本記事は企業の広告・ブランド担当者に役立つ本から、気になる一節を数回に分けてご紹介する連載です。読みながら、その本の“考え方”に少しずつ触れていただけます。
生成AIを「答えを出す存在」ではなく、「創造を支えるパートナー」にするにはどうしたらいいのか。クリエイティブディレクター並河 進氏による、実践的な思考法をもとにした「AIをクリエイターに育てる5のやり方」から、制作の現場で使える「助手」として育てるプロンプトの考え方と具体例を紹介します。
~本コンテンツは、書籍『AIネイティブマーケティング 人、企業、AIの幸せな関係をつくる』(並河 進著・宣伝会議刊)から一部を抜粋・編集したものです(この記事は第1回/全3回)。
No.2:AIをクリエイターに育てるプロンプト②〜AIに「ダメ出し」をする (2月4日公開予定)
No.3:AIをクリエイターに育てるプロンプト③〜AIに「メソッド(秘伝)」を注入する (2月5日公開予定)
ChatGPTやGeminiにキャッチフレーズをお願いしても、最初からなかなかいいコピーができあがってこない。コピーライターなら、そんな経験があるのではないでしょうか?
特にクリエイティブのような、創造性が必要な領域では、LLM(大規模言語モデル)の平均的で優等生的な答えでは十分とは言えません。
このコラムは、生成AIを使いこなしたいクリエイターのためのAI育成講座です。話をわかりやすくするために、コピーライティングに絞って話しますが、ビジュアルでも、テレビCMでも考え方は同じです。
私はコピーライターとしてキャリアをスタートし、コピーライターの先輩の下について(電通でメンター制度と呼ばれ、教えてくれる先輩はメンターと呼びます)、入社から最初の数年間、コピーを教わりました。大学の学部は理系でしたから、「コピーなんて書けるわけもない」。思い返すと、あの手この手で先輩は教えてくれました。
そうした先輩から後輩に教える方法は、AIに対しても応用可能です。
ここでは、並河流、AIを育てる5つのやり方から、「助手方式」を紹介します。
自分の理想の表現があり、それを実現するために、パーツを細かく手伝わせていく、という方式です。
プロンプト
福島へおいで!の「おいで!」を変えてください。もっと意外な言葉に。
回答
・福島へワープせよ!
・福島へ飛び込め!
・福島へダイブ!
・福島へ進入せよ!
・福島へ吸い寄せられろ!
AIに手伝わせて、自分の理想のコピーへ近づけていく方法です。まさに助手です。
助手としてAIを使うには、助手にすぐ指示できるように、便利な呪文(プロンプト)を集めておくことが役に立ちます。
以下は私がつくったChatGPT-4oでテレビCMのコンテをつくる魔法のプロンプトです。
プロンプト
この絵のトーン(”Highly polished illustration with semi-realistic lighting and shading.Clear line work, expressive faces, smooth gradients for skin and background.Suitable for commercial use such as advertising storyboards, character-focused visual novel scenes, or animated CM frames.Bright and vibrant color palette, clean and professional rendering.”)で#の内容の画像を生成してください。
下記の#の条件を必ず守ってください。
#条件
・#内容を6コマに整理してください。重要度を考えて整理してください。
・1つのコマは16:9の比率で、2列×3行で6コマを並べた画像を生成してください。
・すべてのコマは必ず画像の中に収まり、左右には少し余白がある。
・コマの外に、人物や物体がはみだしてはいけません。
・1コマ目、2コマ目、という文字は入れる必要はありません。
・テキスト(タイトル、セリフ、ナレーション)は画像の中に入れないでください。
・登場人物の指示がある場合(A、B、Cなど)、同じ人物は同一人物として描いてください。
#内容
〈ここにコンテ内容をテキストで入れる〉
テレビCMのコンテをつくるときに、1枚1枚画像を生成していると、登場人物の顔が微妙に変わったり、なかなかうまくいきません。このプロンプトは、いっぺんに6コマを生成する仕組みになっているのですが、まあ、そんな細かいことは覚えている必要もなく、とにかくこの呪文を唱えればいいのです。
こうした呪文は、LLMの種類やバージョンによって変わるので、最新のものを調べたり、自分で編み出したりしていくのが良いと思います。
(この記事は第1回/全3回)
No.2:AIをクリエイターに育てるプロンプト②〜AIに「ダメ出し」をする (2月4日公開予定)
No.3:AIをクリエイターに育てるプロンプト③〜AIに「メソッド(秘伝)」を注入する (2月5日公開予定)
▼書籍紹介
生成AIが業務に欠かせない存在となるなかで、人とAIはどのような関係を築くべきなのでしょう。本書は、広告・クリエイティブの現場で培われた思考と実践をもとに、AIを単なる効率化の手段ではなく、思考や表現を広げるパートナーとして活用するための考え方を紹介する一冊です。AIとの対話の重ね方、判断軸の持ち方など、マーケティング、事業開発、コミュニケーション、クリエイティブに関わる人にとって参考となる内容がまとめられています。
▼書籍情報
書名:AIネイティブマーケティング 人、企業、AIの幸せな関係をつくる
著者:並河 進
出版社:宣伝会議
発売日:2025年10月17日
リンク:https://www.sendenkaigi.com/marketing/books/book_35811/
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A³|amana AI Architectsは、「AIの進化を、美意識の進化へ」というビジョンのもと、生成AIを“ブランドに最適化する”ソリューション「AI Creative Architecture」を核に、企業のブランド表現を次世代の制作基準へアップデートするプロフェッショナル集団です。