慣れない撮影の立ち会いを楽しむコツは、グラフィック撮影の現場で交わされている専門用語に耳を傾けてみること。「フォトグラファーが何をしようとしているのか」がわかると、進行具合や状況を理解できて待ち時間も楽しくなるはず。今回はグラフィック撮影の現場で使われる専門用語の中でも、日常生活で使われる言葉の意外な使い方をご紹介します。
ボールペンやコップ、水槽などで使われている透明の樹脂。物撮りのときの撮影台や背景として使用される。被写体がスッキリと見える効果があり、乳半・クリア・白・黒などの素材と、光沢・半光沢・マットなどの表面加工の違いがある。クリアファイルで代用できることもあるので、物撮りのときに数種類忍ばせておくとドヤ顔ができるかもしれない。
商品撮影の背景やライティングの調整をするときに使う黒色のケント紙。通称「クロケン」。人のあだ名っぽいので、現場にクロダさんやクロキさんがいるとややこしくなる。
白ケント紙のこと。物撮りの背景に使うと、被写体の形状をハッキリと浮き出させることができる。使用方法はさまざまなので、現場に数枚あると便利。
上に立ったり座ったりできる丈夫な箱。人物が立つ台の高さ調整にも用いられる。木製の立方体で 50cm角や25cm角があり、見た目は地味。使い方はこれといって決まっていないが、「何かと使える」ということで、スタジオで重宝されるアイテム。
文字通り、NTTが出している紙の電話帳のこと。グラフィック撮影の現場では電話帳をケント紙や黒いガムテープで包み、補強して使う。背景紙を固定するための重石代わりとして、もしくは高さ調節のための台として使用することもある。最近のグラフィック撮影の現場では 「アップルボックス」という木製のものを使う場合が多い。
ケント紙等で包んだれんが。使い方は電話帳やアップルボックスと同じ。また、れんが相当の大きさの木製の箱にパチンコ玉などを入れて重くした箱をれんがと呼ぶこともある。
四角い枠に、黒布などを張ったもの。大、中、小などさまざまな大きさがあり、光をさえぎるために使用する。黒布のないものは「空(から)フラッグ」といい、センチュリースタンドというグラフィック撮影用のスタンドと組み合わせて、光を調整する。
スタンドとライト灯体の取り付け器具のこと。ちなみに、兵庫県西南部出身の人が口にする播州弁の「ダボ」は、アホ・バカのような意味。つまり現場で「ダボ!」と叫んでいる人は、怒っている可能性があるので、能天気にダボを持って行くと火に油を注ぐ結果になるかもしれない。人物撮影時の身長増し調整に使うことも。
グラフィック撮影の現場には、一見何に使うかわからないものがたくさんありますが、気になる機材や道具があればいつでも聞いてくださいね!
後編は、「撮影現場ならではの専門用語編」です。こちらもあわせてチェックしてください。
プロフィール
株式会社アマナフォトグラフィ アマナ海岸スタジオ
24歳の時に広告写真業界に足を踏み入れ、28歳からカブラギスタジオでフォトグラファーとして約20年間従事。その後、2008年にアマナ制作部へ出向し、転籍後は撮影機材の管理運営に尽力し、現在は「安全と安心のアマナ海岸スタジオ運営」を心掛け、経験を生かしたサービスを提供している。好きな言葉は「Be Prepared」(備えよ常に)。
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株式会社アマナフォトグラフィ アマナ海岸スタジオ
2002年に所属していた撮影プロダクションがアマナグループに統合。2008年までアマナグループの撮影部門でフォトグラファーを担当。現在は、アマナ海岸スタジオで、撮影機材の運用・保守管理を担当。撮影現場の円滑な運営に心がけています。
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株式会社アマナフォトグラフィ アマナ海岸スタジオ
博物館でのお客様サービス・商品企画を経て、2015年スタジオアマナ(現 アマナフォトグラフィ)入社。海岸スタジオの受付や営業サポート業務を担当しています。最近は機材に興味津々。「かるく・やわらかく・さりげなく」を胸に、日々邁進しています。
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スチル撮影
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広告写真を中心としたスチル撮影で、アマナは40年以上にわたる実績を誇ります。商品などの被写体を的確に写すだけでなく、被写体の持つ価値や使う人のライフスタイルといった、見えない世界をビジュアルに汲み取る表現を追求してきました。その長年培ってきたノウハウをベースに、さまざまな個性と感性を持つフォトグラファーが、お客様の思い描くイメージを写真に具現化します。