当てています。その理由を詳しく探ってみましょう。
専門家によれば、この価値観のズレは、私たちの社会が「帰属意識の危機」の真っ只中にあり、経済的な悲観主義が強まっていると言われています。こうした社会の変化により、実際の顧客がより大きな影響力を持つ流れが生まれました。
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ミームにもなったことで今なお記憶に新しい、アメリカのテレビ史に残る忘れられない瞬間の一つを思い出してください。有名司会者のオプラ・ウィンフリーが番組の観客全員に新車をプレゼントした場面です。
もし番組の観客が裕福で有名なインフルエンサーばかりだったら、あの瞬間はこれほどインパクトのある、ポップカルチャーの歴史に残るものになったでしょうか?
この歴史に残る瞬間が生まれたワケは、ブランドの「本物らしさ」に帰結します。消費者の70%が、本物らしさが感じられることで信頼性が高まり、ブランドにお金を使う可能性が高くなると述べていることからも明らかです。
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個人的なおすすめは、口コミです。昔から信頼度の高い宣伝形態の一つであり、90%の消費者が口コミを信頼しています。
インフルエンサーはかつて口コミの一種でしたが、現在では信頼が失われているのを実感しています。なぜでしょうか?
インフルエンサーがセレブな地位に近づくほど、消費者は親近感を感じなくなります。親近感が薄まると、インフルエンサーのおすすめを受け入れる人も減っていきます。一方、一般の顧客はブランドキャンペーンへの参加や推薦によって地位が高まるわけではないので、より身近な存在として認識されています。
この親近感が非常に重要なのは、マズローの欲求段階説で重要な要素である「帰属意識への欲求」を満たすからです。この帰属意識は、マーケティングでは社会的証明として現れます。お客様の声、レビュー、ユーザー生成コンテンツを思い浮かべてみてください。
Rachel BotsmanはTED talkでこの考えに触れ、消費者の信頼の変化が購買決定を下す際に、ユーザー間の評価がいかに重要かについて説明しています。AirbnbやUberなどがその最たる例です。
注意:ここでの「インフルエンサー」には、ナノインフルエンサー(フォロワー数1万人以下)やマイクロインフルエンサー(フォロワー数10万人以下)は必ずしも当てはまりません。この2つは一般的に高いエンゲージメントを見せており、消費者にとって親しみやすい存在であり続ける可能性が高いです。
一般顧客を最大のインフルエンサーとして捉え、以下の5つのアイデアを活用してみましょう。
ブランドが実際の顧客のコンテンツを取り上げる戦略は新しい手法ではありませんが、ユーザー生成コンテンツ(UGC:User-generated content)は、今後さらに多くのブランドが採用すると予想しています。
UGCは信頼とエンゲージメントを構築するのに優れた方法であり、Crocsのような小売ブランド、Adobeのようなテック企業、さらにはブロードウェイミュージカルも使用している手法です。
データによると、UGCはインフルエンサーのコンテンツと比べて8.7倍も影響力があると示されています。
ケチャップメーカーのHeinz社の最近のUGCキャンペーンは、世間の注目を集めた船乗りを探すことがきっかけでした。海で遭難したところを救助されたその船乗りは、メディアのインタビューに対し「ケチャップの瓶1本で24日間生き延びた」と回答。Heinz社はその船乗り、Elvis Francoisに感謝の気持ちを示したいと考え、世界中のインターネット探偵とHeinzファンを巻き込んだバーチャル捜索隊を立ち上げたのです。
Heinz社による同キャンペーンは、2,500以上のニュース記事と37億を超えるアーンドメディアインプレッションを生み出しました。そして最終的にElvisを見つけ出し、大団円を迎えました。
カスタマーアドボカシーとは、商品・サービスを純粋に気に入っている顧客(ブランド支持者)に対して、ブランド宣伝するように促すことです。Gartnerによると、ケーススタディや紹介、製品レビュー、顧客諮問委員会などが該当します。
ブランド支持者を引き込むために、Gartnerは4段階のプロセスを提案しています。
B2Bソフトウェア企業であるdbt Labsの顧客グループ「dbt Community」は、カスタマーアドボカシーの代表例です。25,000人以上のメンバーを有するこのコミュニティは、dbt Labsの収益の80%を牽引しており、2018年の立ち上げ以来、毎月10%の成長を遂げています。dbt Communityはdbtを使用するデータプロフェッショナルで構成されており、メンバーが質問したり、洞察を共有したり、お互いをサポートしたり、人脈を作る場を提供しています。
従業員生成コンテンツ(EGC:Employee-generated content)は、雇用主のブランディングだけでなく、消費者間のブランド評価も向上させます。Forbesによると、デジタルチャネル全体で自社ブランドの代表として従業員を活用する企業が増加。一部のB2B企業では従業員アドボカシープログラムを導入しており、こうしたプログラムを採用した高成長企業の27%が販売サイクルの短縮に貢献しているというデータもあります。
関連コンテンツ(英語): How to Empower Your Employees to Become LinkedIn Brand Ambassadors
オレゴン健康科学大学(OHSU)は、第3回ギブ・デーのための寄付を募るキャンペーンの一環として、同大学に在籍するメンバーや卒業生を対象に1日の様子を撮影した動画を募集しました。結果、OHSUコミュニティの外科医、看護師、学生の日常生活を捉えた迫力あるリアルな映像が集まったのです。
組織のメンバーを起用したこのキャンペーンによって寄付目標を上回り、数万ものインプレッションを獲得しただけでなく信頼と認知度も高めました。
消費者の多くは、コミュニティを渇望しています。ファンや顧客がSNSを通して関わろうとする姿勢を歓迎しないブランドは、消費者とのつながりの機会を逃しているといえるでしょう。SNS上でゴースト化するのを避けたいのであれば、ただSNSアカウントを持っているだけでは不十分です。ブランドは積極的にフォロワーと関わらなければなりません。さらに消費者にとって印象に残るブランドになるためには、単にコメントに反応するのではなく、ファンや顧客との対話を検討しましょう。
TikTok はZ世代に圧倒的な支持を得ているプラットフォームとして知られています。その中で、存在感を放つブランドの一つが、高齢者NPOのAARPです。
AARPは、メイン顧客層のX世代を体現したウィットに富んだブランドボイスを活用し、80年代と90年代の文化を表現。TikTokの機能を利用して、ターゲットのコミュニティへの参加を促しています。また、顧客の声が反映されていることを示すために、コメント欄のリクエストを基にした2つのコンテンツシリーズ「X世代ASMR」と「Craigが80年代を説明しよう」を展開するほか、48万人以上のフォロワーとの交流にも素早く応じています。
熱烈なファンを驚かせ、喜ばせましょう。限定イベントの招待やSMSを通じたタイムリーなオファー、他ブランドとのコラボレーションによるプレゼント企画、ソーシャルメディアコンテストの開催など、インセンティブ活動は、顧客にとって大きなサプライズとなり得ます。しかし実際は、わずか2%のマーケターしかInstagramでの定期的なコンテストを実施しておらず、大多数は機会を逃しているといえます。
2022年、We Are Teachersは清掃用品ブランドのLysolと提携し、新学期シーズンに教師100人のAmazon欲しいものリストに応えるプレゼントキャンペーンを実施しました。7月から10月にかけて毎月25人の教師を選出し、教室関係の欲しいものを手に入れられるように200ドルのAmazonギフトカードを贈ったのです。このプレゼントキャンペーンは過去最高の応募者数を記録しました。何より重要なのは、主要顧客である教師たちの素晴らしい新学期のための準備に、大いに貢献したことです。
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すべての顧客を豪華な旅行に連れていく必要はありません。しかしブランドは、信頼感を高め、本物らしさを示し、消費者の帰属意識を満たす顧客中心のコンテンツや機会を作る必要があります。
ブランドにとって価値あるインフルエンサーは、実はずっと身近に存在していたのです。この視点で現在の顧客基盤を見ると、顧客がどれほどの影響力を持っているのかを実感できるかもしれません。
この記事は、SpringboardのstudioIDが執筆し、Industry DiveがDiveMarketplaceを通じてライセンスを取得したものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。
元記事「Why Customers Are Your Most Powerful Influencers」は2024年11月19日にstudioID’s insights blog – springboardに掲載されました。
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