Eメール配信のニュースレター、ソーシャルメディアチャネル、Webサイトパーソナライゼーション。これらの共通点は何でしょうか。
それは、どれも絶え間なく「燃料」を必要としているという点です。そして、その「燃料」とはコンテンツなのです。
コンテンツマーケティング施策を運用するということは、日帰り旅行とは異なります。成功を収めるまでには、行きつ戻りつする、長い道のりを経る必要があります。成功する上で最も重要なのは、コンテンツを絶え間なく流し続けることにより、すべてのデジタルチャネルでオーディエンスを引きつけ、エンゲージメントを構築し、つなぎ止めることです。長距離ドライブにはガソリンの絶え間ない供給が不可欠ですが、まさにそれと同じことです。
ライセンスドコンテンツが、その絶え間ない燃料の供給源となります。NewsCredで紹介した極めて有効なコンテンツマーケティング施策のすべてにおいて、ライセンス済みプログラムは欠かせない要素となっています。ライセンスドコンテンツとブランド自身のオリジナルコンテンツを組み合わせることが、オーディエンスを引きつけ、つなぎ止め、さらにコンテンツマーケティングのROIを最大化する上で、理想的な方法となります。ライセンスドコンテンツを利用するブランドでは、クリックスルー率とエンゲージメント率、オーディエンスの成長速度、再訪率のどれもが、より高い傾向にありました。NewsCredの顧客企業の80パーセント以上が、コンテンツマーケティング施策の一環としてライセンスドコンテンツに投資しているのには、こういった理由があるのです。
ライセンスドコンテンツは、「シンジケーテッドコンテンツ」、「サードパーティコンテンツ」とも呼ばれています。これは、他者によって制作され、その制作者が法的な所有権も保持しているコンテンツのことです。コンテンツの所有者(ライセンサー)はクライアント(ライセンシー)にライセンスを発行し、記事全文の複製を、クライアントの所有する媒体で、元の形のまま再掲載することを許諾します。ライセンス条項には通常、コンテンツの掲載が許可される場所(たとえば、ライセンシーのコンテンツハブ)、掲載可能期間、許可される宣伝および拡散行為が記載されています。その他のライセンス条項には、以下のような使用条件が含まれます。
以下に、ライセンスドコンテンツの例を2つ紹介します。
コンテンツ戦略の一環としてライセンスドコンテンツを利用することには、多くのメリットがあります。しかし、ライセンスドコンテンツがコンテンツマーケティングを助けてくれるのか、それとも損ねてしまうのかについては、多くの混乱も生じています。ライセンスドコンテンツがSEO対策を後押しすると考えるコンテンツマーケターがいる一方で、ライセンスドコンテンツを利用すればGoogleからペナルティが科されるのではないかと危惧する関係者もいます。また、ライセンスドコンテンツが投資に見合うのか、その投資資金を使ってフリーランスライターに記事一式を依頼する方がよいのではないかと疑う人もいます。
そこで求められるのは、事実関係の明確化です。コンテンツマーケティング施策にとって何が最適なのか、十分な情報に基づいて判断が下せるよう、ここに、ライセンスドコンテンツに関して多く見かける主張と、それに対する率直な回答を示します。
事実:正しいとも間違っているともいえます。
解説:ライセンスドコンテンツによって、検索エンジンにインデックスされる、より多くのコンテンツを公開することができ、ブランドのSEOに貢献します。ライセンスドコンテンツを利用すれば、ブランドは特定のテーマやキーワードに沿ったコンテンツの厚みを増すことができ、その領域における権威を確立しやすくなります。また、ソーシャルメディアにおけるシェア、バックリンク、内部リンクも活発化できます。これらすべてが、SEOの効果を向上させる要因となります。
一般に信じられていることとは異なり、適切に利用すれば、ライセンスドコンテンツがSEO対策の妨げになることはありません。コンテンツの利用が合法的な配給関係に基づいていて、検索エンジンをあざむくための不正な試みではないということが明白な場合、重複したコンテンツへのペナルティというような事象は発生しません。ライセンサーはしばしば、ライセンスドコンテンツにcanonical URLの記載を要求します。canonical URLによって、コンテンツが合法的にライセンスされていることを確認できます。
しかし、ライセンスドコンテンツがGoogle検索で高い検索順位を得られると期待してはいけません。高い順位は得られません。ライセンスドコンテンツは、強力ではあるかもしれませんが、他の場所で既に掲載されたものなのです。canonical URLを記載することによって、オリジナル記事のSEO効果が保護され、常に掲載元が検索結果の先頭に来ることが保証されています。
事実:そのとおりですが、注意点が1つあります。
解説:ライセンスドコンテンツが非常に役立つのは、たとえば新しいコンテンツハブや特化型メディアを一から立ち上げるときです。基本的に、特定のトピックに関して厚みを持ったコンテンツを構築する必要があるときには、必ず役立つといえます。ライセンスドコンテンツはあらかじめ構想、調査、執筆、編集、校閲が済んでおり、したがって、すぐに掲載できます。そのため、コンテンツ制作プロセスに費やす時間が節約できるのです。
また、ライセンスドコンテンツはオリジナル記事の発注よりも低コストです。そのため、新しいトピックや形式を試し、何がオーディエンスからの反響があるコンテンツなのかを知る上で、費用対効果の高い方法といえます。ライセンスドコンテンツは、旬の移り変わり、戦略の修正に応じて、新しいトピックを迅速かつ容易に立ち上げる上で役に立つのです。
さらに、ライセンスドコンテンツはブランドが速報性のある情報に反応するためにも役立ちます。報道機関は速報に対応できるよう作られており、また、消費者向けパブリッシャーは製品発表や企業からのアナウンスに関する事前通知を得られますが、多くのコンテンツマーケターは、即時の情報に対応するための備えを持っていません。ライセンスドコンテンツは、こうした差を埋めるために役立ちます。たとえばNewsCred Insights(英語版)では、コンテンツマーケターに影響が出そうな、ソーシャルネットワーク上の新機能やアルゴリズムの変更といった情報をカバーするために、ライセンスドコンテンツを用いることがよくあります。
Fast CompanyからライセンスされNewsCred Insightsに掲載された記事の例
しかし、ライセンスドコンテンツを利用する際に注意しなければならないことが1つあります。それは、コンテンツのキュレーションは難しい仕事になることも多いということです。記事として理想的なのは、ブランドに即していて、意見や論調、読者から引き出す反応が適切で、しかも競合他社への言及を含まないものですが、そういった記事を見つけるために、コンテンツマーケターはいわば大量の発掘作業をこなすことになります。マーケターはコンテンツを編集できないので、この点は重要な検討事項となります。
事実:確実に役立ちます。
解説:高品質かつ実用的なコンテンツの安定供給は、オーディエンスのエンゲージメントを構築する上で非常に重要です。コンテンツを消費する場合を考えてみましょう。あるブログにアクセスしたとして、そのコンテンツが「今」に合わなければ、そのブログにアクセスすることは二度とないでしょう。それと同じで、企業によるEメール配信のニュースレターに登録するとしても、ソーシャルメディアで企業をフォローするとしても、その企業が宣伝以外の情報は何も提供していなければ、ただちに登録を解除するはずです。
ライセンスドコンテンツは、ブランドが自身のチャネルへ「燃料」を注ぐ上で役立ちます。ブランドはライセンスされた記事を利用して、ソーシャルメディアやEメールでオーディエンスとエンゲージメントを構築することができます。NewsCredがInsightsのニュースレターで1か月に及ぶ実験を行った結果、ライセンスドコンテンツからはオリジナルコンテンツとほぼ同じエンゲージメントが得られるということが分かりました。これが示す価値は、ライセンスドコンテンツによってオーディエンスとエンゲージメントを持てるというだけのことではありません。コンテンツマーケターは、オリジナル記事に取り組むための余裕を喉から手が出るほど欲しがっていますが、ライセンスドコンテンツはその余裕をも与えてくれるのです。
また、ライセンスドコンテンツはNewsCred Insightsの2017年における全トラフィックの9パーセントを構成していました。有償の宣伝行為をそのために行ってはいません。トラフィックはソーシャルメディアやEメールのエンゲージメントという、純粋にオーガニックのものに起因していました。
事実:場合によります。
解説:ライセンスドコンテンツの利用には多くのメリットがある一方で、多少の欠点も存在するため、オリジナルコンテンツの価値の方が高いという感覚も生じ得ます。
これまで見てきたように、ライセンスドコンテンツはSEOに対していくつかの面では有用ですが、Googleで検索ランキングのトップを獲得し、コンテンツハブへのオーガニックのトラフィックをより促進できるのは、オリジナルコンテンツだけなのです。
また、ライセンスドコンテンツでは、企業独自の話題を提供したり、企業幹部の専門知識を紹介したりはできません。それを行うためには、自社のコンテンツを制作する必要があります。しかし、ライセンスドコンテンツにより、トレンドや分析を紹介したり、何かの重要性についてジャーナリストの公平な意見を提供したりする場合には、少量のライセンスドコンテンツがオリジナルコンテンツを完璧に補完し得るのです。こうしたライセンス済みの記事によって、オーディエンスの欲求を刺激し、なぜその企業が、特定のサービスや製品を最も適切に提供できるのかというメッセージを受け取る用意をしてもらえます。ライセンスドコンテンツとオリジナルコンテンツ、両方の形式を効果的に使用することで、それぞれの形式を補完することが可能です。
さらに、評判の高いパブリッシャーからのライセンスドコンテンツは、ブランドエクイティという形で大きな役割を果たします。これは金融サービスや製薬など厳しい規制があり、コンテンツの正確さを厳しく審査する必要がある業界において、特に重要な点です。パブリッシャーのブランドネームと実績ある審査プロセスにより、マーケターが自信を持って記事を使用できるだけでなく、読者も記事を信用できるようになります。NewsCred Insightsのニュースレターで昨年実施されたA/Bテストでは、パブリッシャーの名前を明示した記事タイトルと、していないものとの間で、クリックスルー率を比較しました。すると、パブリッシャーの名前を含んでいる記事のクリックスルー率が、そうでないものより19パーセント高く、パブリッシャーのブランドエクイティがユーザーの行動を後押しするということが実証されました。
事実:確実に貢献します。
解説:有償メディアにおける最近のキャンペーンで、NewsCredは別々の記事を10本テストしました。そのうち、3本はライセンス済みのもので、7本はオリジナルでした。ライセンス済み記事のうち1本が、キャンペーンが生み出したコンバージョン全体の50パーセント近くに貢献しました。そのライセンス済み記事がなければ、産み出されたリードの件数は少なくなり、1クリック当たりの費用も上昇し、キャンペーンは成功から程遠い結果に終わっていたでしょう。それに、そもそも当該記事1本をライセンスするのにかかった費用は、オリジナル記事1本の制作費よりも安かったのです。ライセンス済み記事をキャンペーンに加えたことは、全体の支出を引き下げ、ROIをさらに向上させる結果となりました。
事実:それは違います。
解説:コンテンツ戦略の一環として、常にオリジナルコンテンツがあるべきです。自社による創造的かつ詳細なオリジナルの記事を通し、ブランドや会社独自の話題、視点を紹介する必要があります。コンテンツマーケティング施策が最大限の成功を収めるためには、ライセンスドコンテンツとオリジナルコンテンツの両方が必須です(実際、SEOの専門家はコンテンツマーケティングハブにおけるライセンスドコンテンツの構成比が全コンテンツの50パーセント以下であることを推奨しています)。オーディエンスとのエンゲージメントを構築し、オーディエンスを満足させ、ROIを押し上げてくれるコンテンツマーケティング施策を、コンテンツマーケターが実施・推進するにあたって、コンテンツの2つの形式は車の両輪として役に立つのです。
Jennifer StengerはNewsCred社事業開発部のバイスプレジデントです。
元記事「Licensed Content 2018: The Definitive Guide」は2018年2月8日にInsights.newscred.comに掲載されたものです。
この記事はNewsCred BlogのJennifer Stengerが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたします。
また、日本におけるNewsCred パブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。
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