すべてのB2Bマーケターは、信頼を獲得し、取引を成立させるためには、見込み顧客および現在の顧客を惹きつけ、ニーズを予測することが必要不可欠であることを認識しています。しかし、企業が自社について自慢すると、多くの場合、人々は懐疑的になります。そこで考えたいのが、インフルエンサーの力です。あなたと協力してあなたのコンテンツを共有してくれる、評判が高くフォロワー数も多いインフルエンサーを見つけることができれば、インフルエンサーはあなたが提供する製品・サービスの熱烈な支持者としての役割を果たしてくれるからです。
B2Bインフルエンサーと協力することは、ブランド公認でコンテンツを共有する当たり前の方法となっており、さりげなくオーディエンスをファネルに沿って前進させる手助けもしてくれます。友人が、あなたが会いたいと思っていた人をパーティーで紹介してくれた場面を想像してみてください。全く見知らぬ状態でその人にアプローチするよりもはるかに効果的でしょう。
以下の統計を見ると、B2Bインフルエンサーがコンテンツマーケティングの戦略に与える潜在的な影響力は無視できないことがわかります。
インフルエンサーマーケティングの力が明らかになったので、次のステップでは、その詳細を学び、B2Bコンテンツマーケティングの戦術の一環として、その活用方法を学びましょう。
B2Cの分野では、インフルエンサーマーケティングを容易に行うことができます。たとえば、人気のユーチューバーがブランドの製品を使用してメイクのチュートリアルを投稿したり、フォロワー数の多いインスタグラマーが無料で宿泊させてもらう代わりにおしゃれなリゾートの写真をシェアしたりするといった形です。しかし、B2Bの分野では少し違ったものになります。
自分の力だけでソーシャルメディアのパワーインフルエンサーにのし上がったNeal Schaffer氏は、近刊予定の著書『インフルエンスのビジネス(The Business of Influence)」において、B2B領域におけるインフルエンサーマーケティングを15に分類していますが、最も人気のあるタイプはコンテンツ中心型、ソーシャルメディア型、イベント参加・レポート型であると述べています。「共通のテーマは、ブランドを強化するために、他人と接触して、彼らにさまざまな方法でインセンティブを与えることです」と彼は言いました。
ここでは、3つの主要なB2Bインフルエンサーマーケティングの詳細についてご紹介します。
この形態のインフルエンサーマーケティングを実施しているブランドは、インフルエンサーのコンテンツをキュレーションしたり、彼らとコンテンツを共同制作したりしています。そしてB2Bの分野では、ゲストとしてブログに記事を投稿してもらうことから、インフルエンサーのウェブサイトにスペシャルコンテンツとして掲載してもらうことまで、多くのことが進行中です。
ブランドの事例を2つ見てみましょう。
Dellのポッドキャスト: Walter Isaacson氏とのコラボレーション
Dell TechnologiesのPerspectivesコンテンツハブ(NewsCredが選ぶコンテンツマーケティングブランドBest50に選ばれました)では、前CNNのCEOであるWalter Isaacson氏がイノベーションとディスラプションのストーリーを紹介する「Trailblazers(先駆者)」という名前のポッドキャストを配信しています。彼は作家、ジャーナリスト、歴史の教授として広く知られ、尊敬を集めており、「スティーブ・ジョブズ」の伝記で名を馳せました。
Adweekは、このコラボレーションが「Dell Technologiesをさりげなく売り込む方法」だと指摘していますが、これは決して押し売りではありません。Isaacson氏は、Dellがこのシリーズのスポンサーであると述べており、ユーザーにDellのブランドウェブサイトにアクセスするよう促すコールトゥアクションが設定されています。
Ciscoのデジタルアドボカシーコミュニティ
Cisco Gatewayは、Ciscoの顧客(その多くは業界のインフルエンサーになっています)の意見を直接まとめたユーザー生成型コンテンツによって支えられているサイトであると、CiscoのEMEARマーケティングディレクターであるEmma Roffey氏は言います。
Gatewayは、顧客が自らのパーソナルブランドを成長させ、業界の先駆的なリーダーとしての地位を確立し、自らの成功例を披露する手助けをする会員制コミュニティです。Ciscoは、コンテンツをシェアしてくれた顧客への見返りとして、会員ネットワークグループへの参加、課題参加による報酬獲得のチャンス、Cisco Liveへの出席や登壇するチャンスを提供しています。
アカウントによるハッシュタグキャンペーンからゲスト招待型のTwitterチャットに至るまで、自社のソーシャルメディアコンテンツにB2Bインフルエンサーを招く機会は数多くあります。そのメリットは、インフルエンサーのフォロワーにリーチし、うまくいけばその一部のフォロワーを獲得して前進することができる点です。
Dellのブランドアンバサダー
Dellのもうひとつのインフルエンサーマーケティングの例は、強力なソーシャルメディアフォロワー数を持つ人々とのパートナーシップという形で行われています。たとえば、Mike Libecki氏は、National Geographic ExplorerとDell Ruggedのブランドのアンバサダーです。彼はDellの製品を使ってエキゾチックな場所を探検し、YouTubeやInstagramといったさまざまなソーシャルプラットフォームでその場所に関する記事を投稿しています。
耐久性のある#DellRuggedと一緒に 南極のペンギンとリラックスするよりもクールなことってある?
そんなことほとんどないよね、ほんとに!@NatGeoの探検家@MikeLibeckiが、#DellRugged Latitude Extremeを使用して、南極大陸から#naturalgeographicのフィードに載せるライブビデオを記録中!
GEの#GEInstaWalk
Instagramの人気フォトグラファーを活用しているもうひとつのブランドは、#GEInstaWalkをフィーチャーしているGEです。同社は、この戦略について次のように説明しています。「#GEInstaWalkは、Instagramの最高のフォトグラファーとGEのテクノロジーの熱狂的なファンの目から見た、GEの最先端施設におけるリアルタイムツアーです」。2013年に始まったこのキャンペーンの結果、新たに3,000人以上のフォロワーと約20万ものエンゲージメントが生まれ、毎年成長を続けています。
Schaffer氏は、B2Bインフルエンサーマーケティングのすべての類型の中で、イベント型が最も大きく伸びていると書いています。「ブランドは、業界イベントと全社的なイベントを開催しており、イベントの講演や拡散、プロモーションを行ってもらうためにインフルエンサーを呼び込んでいます」と彼は言います。「そうすることで成功を収めたケーススタディはたくさんあります」。
SAPのライブイベントカバレッジ
ソフトウェアソリューションブランドは、B2Bインフルエンサービデオマーケティングが非常に効果的であることを発見しました。「ほとんどの消費者はレビューや体験談に大きく依存しており、この分野こそ、インフルエンサーが消費者に最も大きな影響を与えることができる領域です」と、SAP Aribaの現インフルエンサーマーケティング担当ヴァイスプレジデントのAmisha Gandhi氏は記事の中で述べています。
SAPチームがSapphire Nowカンファレンスのプロモーションを行うために初めてインフルエンサーを活用しようとしたとき、11人の業界インフルエンサーを選び出し、ソーシャルメディアとSAPブログ上にライブビデオコンテンツを作成してもらいました。これにより、全体のオンラインチャットに対して、イベントのチャットが17%を占めるようになりました。
SAPのインフルエンサーたちは、数カ月後のIoT Launchイベントでも、このイベントをTwitterのトレンドトピックにランクインさせる手助けをしました。
インフルエンサープログラムを始めるのはそこまで難しいことではありませんが、時々ブランドが落ちてしまうよくある罠が存在するとSchaffer氏は言います。避けるべき落とし穴をいくつか紹介します。
非公認のインフルエンサーのコンテンツを作成すること。インフルエンサーに本当の意味で自社のブランドの手助けをしてもらうためには、インフルエンサーはセールストークや有料プロモーションのような感覚を持たずにブランドへの親しみを伝えてもらわなければなりません。有名人のツイートで自社ブランドを推薦してもらうことは、インフルエンサーコンテンツマーケティングと異なる行為で、効果もそれほどないとSchaffer氏が言っているのはこのためです。親しみやすく、業界について「詳しい」マイクロインフルエンサーに協力してもらうと、オーディエンスにより響くでしょう。
インフルエンサーにアプローチする前にインフルエンサーとの関係構築を怠ること。すでに自社のブランドに対する協力を仰ぎたいと思っている人がいるかもしれませんが、彼らが自社に協力してくれる機会に飛びつくと安易に考えてはいけません。インフルエンサーは忙しい人達だとSchaffer氏も言っています。「ソーシャルメディア上では、社会的にエンゲージできる機会がたくさんあります。インフルエンサーにリーチする前にまずそれを行い、インフルエンサーがぜひ協力したいと思うような企業になりたいなら、関係を構築してください」。
自社のインフルエンサーに対して非現実的な期待を持つこと。見込みインフルエンサーにやってほしいと思っている項目を長々と書き並べたリストを渡すことは、あまりにも事務的であるとSchaffer氏は言います。正式な契約(より複雑なインフルエンサー施策では時々発生することもあります)を締結していない限り、あなたがインフルエンサーに与えるべきものは、必要なアセットといくつかの初期ガイドラインだけで十分です。これを行ってから、彼らには自分の業務に専念してもらいましょう。そちらの方が自然なアプローチだからです。
B2Bインフルエンサーと協力する準備が整ったら、以下のチェックリストに従って施策を拡大させましょう。
インフルエンサーは、コンテンツマーケティングを推進し、ブランドのリーチを拡大してくれます。しかも多くの場合、投資額は最小限に抑えられます。自社の分野のVIPを特定し、彼らと双方にとって有益な関係を築くことによって、あなたは自社のコンテンツを拡散させ、自社のコンテンツマーケティングを最大化することができます。
Dawn PapandreaはNewsCredの寄稿者です。
元記事「The Power of B2B Influencers for Content Marketing」は2018年5月1日にInsights.newscred.comに掲載されました。
この記事はNewsCred BlogのDawn Papandreaが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。
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