この記事はロンドンを拠点としたNewsCredのヨーロッパチームが作成しました。
大規模かつ複雑な企業でグローバルコンテンツマーケティング戦略の効果を発揮するためには、中央チームとローカルチームの適切なバランスを見つけなければなりません。
たとえ一カ国で上手く機能したとしても、同じコンテンツマーケティングモデルを複数の地域に導入するだけでは効果を最大限に発揮することはできません。何十もの国や言語が存在するアジアやヨーロッパのような大半の地域では、グローバルチームとローカルチームで初めからシームレスな協力を期待することは非現実的です。これらのチームが、グローバルとローカルの適切なバランスを計画、実験、反復、発見するには時間がかかります。
この記事では、適切なバランスを見つける方法について説明します。まずは主な用語を定義することから始めましょう。
採用されるコンテンツマーケティングモデルは、企業の組織構成とビジネスモデルによって左右されます。以下で、3つの最も一般的なモデルを見てみましょう。
<中央集中型モデル>
中央集中型組織は、一般的に中央にある企業チームが戦略と方向性を決定し、ローカルチームが実行します。
このモデルにおける中央チームは、各市場に必要なコンテンツの種類を理解しなければなりません。多くの場合、作成したコンテンツを適応させるために、地域レベルでチームメンバーや代理店を採用しています。
中央チームの役割は、プログラムが成熟するにつれて進化する可能性があります。初期段階の中央チームは、コンテンツの戦略と制作をリードし、情報と資産を外部に流します。プログラムが成熟するにつれて、彼らは助言を与える役割へと移行し、ローカルチームがコンテンツスキルとコンテンツコンピテンシーを構築する方法に指針を与えます。
NewsCredでは、「Content Center of Excellence(CCE)」というコンセプトを推進しています。CCEは、中央チームとローカルチームのパイプ役です。中央チームが包括的な戦略を提供するところまでは同じですが、CCEがベストプラクティスを促進し、コンテンツ制作と配信プロセスの透明性を確保するのです。理想は各地域にCCEチームを置き、各国に専用のコンテンツサポートセンターがあることです。
<分権型モデル>
分権型組織の場合、各地域がコンテンツ戦略とコンテンツ制作をリードします。私が取り組んできたのは、ローカルチームがコンピテンシーとリソースの面で独立していたため、中央組織に参加する理由がないケースでした。中央チームはブランディングのテンプレートとガイドラインを提供するだけですが、これは能力が試されるケースなので、あまり推奨していません。このモデルのリスクは、各地域で独自のコンテンツマーケティングプログラムを策定しているため、より大きな企業目標に向けて他の地域と連携できないことです。
分権型グローバルコンテンツマーケティングプログラムは、それぞれの国、地域、または事業単位ごとに異なるペルソナを持っている場合があります。しかし、理想的なのは、ローカル戦略、コンテンツ制作、予算、およびリソースを管理している国々で、中央チームがプロセスと方向性を設定することです。Pam Didner氏は著書『Global Content Marketing』の中で、チームがグローバルペルソナとローカルペルソナの共通の課題を見つけ出す「バンドエイドの妥協」を提案しています。これによって両チームの足並みが揃い、ローカルチームは独自のチームコンテンツを制作するのではなく、中央チームのコンテンツを使用させます。
分権型モデルは、いくつかの状況で緊張が生まれます。たとえば、中央チームはローカル市場を理解していないかもしれません。また、彼らは、ローカルチームが企業のメッセージを正確に伝えないことを懸念しますが、方向性を示したり是正措置を取ったりするのに十分な市場知識が不足しているかもしれません。または、プログラムを試して実験することをためらっているかもしれません。実験が失敗した場合、彼らはその国の信頼を損ない、「永遠に失われる」ことを恐れているのです。信頼とコラボレーションは、企業がこれらの問題を回避する最善の方法です。グローバルチームとローカルチームは、同じビジョンを共有し、同じ目標を達成し、信頼感をもって行動する方法で協力しなければなりません。
<理想モデル>
理想モデルは、通常、中央集中型モデルと分権型モデルの間に存在します。中央チームが目標を設定し、ローカルチームが目標達成方法を決定するというものです。多くの企業が現地の言語を必要とするため、多くの場合、コンテンツを一元的に作成して各国でギャップを埋められるようにすることは良い解決策です。これは、国がローカリゼーションプロセスを所有していることを意味しています。
私は、Didner氏が著書の中で、中央チームが確立すべき地域との関係を「サーバント(奉仕者)リーダーシップ」と定義したことに感銘を受けました。彼女は、「当社のパートナーシップが成功を収めたのは、『本社の役割は奉仕すること』という重要な要素のおかげだ」と書いています。
私がSchneider Electricのコンテンツマーケティング担当VPを務めた際、中央チームがB2BとB2Cのコンテンツ戦略を所有していました。私たちは、コンテンツ、ガイドライン、配信パッケージ、推奨されている注意事項と禁止事項を記載した文書を作成しました。そうすることで、各国がコンテンツを編集して各国の文化に適応させることができました。
実験国のコンテンツガイドラインの例
多くの場合、グローバルコンテンツマーケティングプログラムは、中央チームとローカルチーム間の最初のコラボレーションです。これは、さらに深化する社内変容の始まりを表しています。グローバルコンテンツマーケティング戦略の足並みを揃えることで、中央チームとローカルチームが組織全体で基本プロセスを確立しているのです。
しかし、プロセスは常にスムーズに進むわけではありません。ローカルチームが戦略、ブランディング、またはキャンペーンの指示に従わなければ、中央チームは不満を募らせるでしょう。一方、中央チームの行動が遅く、地元のペルソナやオーディエンスの共感を呼ばないコンテンツやメッセージを生み出せば、ローカルチームは苛立ちます。
中央チームもローカルチームも戦略を担当することは可能ですが、モデルによっては、ローカルチームが常に実行することでうまく機能することが多いです。その理由は、以下のとおりです。
地域での実行に対する本部のエンゲージメントレベルは、時間と状況によって変化する可能性があります。中央チームは、リソースとコンピテンシーが欠如している新興地域で重要な役割を果たしますし、ローカルチームが厳しい予算条件に苦しんでいる場合、中央コンテンツチームが主導権を握らなくてはなりません。
私の経験則からすると、分権型モデルであっても、中央チームは戦略、プロセス、ソフトウェアツール、ペルソナの策定、ビッグロックコンテンツの制作といった共通分野をリードすべきです。反対に、中央集中型組織であっても、中央チームは80/20の法則(パレートの法則)に従い、カスタマイズされたコンテンツをローカルチームが自由に制作できる裁量を与える必要があります。
これらの考慮事項はすべて、グローバルチームとローカルチームの適切なバランスを見つけ出すことがどれほど複雑であるかを示しています。問題を解決してコンテンツマーケティングの成功を推進できるのは、良好で継続的なコラボレーションの精神だけなのです。
Giuseppe Caltabianoは、コンテンツマーケティングとデジタルマーケティングに関する基調講演家および執筆家です。彼のブログ『国境を越えたコンテンツマーケティング』では、グローバルコンテンツマーケティングに関する記事をご覧いただけます。
元記事「Global Content Marketing: How Central + Local Teams Can Find the Right Balance」は2017年10月2日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はNewsCred BlogのGiuseppe Caltabianoが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
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