「食材だけじゃない、おいしさを際立たせる料理写真のひと工夫」で、「シズルは、おいしさを伝えるためのスパイス」とお伝えしましたが、今回はより実践的に、その“スパイス”のある・なしを比較しながら見てみましょう。ほんの一部ですが、シズルの演出テクニックの実際をご覧ください。
この2枚のラーメンの写真、まるでまちがい探しのようですが(笑)比較していただいて、どちらがおいしそうに感じるでしょうか?
▲ シズル演出なし
▲ スープの表情と湯気、2つのポイントにシズルの演出
まったく同じシチュエーションで撮影したものなのですが、はっきりと異なるのは、れんげの中のスープの状態と、箸で持った麺から立ちのぼる湯気の有無です。
下の写真では、れんげをスープに入れた瞬間を撮ったので、れんげの中で脂と一緒にスープがぐるぐる渦巻いています。このスープの表情と湯気の2つのポイントにシズルの演出を加えるだけで、ちょうど今、「ハイ、お待ち!」とテーブルに運ばれてきたばかりの出来立てのラーメンだと感じさせることができるのです。
今度は、熱いラーメンとは反対に冷たいおいしさの表現です。
▲ シズル演出なし
▲水滴でシズルを演出
こちらの2枚の写真も撮影のシチュエーションはまったく同じですが、清涼感をともなうおいしさという観点で見るとかなり差があるのではないでしょうか。
まず気がつくのは、ボトルの表面に付いている水滴ですね。水滴がきれいに、それも自然なかたちで付いていることで、ボトルが冷えているのをすぐに感じ取ることができます。同様に、奥に配置したグラスの上部にも小さな水滴があり、下の氷のまわりに付いた気泡も多めになっています。
思わずグラスを手にとってゴクッと飲みたい —— そう思わせることができたら、シズル表現としては成功です。
2つのサンプルで、シズル表現が持つ伝える力を見ていただきました。まだまだいろいろなシズルのテクニックがありますが、相当にマニアックな世界であることは確かですよね。
でも、このちょっとした表現のちがいが、見る人においしさを呼び起こすことができるかどうかの鍵を握っています。ぜひ、シズル表現にこだわった訴求力のあるビジュアルで、効果的なプロモーションを展開してください。
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