パフォーマンスと脱炭素を両立する 次世代の動画広告サービスとは?SeenThis×アマナで考える、広告の未来像

vol.158

seenThis

Text by 徳尾厚

SPEAKER スピーカー

右肩上がりの成長を続けるWeb広告市場。情報飽和時代の今、拡大を続けるWeb広告市場で、企業が発信する多くの広告はユーザーに届いていない可能性があります。そんな中、パフォーマンスと環境配慮の両側面から成果を出す新たな動画広告が注目されています。

今回のウェビナーでは、アマナのストラテジックデザイナー清水悠生と、SeenThis Japanの営業責任者である飯嶋攝子氏が登壇。まだまだ開拓の余地があるオープンウェブに対する広告配信の課題や、広告業界と環境問題の関係性などをSeenThisの取り組みを交えて解説しました。

増加を続ける総広告費とその理由

清水悠生(アマナ/以下、清水):以下は、電通による以下の日本の媒体別広告費の推移グラフです。テレビ・新聞・雑誌・ラジオのマスメディアに対して、インターネット広告(Web広告)は右肩上がりに急激に上昇しています。

data_ad.png

出典:株式会社電通

このインターネット広告市場の急激な上昇を加味すると、日本の人口は減り続けているのに、総広告費は増加しているといえます。広告を見る人は減っているのに、企業やブランドが発信する情報は年々強まっているのです。

なぜ、広告費は増加し続けているのか。理由として、下図の3点が挙げられます。

20241120report_2.png

拡大を続けるWeb広告市場のなかで、複雑化し非効率的になった広告。今、企業やブランドが届けたいユーザーに届けたい情報を適切に届けるためには、量よりも質を高めることに注力していかなければなりません。

オープンウェブとは?可能性を秘めた広告出稿先

清水:YouTubeやTVerのようなサービスはクローズドプラットフォームやウォールドガーデン(壁に囲まれた庭)と呼ばれ、サービス運営者が独自の広告プラットフォームを用意してサービス利用者に広告を表示します。分かりやすさとクリーンな印象があることから、昨今普及しています。

一方、会員登録不要でアクセスできるニュースサイトなどの「オープンウェブ」は、いまいち活用が進みません。下図の通り、YouTubeなどのクローズドプラットフォームと比べてオープンウェブの方がユーザーの利用時間は長く、それに比例してユーザーの広告接触時間も長いにもかかわらずです。

オープンウェブにはどのような課題があるのでしょうか。

スクリーンショット 2024-12-25 9.51.00.png

飯嶋攝子(SeenThis Japan/以下、飯嶋):オープンウェブにいるユーザーは、「何かの情報を知りたい」と目的をもって訪れるユーザーが非常に多いです。しかし、国内のWeb広告費の約80%は、YouTubeやFacebookなどのクローズドプラットフォームに使われています。その理由は、以下の3つにあるのではと考えています。

20241120report_4.png

ひとつは、「オープンウェブ」が、広告主にとって分かりづらいことです。「Facebookに広告が出ます」と言えば通じますが、オープンウェブを活用するといっても、どのようなWebサイトの、どの位置に、いつ広告が表示されるのかを一言で説明しにくいのです。

また、多くのサイトやアプリに広告が配信されるため、ブランドイメージに悪影響があるようなサイトに配信される可能性も心配されます。これについては、ブラックリストやホワイトリスト、キーワードブロックなどで配信先をコントロールできるのでブランド毀損の心配はありません。

そのほか、配信対象が広いので多くのユーザーに届く反面、KPIから遠いユーザーが多いのではないかと、懸念を抱く企業様もいるかと思います。

オープンウェブに訪れるユーザーは先ほども述べた通り、得たい情報が明確です。よって、あらゆる情報が流れ続けるSNSよりも、ユーザーが探す情報が明確なオープンウェブの方が、KPIに近いユーザーに届けたい情報を届けられる場といえます。

スクリーンショット 2024-12-25 9.51.39.png

出典:The Harris Poll

清水:広告の品質については、オープンウェブ向けの広告プラットフォーム各社もJICDAQ(ジクダック・デジタル広告品質認証機構)の認証を受けていますし、ターゲティングの精度を高めていけば課題はクリアできそうですね。

動画広告はWebとテレビで最大効果に

飯嶋:広告の中でも、動画広告は静止画よりも圧倒的に多くの情報を含めることができます。例えば15秒の動画は、静止画450枚分に匹敵する情報量を伝達できるというデータもあります。課題は、動画広告を瞬時にターゲットユーザーの目に止まらせ、しっかりと見てもらうことです。

オープンウェブは広告予算がまだ大きく割かれていない、ブルーオーシャンと呼ばれるような未開拓な領域です。ここに動画広告を適切に配信することが、我々SeenThisの得意とするところです。

スクリーンショット 2024-12-25 9.52.09.png

出典:株式会社マクロミル

清水:動画を使ったプロモーションを計画中の企業様や、すでにGoogleディスプレイネットワークを利用中の企業様も、まずはテストマーケットとしてオープンウェブを試してみるのもよいかもしれませんね。

SeenThisでは、オープンウェブでの動画広告をどのように活用していますか。

飯嶋:Googleディスプレイをすでに実施しているお客様は、それをそのままオープンウェブに置き換えるというイメージが一番分かりやすいかと思います。ユーザーの邪魔をせずにアクションを引き出せるような、YouTubeと静止画の中間のようなポジションですね。

ユーザーにリーチする力では、まだまだテレビが圧倒的に強いです。しかし、ブランドのリフトアップ効果についてはテレビCMも動画広告も大きな差はありません。テレビCMと動画広告の両者に接触した場合は、商品認知以降の全てのフェーズでブランドリフト効果が高くなります。

スクリーンショット 2024-12-25 9.52.43.png

オープンウェブで動画広告を使うだけでもリーチを増やすことができますが、テレビCMとの併用が最もパフォーマンス高くユーザーを増やすことができ、企業様にも喜ばれますね。

メルマガ登録

デジタル広告が「脱炭素社会」の実現に貢献

清水:広告業界は環境問題とも密接な関係にあります。脱炭素社会の実現に向けて広告はどう変わっていくべきなのでしょうか。

飯嶋:脱炭素への課題は、目に見えないために分かりにくいものです。たとえば、ジェット燃料で動く飛行機はすごく二酸化炭素を排出しているように思えますが、実はインターネットの方が航空業界の2倍以上も二酸化炭素を排出しています。インターネットに使われるエネルギーの30%はデータ転送のために使われています。ダウンロードなどのデータのやりとりによって、二酸化炭素が排出されているのです。

スクリーンショット 2024-12-25 9.53.13.png

出典:Emissions by sector (Our World in Data) . Footprint of the Internet (IAB Europe/A.Andrae/This Shift Project)

SeenThisによる動画広告配信であれば、ユーザーが動画を視聴した分のみのデータ転送を行うため、不要なデータダウンロードが発生しません。さらに、同じ動画広告内であっても、データの濃淡をつけることでデータの綺麗さを部分ごとにチューニングできます。例えば夜景や花火など、より高画質で見せたいという部分は綺麗なデータを転送する、といったように調整することで、データ転送量を抑えます。

これらはSeenThisの独自の機能であり、企業様によっては、従来のデータをダウンロードして配信する動画広告と比較して約50%の二酸化炭素排出量の削減ができたケースもあります。

日本でも、企業に温暖化ガス排出の目標設定させ未達成の場合に罰則金を徴収する制度が2026年から導入される可能性があるという報道がありました。環境に配慮した取り組みをしているかどうかという点は、今後さらにユーザーにとって企業・ブランド選択をする上での重要な指標になり得るのではと思います。

※出典:NHK「「排出量取引」違反企業に課徴金検討 2026年度本格運用へ 政府

清水:脱炭素への取り組みに関するPR活動は非常に有効だと思います。アマナでもSDGs関連の取り組みが非常に増えており、やるべきだと考えている企業が増えているというか、やらざるを得ない状況になっています。

企業はこれから、SDGsへの取り組みの報告を投資家だけでなく消費者にも伝えていかなければいけません。

多くの企業はビジネスを成功させるためにナンバーワンブランドを目指していますが、これからは「プラネタリーブランド」とでも呼ぶような、地球のことを考えていく活動も必要だと思っています。環境問題を「やらなくてはいけない」とネガティブに取り組むのではなく、自分たちの使命としてポジティブに活動する姿勢を消費者に伝えることが重要です。

高品質なビジュアルでユーザー体験を向上させる次世代動画広告

20241120report_9.png

清水:SeenThisはオープンウェブの静止画枠に、ユーザーがしっかりと認識できる形で、届けたい動画を配信できます。ユーザーの環境に合わせてデータ転送量も調整し、ストリーミング方式のためテレビCMで使うような高画質な動画も配信可能で、パフォーマンスの改善が期待できます。すでに動画広告を使っている場合でも、SeenThisを経由することでさまざまなサイトの静止画枠に動画を配信できます。

しかし、広告の効果は、配信先や配信形式だけでは最大化できません。広告成果を高めるには、動画広告のビジュアルやコンセプト、企業・ブランドの戦略も重要です。特に、クリエイティブとマーケティング戦略は切り離すことができません。

アマナは、広告のクリエイティブを作るだけではなく、企業のマーケティングや広告戦略に携わりながら最適なクリエイティブ制作をお手伝いしています。戦略や動画広告配信先の決定、クリエイティブ制作からその後の効果測定、次の戦略検討と、SeenThisとアマナがシームレスに考え、伴走いたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。

✔️関連記事:
ペルソナを広告配信に活用?消費者理解を促すクッキーレス時代の新たな選択肢
“注目”を呼ぶ広告戦略!クリエイティブ×コンテキストターゲティングの革新

お問い合わせ先

SOLUTION

Advanced Marketing Service

Advanced Marketing Service

顧客分析からメディアプランニングまで、企業のデジタルコミュニケーションを支援

私たちの強みは、戦略的マーケティングとアマナのビジュアルコミュニケーションを組み合わせたアプローチです。このシナジーにより、キャンペーンを完璧に計画・実行し、ブランド価値と売上の向上を図ります。複雑な現代のマーケティングをナビゲートし、精度と創造性でビジネス目標の到達を目指します。

サービス資料ダウンロードはこちら

KEYWORDキーワード

本サイトではユーザーの利便性向上のためCookieを使用してサービスを提供しています。詳しくはCookieポリシーをご覧ください。

閉じる