アドビ|生成AIで広がる「誰もがクリエイター」を現実に

アドビ|生成AIで広がる「誰もがクリエイター」を現実に

生成AIの普及によって、「誰もがクリエイターになれる時代」が現実のものになりつつあります。デザインや映像、SNS運用といったあらゆる領域で、生成AIが表現の敷居を下げている中、アドビは“プロフェッショナルのためのツール”という枠を超え、すべての人に「つくる力」を届ける存在へと進化しています。アドビ株式会社の Creative Cloud マーケティングマネージャー・轟 啓介さんに、生成AI時代のクリエイティブの在り方と、アドビが描く未来のビジョンを聞きました。

アドビ株式会社 マーケティング本部 セグメントマーケティング部 Creative Cloud マーケティングマネージャー 轟 啓介(とどろき・けいすけ)さん

アドビ株式会社 マーケティング本部 セグメントマーケティング部 Creative Cloud マーケティングマネージャー 轟 啓介(とどろき・けいすけ)さん

生成AIが広げたアドビのターゲット

――アドビはプロフェッショナル向けツールとしての印象が強いですが、生成AIの普及によってターゲットはどのように変化したのでしょう。

轟 啓介さん(以下、轟。敬称略):アドビの主なユーザーはデザイナーやフォトグラファーなど、クリエイティブのプロフェッショナル層でした。しかし今、生成AIによるクリエイティブワークの後押しによって「誰もがつくれる」時代に変わりつつあります。私たちは “すべての人につくる力を” というミッションのもと、マーケターや広報担当者、小規模事業者など、これまで「制作を依頼する側」だった人たちも対象として生産性や創造性を高める支援をしています。

特にテキストから画像生成などができる「Adobe Firefly」や、テンプレートを活用してクリエイティブ作成をサポートする「Adobe Express」といったツールは、専門的な知識がなくても直感的に生成AIを使えるよう設計されています。たとえばSNS用のビジュアルをつくりたい担当者が、テキストで「青空を背景に商品を浮かせたい」と入力するだけで、即座に完成イメージを生成できる。クリエイティブのハードルを劇的に下げることで、表現の裾野が一気に広がりました。

webキャプチャ(Adobe Fireflyの生成画面イメージ)

自然言語によるプロンプトで、誰でも簡単に高品質なビジュアルを生成できる「Adobe Firefly」。簡単なテキストからあっという間に複数の高解像度の画像が生成される。「Adobe Photoshop」との連携もスムーズ。

法人・個人を問わず使える「安心・安全」な生成AIツール

 ――個人向けと法人向けの「Adobe Firefly」にはどんな違いがありますか。

轟:大きくは「規模」と「ワークフローの統合」です。法人向けには、たとえばAPI経由で社内システムから直接「Adobe Firefly」を呼び出し、商品画像の大量生成を自動化する機能があります。また、社内のブランドアセットを学習させ、製品ごとに最適化したビジュアルをつくるといった活用も可能です。

個人ユーザーも同じ品質の生成体験が得られますが、企業では扱うデータ量や制作頻度が桁違い。そのため、処理性能や管理体制などの面で、専用の権限設計を行っています。

 ――機能差ではなく、用途に合わせたサービス設計というわけですね。

轟:そうです。基本的には個人や法人を問わず「誰にでも同じツール」を提供しています。「プロ向け」か「初心者向け」を分けるのではなく、すべての人が自分のレベルや目的に応じて使いこなせるようにしています。

アドビ株式会社 マーケティング本部 セグメントマーケティング部 Creative Cloud マーケティングマネージャー 轟 啓介(とどろき・けいすけ)さん

 

クリエイティブ生成AIのスタンダードを目指して

 ――生成AI領域には多くの競合が登場しています。アドビの強みはどこにあるのでしょう。

轟:私たちのゴールは「クリエイティブな生成AIのスタンダード」になることです。もちろん、生成された成果物はすべて商用利用が可能です。「Adobe Firefly」ではすでに290億以上のアセットが生成されていますが(※2025年10月時点)、著作権や透明性を徹底的に担保しています。生成したすべての画像に業界標準の「コンテンツクレデンシャル」が自動的に付与され、出所が明示される仕組みを導入しています。制作に関与した人物情報や履歴を埋め込むことが可能で、信頼性が高まると同時に改ざん防止にもつながります。

 ――「Adobe Express」には豊富なテンプレートが用意され、より簡単に画像生成ができるイメージですが、「Adobe Firefly」と異なる狙いはなんでしょう。

:高解像度の画像などをつくるのが「Adobe Firefly」、それを加工し、仕上げてSNSや販促物に展開するのが「Adobe Express」と言えば分かりやすいかと思います。もちろん「Adobe Express」でも画像などをつくることができますが、SNS画像/動画、Webバナー、チラシ、企画書のサムネイルなど、用途に合わせて日々の“すぐ作りたい”に適したデザインツールです。テンプレートから始めて、文字・写真・アイコンを入れ替えるだけで整ったデザインに仕上がります。背景削除、トリミング、サイズ変更、字幕生成、ファイルの変換などのクイックアクションがクリック操作で簡単に行えます。

アドビ株式会社 マーケティング本部 セグメントマーケティング部 Creative Cloud マーケティングマネージャー 轟 啓介(とどろき・けいすけ)さん

 ――個人向けとして便利そうですが、企業で使う場合のブランド統制やチーム運用には対応していますか。 

轟:ブランドキットにフォント、カラー、ロゴ、トーン&マナーを登録し、ブランドガイドラインを遵守したコンテンツ運用が可能です。指定の箇所に編集不可のロックをかけることもできるので、誰がつくっても基準を外さないよう管理できます。また、共有リンクでのレビュー、コメント、共同編集にも対応しています。完成したアセットは「Adobe Creative Cloud」を介して「Adobe Photoshop」「Adobe Illustrator」「Adobe Premiere」へと渡せるため、ライトに始めて、必要に応じて深く仕上げる導線が用意されています。

Adobe Expressはモバイルでも軽快に使える。テンプレートとクイックアクションですぐに作れる体験を提供し、必要に応じてPhotoshopやPremiereへ橋渡しできる(画像はiOSアプリ画面)。

Adobe Expressはモバイルでも軽快に使える。テンプレートとクイックアクションですぐに作れる体験を提供し、必要に応じてPhotoshopやPremiereへ橋渡しできる(画像はiOSアプリ画面)。

生成AIを使うことが日常になる時代に

 ――「Adobe Firefly」「Adobe Express」を企業が導入した際には、具体的にどのような使われ方が多いでしょう。

轟:たとえば企業ブランディングでは、ブランドの世界観に沿ったビジュアルの方向性をFireflyで素早く複数案提示し、キービジュアルを絞り込むような使い方ですね。また広告では、入稿サイズごとのリサイズや背景差し替えをバッチ処理で高速化することができます。広報では、例えばExpressで決算/新製品リリース用の簡易的な動画をテンプレートから作り、字幕生成で字幕をつけて、公開までの手数を削減……といった具合です。

また、「Adobe Fireflyボード」では、無限のキャンバス上に画像や動画を自由に配置し、ブレインストーミングから制作まで一気通貫で行えます。さらに他社の生成モデル(FluxやGeminiのNano-Banana、GoogleのVeo 3など)も選択肢として利用可能にしています。これにより、クリエイターは思考を止めずに最適なアイデアを素早く形にできます。

Adobe Fireflyボードの制作画面

「無限のキャンバス」でアイデアを視覚化できる「Adobe Fireflyボード」。Adobe Fireflyモデルに加え、FluxやGeminiなど他社モデルの選択も可能にし、創造の自由度を広げている。

 ――「Adobe Fireflyボード」の狙いを教えてください。

轟:いきなり完成形をつくるのではなく、まずはビジュアルで広く探る。「Adobe  Fireflyボード」は無限キャンバス上で、画像・動画・テキストを自由に並べ、組み合わせ、チームでコメントしながら方向性を素早く絞り込めます。また、他社の生成モデルも同じ操作感で呼び出して比較できるため、初期段階で多様な“味”を見比べてベストを選びやすい設計です。

最後に「感情と文脈を宿す」のは人間

 ――生成AI時代のクリエイティブ制作における、人間の価値はどこに残るでしょうか。

轟:生成AIは強力なパートナーであることは間違いありません。ただ、生成したクリエイティブに「誰に何をどう伝えるか」という意図の深さ、感情や文脈をアウトプットに宿す工程は人間の役割です。初期コンセプトの設計、生成物の評価・選択・編集、表現の一貫性管理など、人の審美眼が成果を左右することは変わらないと思います。

長らくプロ用のクリエイティブツールを提供してきたアドビは、生成AIの普及とともに最新のテクノロジーを取り入れながら「誰もが使える」クリエイティブツールを展開しています。アドビが得意とするクリエイティブのクオリティに対する知見や専門性に加え、すべてが商用利用できる利便性、信頼性を高める業界標準の「コンテンツクレデンシャル」の付与など、企業の生成AIに対するニーズをおさえています。生成AIサービスのアップデートが続き、様々なプレイヤーがひしめき合う中で、アドビは企業の生成AI導入において魅力的な選択肢のひとつといえるでしょう。

取材・文:桑原勲
取材撮影(ポートレート):大久保歩(アマナ

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