見てもらえる新卒採用サイトに。アマナのリクルートサイトを変えた、若手クリエーターたちのセンス

2019年度の新卒採用は佳境を迎えています。企業にとっては学生に向けたブランディング活動。新卒採用サイトをリニューアルする企業も多く、就活生でなくてもWebデザインやコンテンツの動向が気になります。

アマナグループの2019年度新卒採用サイト「FOCUS on amana」は、自社の若手社員のプロジェクトチームが企画・制作。「#アマナセンス採用」などのユニークな仕掛けも飛び出し、今までにない斬新なサイトを作ることができました。新しさとアマナらしさを絶妙にミックスさせたビジュアル制作について、4人のメンバーに語ってもらいました。企業が仕掛ける新卒採用サイトの効果的な作り方、そのポイントはどこにあるのでしょうか。

 

社員の個性にフォーカス・オン

――2019年度のアマナ新卒採用サイト「FOCUS on amana」は、とても好評だったそうですね。企画や制作は皆さんが担当したそうですが、まずはそれぞれの役割を教えてください。

「FOCUS on amana」http://recruit.amana.jp/
Photo by Naomi Circus

飯山光波(以下、飯山):私はアカウントプロデューサーとして見積もりを策定し、クライアント(今回は自社社長)との交渉の場に立ちました。

羽渕梨捺(以下、羽渕):私は企画・ディレクションを補佐的に務めました。

以前のサイトは5年前に制作され、広告業界を志望している人向けに「プロフェッショナル集団のアマナ」を打ち出していました。近年は売り手市場と言われるように採用環境も変わっています。アマナとしても優秀な学生に来てもらうために母集団を増やすことが課題。アマナという会社はよく知らないけれど、潜在的に広告業界に興味がある学生に対してアプローチしていくことを考えました。

――採用の課題やターゲットに合わせるのは大事ですね。

羽渕:アマナがプロフェッショナルな集団であることは変わりありませんが、その集団を構成する人間それぞれには強い個性があって、スキルも多種多様で誰一人として似通ってはいません。そこで「魅力的な人をビジュアル化する」「潜在的な就活生にアマナの認知を拡散する」という2軸で企画を立て、浅野さんと「FOCUS on amana」 というテーマを作りました。

浅野さやか(以下、浅野):私は企画・ディレクション、進行管理を担当し、本案件の制作を中心的に進めました。サイトでは25人の社員と6本のプロジェクトを掲載しました。人事担当者とアマナグループのインナーコミュニケーション担当者に協力を得て、さまざまな職種、さまざまな仕事内容を紹介できる人とプロジェクトを選びました。

Photo by 杉本晴

 

羽渕:特徴的な社員を掲載しましたが、その個性がもっと際立つようにハッシュタグを用いて人やチームのいろいろな面を表現したのもこだわりポイントです。

飯山:趣味、特技、性格、見た目など、いろいろなハッシュタグを並べてみました。これなら、学生の共感や興味を引くキーワードが何かしらありそうかと思いまして。

羽渕:タグ付けしてキーワードで絞り込むアイデアは最初から出ていましたが、「#赤髪」「#メガネ」「#刈り上げ」とかあったら面白いよねと話しているうちにだんだんワードが増えていって、「#メカオタク」「#かわいい」「#セーラー服」と採用サイトとは思えないハッシュタグも。「アマナ社員をキーワードでフォーカスする」として、100以上のハッシュタグを選びました。

浅野:プロデューサー職がメインの採用ですが、学生には「プロデューサーが何をしているのかわからない」という人もいて、そのような疑問を抱かせてしまうことが課題でした。それもタグで解決できるのではないかと思って、多数のハッシュタグ付けにチャレンジしたんです。プロデューサーにもいろいろな特性を持った人がいるという多様性をしっかり見せたかったですし、フォトグラファー、CGデザイナーなど、プロデューサーと関わりのある専門職種を入れてタグ付けしたことで多様性がさらに可視化されたと思います。

大量のハッシュタグ。

キービジュアルは、人・人・人

――サイトのデザインは、何をポイントにリニューアルしたんでしょうか。

浅野:キービジュアルを「人」にしました。デザインはシンプルなグリッド(方眼)ですが、「人」をしっかり見せることで魅力的なビジュアルになったと思います。

羽渕:「amana」の真ん中には“man(人)”がいるんです。代表の進藤博信が、アマナは「人」が中心の会社なんだ、だから普通のポートレートは撮らせたくないと考えていたようです。そこでアサインされたのが、UNのナオミサーカス。私たちと同世代のフォトグラファーです。笑顔でカメラ目線の人物写真ではなく、あえて気難しい表情やひょうきんな面をうまく引き出してくれました。

Photo by Naomi Circus

 

――ナオミさんは、「多様性」がテーマと聞いてどのように撮影に臨みましたか。

ナオミサーカス(以下、ナオミ):こういう人がこの仕事をしていると言ったときの「こういう人」がどんな人なのかが、いちばん大事だと思いました。スタジオに入ってきたときに緊張しているな、恥ずかしがり屋だな、自分のここを欠点に思っているなとか、最初に見た様子から、じゃあその人が楽しく無理なく撮影できるのはどんな感じなのかと考えて撮影したんです。

羽渕:今回、私も社員の1人として撮影してもらいましたが、すべてナオミさんに見透かされている感じがしました。実は写真に撮られるのはすごく恥ずかしくて苦手で、この写真みたいに自然に笑えることはないんですよ。

ナオミ:みなさんモデルさんではないし、写真を撮られるのは恥ずかしいですよね。忙しい仕事の合間を縫って来てくれているから、嫌な思いをしてほしくないという気持ちもありました。だから、無理して笑顔を作るのではなく、自然に出てくる表情を撮るようにしました。

ポーズについては、スタジオに来たときのその人の動き方を見て「やってみましょう」と指示を出しますが、自分でやってみるとやりにくさに気づくこともあります。被写体と同じ気持ちになるのは大事ですよ。

羽渕:写真には、その人らしさだけでなく、意外な一面も表れていることに驚きました。「普通のポートレートではダメだ」と進藤が言ったのは、こういうことだったのかと納得です。

ナオミ:仕事で知っている人でも、カメラを通して向き合ったときにいつもと違う何かがあったりするものなんですよ。

浅野:デザインカンプは、写真のトーンに合わせて徐々に調整していきました。できるだけ写真を見せるデザインにし、アマナらしいイメージにすることができました。苦心したのは人の並べ方です。職種ごとに背景を色分けしていますが、パソコンで3列表示、スマホで2列表示になったときの色や男女のバランスを何度も調整して、多様性が一目でわかるビジュアルを意識しました。

飯山:その人となりを強調するために、インタビュー記事の中には「わたしを表す1枚」として、本人のプライベートな写真を入れました。そんなアイデアを生かすことができたのも、楽しかったですね。

 

「#アマナセンス採用」で自社をブランディング

――「センス採用」という新しい試みにもチャレンジしたとか?

飯山:自分の「センス」を表す写真を「#アマナセンス採用」のハッシュタグを付けてInstagramに投稿してエントリーするという、新たな採用方法を用いてみました。エントリー受付開始から1カ月で投稿数は1,000件を超えたんです。

羽渕:「センス採用」をやろうと決まって、デザインをもっとクールにしたほうがいいと方向転換しました。センス採用をうたう企業がありきたりなサイトだとセンスを問われるので。

浅野:サイトのトップ画面は、アマナのセンスを見える化させたデザインにしようと思いました。そこで、アマナのセンス=カメラマンが撮った写真、と捉え、アマナグループの各フォトグラファーの作品約50点をランダムに表示させたんです。

――アマナの個々の社員へのDM(ダイレクトメール)を送れる機能もありますが、これはどこから着想を得たのですか。

浅野:それも「FOCUS on amama」のポイントです。タグで個人を絞り込んで、その人に会いに行くところまでできる仕組みをサイトの中に作りたいと思いました。というのも、私が学生のときにOB訪問をさせてくれる企業はほとんどなく、会うためには個人的なコネが必要でした。でも、一緒に働く人を見ないで企業を選ぶのは難しいですよね。

――今回のリクルートサイトの制作で最も意識したのは何でしょうか。

羽渕:「アマナらしさ」と向き合う仕事になったと思います。クールでお高くとまっている会社、のような印象でもいいかなと。クライアントによっては、そういうアマナだからお願いしたい案件もあると思いますし、採用サイトの写真もそれほど明るくはなく、あえてかわいくない方向性にしてもらいました。

浅野:採用サイトの提案をするとき、いろいろな人に会社のいいところを聞いてみました。「自由」「やりたいことができる」などのキーワードが挙がりましたが、最終的には「人がいい」という話に集約されて、実際その通りだと思いました。そこから、人にフォーカスして自然体のポートレートを撮ってもらい、その人に「わたしを表す1枚」の写真を提供してもらうことを思い付いたんです。

飯山:私が今、アマナにいるのも、一緒に働く人たちが魅力的で、仕事以外のことも共有したいと思うからです。だから、お堅い採用サイトではなくて、個性的な採用方法が出てきたり、違う顔のビジュアルを撮って掲載できたことは、とてもアマナらしいことができたなと実感しました。サイトを訪れてくれた学生のみなさんにも、このアマナらしさが伝ったらいいなと思っています。

テキスト:さとうともこ

 

 

プロフィール

飯山光波

株式会社アマナ プロデューサー

2012年入社。WEBを中心としたプロデュース業務に携わる傍ら、Instagramウォッチ&リサーチにも力を入れ、SNSを盛り込んだ施策にも多く取り組んでいる。

プロフィール

浅野さやか

株式会社アマナ ディレクター

2015年入社。デジタルプロモーション領域を中心にWEB、グラフィック、映像などのコンテンツ企画ならびにディレクション業務に従事する。

プロフィール

羽渕梨捺

株式会社アマナ プランナー

2013年入社。プランナーとして、グラフィック、WEB、映像、イベントなど、様々なコンテンツの企画・制作に携わる。

プロフィール

ナオミサーカス

株式会社アン フォトグラファー

2010年入社。さまざまな広告ビジュアルを手がける傍ら、人にフォーカスした作品作りにも意欲的に取り組んでいる。
作品はamana photographersにて。

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