コンテンツマーケティングとマーケティングオートメーション: コンテンツ戦略とデマンドジェネレーションの互恵関係

マーケティングオートメーションプラットフォームは多くのB2C、B2B企業にとって中心的なテクノロジー群となりました。この強力なソフトウェアツール(たとえば、MarketoEloqua)を用いれば、マーケターは、定期的なスケジュールに沿ったメール配信を行ってリードをスコアリングし、リードのデータベースをナーチャリングすることができます。

マーケティングオートメーションプラットフォームは長年にわたり、複雑かつ高コストで、専用のリソースを必要とするものであり、デマンドジェネレーションチームに投資し、運用することに積極的な企業だけが利用できるものでした。しかし今では、どんなに小さいチームでも、スマートで、自動化され、パーソナライズされたマーケティング用Eメールをオーディエンスに提供できるよう、MailChimpのような破壊的イノベータが手を貸してくれています。

とはいえ、マーケティングオートメーションの導入しやすさが増してはいても、デマンドジェネレーション(通常、マーケティングオートメーションプラットフォームを有しているチーム)とコンテンツマーケティング(有していないチーム)とは、依然としてそれぞれ縦割りで業務を行っていることが多いのです。コンテンツマーケティングがパフォーマンスの世紀に移行し、マーケターは自らの業務の価値を証明する必要があるため、デマンドジェネレーションとコンテンツマーケティング双方のチームによる協調が極めて重要となっています。デマンドジェネレーションにおける測定データについての考察がなければ、コンテンツマーケターはROIを証明することができません。またコンテンツがなければ、デマンドジェネレーションチームの取り組みが真価を発揮することはありません。

この記事では、マーケティングオートメーションを用いた運営業務の中で、コンテンツマーケティングが、どこに、どのように位置づけられるのかを見ていきます。また、NewsCredが自分たちや顧客企業のため、デマンドジェネレーションとコンテンツマーケティングの間をどのように橋渡ししたのかという実例もご紹介します。

バイヤージャーニー全体におよぶテクノロジー

バイヤージャーニーについて考えるとき、コンテンツマーケティングはファネルの働きの最上部にあると認識されることが多いのに対し、デマンドジェネレーションはファネルの中ほどや下部に位置しています。コンテンツは、バイヤージャーニー上のどのステージでも重要な役割を演じているので、この認識は徐々に変わりつつあります。しかし、マーケティング活動におけるテクノロジー/ツール群マーケティングテクノロジースタック)の観点からいうと、この認識は実際、依然として非常に正確なものです。

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では、ファネルの各段階を見てみましょう。

ファネル上段のプラットフォーム:アナリティクスパッケージ

テクノロジースタックの最上段にはGoogleアナリティクスやOmnitureのようなアナリティクスプラットフォーム、および、NewsCredが提供するようなコンテンツマーケティングプラットフォームが存在します。これらのプラットフォームは以下のような計測データを用いて、Webサイト全体の健全性やオーディエンスについての情報をマーケターに提供します。

  • トラフィック:ページビュー、ユニークビジター数
  • エンゲージメント:エンゲージメント率、平均エンゲージ時間、新規訪問者とリピーターの比率
  • 地理/デモグラフィックデータ:位置情報、年齢
  • コンテンツパフォーマンスメトリクス:ページ、トピック、筆者、形式
  • 行動へのコンバージョンに関するデータ:購読登録、価値の高いページへの訪問

これらのデータは、人々がどこから来るか、何をするか、その行動の要因は何か、という点について、詳細かつ重要なストーリーを伝えてくれます。しかし、これらの計測データが伝えてくれるのは、ストーリーの始まりの部分にすぎません。アクティビティの結末、すなわち、リードジェネレーションについては、何も語りません。

そこで、マーケティングオートメーションプラットフォームの出番となります。

ファネル中段のプラットフォーム:マーケティングオートメーション

ニュースレター購読を促すポップアップであれ、閲覧制限のあるリソースであれ、問い合わせフォームであれ、人々をファネルのさらに下方へ至らせるために用いる手法の到達地点は、たいていマーケティングオートメーションプラットフォームの中です。

リードは最終的に、ファネル最下段でCRM内の連絡先へと変換されるのですが、マーケティングオートメーションプラットフォームは通常、すべてのリードに対するレポートを生成する中心的な役割を担います。マーケティングオートメーションプラットフォームはリードの評価を行うためです。したがって、このプラットフォームはクオリファイドリード、いずれクオリファイドとなるであろうリード、クオリファイドとはみなせないリード、さらに、これらのリードを後押ししたキャンペーン、などの全体図を把握しています。マーケティングオートメーションプラットフォームは、リードがどこから来たのか、そしてなぜクオリファイドリードとされるに至ったのかに対して「裏づけ」を与えるツールなのです。

結論として、コンテンツマーケティングチームは、デマンドジェネレーションチームと緊密に連携して、リードを後押ししたコンテンツに対する評価を受けとる必要があります(注:コンテンツに対する適切な評価を受けとるために、コンテンツマーケターはリンクや主要なコールトゥアクションにUTMパラメータを付与すべきです)。

これは、NewsCredが顧客企業ともども、特に重視する領域の1つです。NewsCredのコンテンツマーケティングプラットフォームは、コンテンツマーケティングがいつ、Eメール購読やフォーム入力など高い価値のコンバージョンを後押しして、そういったリードがマーケティングオートメーションプラットフォームに加わるに至ったかを可視化する、強力な機能を備えています。

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ファネル下段のメトリクス:CRMプラットフォーム

リードジェネレーションは、多くのマーケティングチームにとって有力なKPIです。しかし、ROIを証明するためには、これらのリードが収益をもたらさなければなりません。マーケティングオートメーションプラットフォームはSalesforceのようなCRMにリードについての大量のデータを渡しますが、最終的なレポートは常に、マーケティングオートメーションから生まれます。これはもしかすると、コンテンツの影響度を最も証明しづらい領域の1つかもしれませんが、NewsCredのプラットフォームが大いに重点を置く領域でもあります。

これらのデータすべてにおいて重要な点は、評価するという観点から、以下の点を示すことにあります。すなわち、コンテンツマーケティングチームはテクノロジースタック上段に位置するツールに頼ることが多いのですが、こういったツールは成果を証明する上では何からなにまでデータに依存しているのです。だからこそ、NewsCredは顧客企業とともに計測フレームワークを構築し、上記のようなKPIやテクノロジーをマッピングしています。以下に、NewsCredのようなB2B企業向けデータの一部を簡単に示します。

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コンテンツテクノロジーがファネルの上段に位置するものであっても、コンテンツの影響はファネルの下段にまで及びます。デマンドジェネレーションチームが成功のためコンテンツチームに強く依存するようになる、もう1つの理由がここにあります。

マーケティングオートメーションにおけるコンテンツ

私たちNewsCredは、リードジェネレーションおよびリードナーチャリング達成のため、Eメール配信のニュースレターを大いに活用しています。実際、NewsCredのニュースレターは高い価値を持つリード全体のうち58パーセントを生み出しています。しかし、このような成功はコンテンツチームとデマンドジェネレーションチームが戦略にもとづき、緊密に連携しているからこそのものです。

同じような状況は、NewsCredの顧客企業においても見られます。コンテンツマーケティングチームは、コンテンツによりオーディエンスを拡大するという仕事を見事にこなし、ニュースレター購読者の大規模なデータベースをもたらしています。

しかし、デマンドジェネレーションチームが購読者に宣伝素材を雨あられのごとく浴びせ始めると、コンテンツの段階で生み出された信用と信頼はたちまち損なわれ、ニュースレターがすみやかに登録解除されてしまうという、当然の結果に終わります。さらによくないケースでは、デマンドジェネレーションチームはリードに一切手を触れることもなく、リード達は、匿名かつ無価値な状態で放置されることになります。

緊密な連携が全員の利益になるのは、こうした場合です。コンテンツからのリードがコールドリードよりも35倍高いコンバージョン率を持つケースは、幾度となく見受けられました。そのため、戦略にもとづく連携は、コンテンツチームとデマンドジェネレーションチームの双方にとって利益になるといえます。

1. リードナーチャリング

訪問者がNewsCredのニュースレターに登録した時点は、まだ始まりにすぎません。次に起こることこそが、成功の鍵です。NewsCredのコンテンツチームはデマンドジェネレーションチームと協働して、「ウェルカムシリーズ」を作り上げました。これは、訪問者がニュースレターに登録したとき、その人に関連性のあるメッセージングを自動で提供し、より高い価値を持つフォームへの記入を訪問者に促すものです。

これについての簡単な例を挙げます。

Liam氏はGoogleアナリティクスについての記事を読んでいるときに、ニュースレターに登録しました。彼がNewsCredから受け取ったお礼メール(開封率60パーセント)には、NewsCredがアナリティクスに関して有する重要なホワイトペーパーやオンラインセミナーについて、あらゆる事項が書かれています。そして、Liam氏は高い価値を持つフォーム、つまりホワイトペーパーのダウンロードや、オンラインセミナーの申し込みフォームに記入し、Marketoでスコアリング可能なリードとなります。

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単純に思えるかもしれませんが、この戦術にはチーム間の連携と、マーケティングオートメーションプラットフォーム内部にまで至るコンテンツ戦略の継続性が必要とされます。しかし、挙がってくる成果には、それに見合うだけのものがあります。NewsCredが「ウェルカム」Eメール戦略を開始したとき、購読者となって一週間以内に2番目のフォームへ記入するリードは5増加しました。それによって、MQL(マーケティングクオリファイドリード)にも多大な影響がありました。

2. リードのスコアリング/評価

ほとんどのマーケティングオートメーションプラットフォームは、何らかのリードスコアリング機能を有しています。これらの機能は、本質的には、リードの情報に行動レイヤーを追加して、さらに評価するための簡単な方法です。ホワイトペーパー入手フォームに記入した人は、潜在的な顧客としての属性(デモグラフィックデータ、地理データ)をすべて備えているかもしれませんが、その人が関心を持っていることを示すアクションを起こしていなければ、コンバージョン率は低いことが多いのです。関心があることを示すアクションの例としては、次のようなものがあります。

  • 価格設定ページへの訪問
  • 製品/サービスのページへの訪問
  • 短期間での複数回の訪問
  • ファイルのダウンロード

この種の行動をリードに促すのは難しいため、時間もかかるかもしれません。コンテンツは、この期間を短縮する上で重要な役割を果たすことができます。NewsCredが従来型のリードナーチャリング方式、すなわち宣伝用Eメールの送信を採用していたとき、メール開封率は低く、しかも、さらに減少していきました。そこで、私たちはコンテンツをEメールの中心的要素としました。

NewsCredのニュースレター開封率とクリックスルー率は、毎週着実に上昇しています。これによって、リードがクオリファイドリードのステータスに移行するのが早まっていて、デマンドジェネレーションチームにとって大きな恩恵となっているのです。

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その結果、コンテンツはMQLを生み出す上で非常に重要な要素となっています。またデマンドジェネレーションチームにとっては、エンゲージメントの向上、MQLに至るまでの時間短縮、Eメールの成果向上など、自身の取り組みのパフォーマンスメトリクスが好転しています。

チーム同士が連携したとき、全員が勝者となるのです。

まとめ

マーケティングオートメーションは、テクノロジースタックとバイヤーファネルの重要箇所に位置します。コンテンツマーケティングにおいては、チーム間の連携状態によっては、成功を促進するものにも、失敗要因にもなり得ます。

コンテンツマーケターにとっては、デマンドジェネレーションチームと適切に協働してコンテンツに対するアトリビューションを得られるよう、プラットフォーム内に存在するKPIを把握することが肝要です。また、コンテンツ戦略をフォーム入力で終わらせないことも重要です。マーケティングオートメーション活動にコンテンツを取り入れれば、関わっているチームすべての成果を向上させることが可能です。

ABM(アカウントベースドマーケティング)のような取り組みの評判が高まるにつれ、また、オーディエンスが、パーソナライズされ、よく設計されたマーケティングタッチポイントへ、より多くを望むようになるにつれ、ファネル全体にわたるコンテンツ戦略を有することの重要性が増していくことでしょう。

Liam MoroneyはNewsCred社の分析部門ディレクターです。

この記事はNewsCred BlogのLiam Moroneyが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願いいたします。

 

また、日本におけるNewsCred パブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

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