Casper、Allbirds、GlossierなどのD2C(Direct to Consumer: 消費者に直接商品を販売する)スタートアップは、シンプルさ・中毒性の高さ・楽しさを兼ね備えた、ブランドアイデンティティのキャンディークラッシュ(キャンディーを3つ揃えて遊ぶマッチパズルゲーム)のようなものです。彼らは従来の消費財をおしゃれに変え、すっきりとしたウェブデザインや話題になる地下鉄広告でミレニアル世代向け市場のシェアを獲得しています。
これらのブランドは、競合他社が長年追求してきたことや業界を根底から覆すことで成功しています。彼らは、マーケティングのベストプラクティスに現代的な遊び心を加え、捉えどころのない若いオーディエンスにアピールしているのです。これらの企業にとって、D2Cはビジネスモデル以上のものであり、ブランドの基盤です。
新世代の優れたブランドは、自社のことだけを伝えすぎず、彼らがリーチしたい消費者のニーズや価値観を解釈して自分たちの言葉で伝えています。これは、すべての企業がアイデンティティについて再考しなければならない重要な変化です。
あなたのブランドもこの流れに乗りたいですか? それなら、以下の3つの戦略について考えてみましょう。
先述したブランドが消費者とエンゲージするとき、彼らは、自社の戦略の中核に位置する情緒的な消費者ベネフィットを高めるために、透明性が高く人間味に溢れた言葉を使っています。D2Cブランドは、業界に根付く価値基準を打ち砕き、製品を新たに解釈していますが、コミュニケーションに関してはこの限りではありません。
彼らは、人々が自分たちの事業など気にも留めていないことを理解しています。人々が気に留めるのは、製品が自分たちの生活にどう溶け込み、どんな影響を与えてくれるかです。そのため、Capsuleが販売するのは、新たに考案された調剤モデルではなく、あまり臨床的ではない、より人間的なつながりです。Curologyが販売しているのは、ニキビ治療薬ではなく、パーソナライズされた治療法です。そして、婦人服ブランドのCuyanaが販売しているのは、透明性の高いサプライチェーンではなく「いつもよりちょっと良いもの」です。
D2Cスタートアップは、既存の枠を突き破ったことを自画自賛せず、消費者に自社の存在理由を提示しています。その理由が正当で考え抜かれたものであるため、人々の注目を集めているのです。
あらゆるブランドが、より距離感が近く暖かみのあるコミュニケーションで信頼関係を築こうとしています。D2Cブランドは、あらゆる場所で「ソーシャルメディアコミュニケーション」を使用し、さらなる一歩を踏み出しています。ほとんどの企業はTwitterやInstagramで大胆なジョーク、タイムリーなフレーズ、絵文字を控えますが、これらのブランドは一般の人が話すような感覚で投稿をしています。
メイク製品で大ヒットを飛ばしたGlossierやパーソナルケアのスタートアップであるThinxやhimsは、自社のウェブサイトで絵文字を使い、トランザクションコピーをテキストメッセージのように感じさせています。あざといインターネット用語を意図的に避けているブランドでさえ、読者を会話に引き込むために修辞的な質問や口語的な表現を使っています。彼らは、ユーザーが購入を完了したときや、自社の広告において、一企業ではなく一人の人としてメッセージを送っているのです。
ブランドは対面型インタラクションやTwitterフィードにおいて人間味を抑えるべきではありません。ブランドは、人々が自社に対して持つイメージをコミュニケーションに反映させるべきであり、従来型のコミュニケーションでも真正性を失ってはいけません。
これらほぼすべてのブランドは、自社の立場や彼らが大切にしていることをシンプルな言葉で押し出しています。たとえば、Glossierの場合は「スキンファースト、メイクアップセカンド」、医療予約サービスZocdocは「患者ファーストの問題解決法」を提供しています。
このように、ブランドが大切にしていることを表現した言葉は、共通の価値観を打ち出すときに効果を発揮します。一部のブランドは、「当社について」のコピーに消費者運動の文化的な時代精神を取り入れています。Everlaneは「徹底した透明性」について語り、Thinxは「タブーを破る」ことを主張しています。
年齢や政治的立場を問わず、人々は購入したブランドに自分を重ね合わせようとするものです。ただし、意見を表明するために大規模なブランドの現状改革キャンペーンを立ち上げる必要はありません。真正な意見を持ち、消費者に共有しましょう。ブランドロイヤルティは、共通点を超えてつながりが生まれたときに始まるのです。
D2Cブランドが成功するための具体的な戦略はミレニアル世代向けに最適化されたものかもしれませんが、すべてのブランドが学ぶべき大きな教訓があります。ガラクタの中で埋もれることなく、文化の変化についていくためには、消費者がブランドの世界の一部であるというだけでなく、ブランドも消費者の世界の一部なのだということを彼らに伝えましょう。ブランドが人間味を持つべきだという教訓は、年齢や業界にとらわれるものではありません。
絵文字やバブルフォントは流行が廃れても、透明性の高い人間味あふれた言葉は魅力を失いません。情緒を高め、人々と会話し、自社が大切にしていることを打ち出せば、未来のブランドは自分たちの事業をより有意義なものにできるでしょう。
元記事「Once More, with Humanity: Lessons in Brand Identity from Direct-to-Consumer Startups」は2018年11月29日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はThe DrumのRachel Bennerが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
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