「おいしく見える撮り方」をプロのフォトグラファーが指南するこの連載。第2回はコーヒーの撮影方法を紹介します。ダークな色合いのコーヒーをおいしそうに撮るには、表面の波紋と光の具合がポイントに。今回もアキューブの宮原康弘が、広告撮影で使われるテクニックをアドバイスします。
まずは下の写真をご覧ください。ただ黒っぽい液体がカップに入っているだけで、温度も味も感じられない、残念な写真ですよね。
コーヒーのおいしさを表現する決め手は、表面の波紋(光のゆらぎ)と湯気がポイントです。ではどうしたら、この2つを演出できるのでしょうか?
コーヒーは液体の色が暗いために、表面に光のゆらぎがないとそもそも液体なのかがわかりにくく、おいしそうに見えません。光のゆらぎ=波紋を作るには、ブロアーかスプレー(今回は精密機械の掃除用ダストオフスプレー)を使うといいでしょう。スプレーにはノズルを付けて、コーヒーの表面にピンポイントで空気が当たるように調整を。
波紋を立てるとこのような感じに。表情が出ましたよね。
コーヒーには油分が含まれているので、それが写らないようにカメラのアングルを調整しましょう。表面の泡もおいしさの演出になりますが、多くなりすぎないように。
熱々のコーヒーから立ち上る湯気。これもコーヒーをおいしく見せる大事なポイントです。撮影直前に、ドライアイスかスチーマーで湯気をのせましょう。
ドライアイスの場合はコーヒーの液温が低いと湯気が下に落ちます。湯気を上げるためには、液温をある程度上げておく必要があります。
スチーマーの湯気はもともと上がるのですが、やはりある程度液温が高くないと湯気が液体の表面で滞留します。両者とも、湯気をスムーズに上げるには、液温がある程度ないと難しいです。
湯気の量が適量がどうか、シャッターを切った後に必ずチェックを。
トップ画像のように、コーヒーを注ぐシーンをおいしそうに撮るにはどうしたらいいでしょうか? ここで宮原の手製の装置をお見せしましょう。
カップに注ぐ分量のコーヒーをメスカップに入れておき、注ぎながらシャッターを切ります。このとき、メスカップの注ぎ口が支点になるようにすることがポイント。GIF動画をご覧ください。
さらに、コーヒーの液温を湯気がほどよく立ちのぼる温度にしておく必要があります。室温によって湯気の立ち方が変わるので、その場の状況に応じて温度を調整してください。
コーヒーのように熱い飲み物の撮影は、以下の点に注意しましょう。
①表面に波紋をつけて、液体であることをわからせる。
②アツアツ感を湯気で表現。
③表面にできる泡も演出のうち。
④注ぐシーンを撮るときは、注ぎ口を支点にする。
⑤コーヒーの温度にも注意。
5つのポイントに気をつけて、コーヒーをおいしく撮影してください!
コーヒー撮影:宮原康弘(acube)
※宮原が撮影した動画作品もご覧になれます。詳しくはinfo@acube.jpへお問い合わせください。
プロセス撮影:秦和真(acube)
テキスト:ビジュアルシフト編集部
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