2014年秋、世界有数のコンテンツマーケティングプラットフォームであるNewsCredは、ミレニアル世代が現在の良いもの、悪いもの、不快なものを含めたコンテンツをどのように見ているのかを理解するため調査を行いました。この調査は、MBC Researchが米国のミレニアル世代501人を対象に実施しました。その結果、調査回答者の62%がオンラインコンテンツによってブランドに対するロイヤルティは高まると考えているにもかかわらず、日々の問題解決に役立たない、長すぎる、宣伝色が強すぎる、あるいはメッセージが個人の文化的関心に合っていないという理由から、現在目にしているコンテンツには良い印象を抱いていないことがわかりました。以下の考察は、NewsCredの調査にYahooおよびeMarketerが行った調査の結果を加味して得られたものです。ミレニアル世代という言葉はおなじみだと思います。もし聞いたことがないとしたら、きっとマーケティング分野に携わっていない人か、ずっと文明社会から離れて暮らしていた人でしょう。ミレニアル世代は、マーケターに現在最も注目されている層であると同時に、把握が難しい層でもあります。その購買力は2020年までに1.4兆ドルに達すると見込まれており、コンテンツマーケティングを通じてこの世代とつながり、関係性を維持することは、ブランドにとって急務となっています。
*2014年のYahooの調査「Content Marketing: Best Practices Among Millennials」
ミレニアル世代を引き付けるには、彼らの個人的関心に合ったコンテンツを作ることがきわめて重要です。つまり、彼らの年齢、行動範囲、文化的関心に常に留意する必要があるわけです。また、彼らがどのような人であり、どこで活動をし、何に関心を示すのかを深く理解する助けとなるツールも必要です。
NewsCredの調査によると、ミレニアル世代がポジティブな反応を示すのは、コンテンツが以下に当てはまる場合です:
これはブランドにとって何を意味するでしょうか。コンテンツの主題、有名人による支援、提供する資金について決める前に、ミレニアル世代がどのような人なのかを、そして、そもそも彼らが関心を持つのかを正確に把握しなければいけません。ターゲットとするミレニアル世代は全体として広範になりえますが、「20~35歳の米国在住男性」という層に向けてコンテンツを供給することはできません。そうではなくて、「女性、23~25歳、ニューヨーク市地下鉄L系統のベッドフォード・アベニュー駅を利用、セイント・ヴィンセントの曲が好き、Beacon’s Closetで服を買う」とか、「男性、28~30歳、ロサンゼルス在住、タイラー・ザ・クリエイターの曲を聴く、服は全身Supremeブランド」という層に向ける必要があります。
また、「ビヨンセがバークレイズ・センターの公演で何を着ていたか」とか「フリートウッド・マックがローズボウルで演奏する」といったことに、ミレニアル世代が今以上の関心を持つかどうかも知っておく必要があります。これはジョークと感じられるかもしれませんが、実際のところ、ミレニアル世代は自分と関係するコンテンツにしか時間を割かないのです。
ミレニアル世代に押し寄せるマーケティングメッセージの数は、1日あたり5,000にのぼります。彼らは自分の生活に価値をもたらさないものを完全に無視するようになりました。コンテンツが日々における負担でしかないなら、読むための時間を割いてはくれません。実際、ミレニアル世代の64%は有益なコンテンツにポジティブな反応を示す一方で、30%が、面白くなく、ためにもならないコンテンツを読むことは拒絶します。
これはブランドにとって何を意味するでしょうか。有益であれ、ということです。影響を与える、ためになる、あるいは楽しませるコンテンツを作りましょう。この3つのどれにも当てはまらないときは、削除ボタンを押して、やり直しましょう。NewsCredの調査によれば、ブランドが、何かを教えてくれる興味深いコンテンツを提供するとき、ミレニアル世代の31%はそのブランドを買う可能性が高くなります。
NewsCredの調査によれば、ミレニアル世代の60%は、コンテンツが「啓蒙的、知的と思える」ときにしか、それをシェアしません。では、その逆を考えてみましょう。「退屈」で、「くだらない」。この2つはブランドと関連付けたくない言葉であるはずです。コンテンツはミレニアル世代にとって影響を与え、ためになり、楽しませるものであるだけでなく、ブランドならではの視点を映し出したものである必要があります。受け手を考えさせ、シェアをうながすものであるべきです。賢い印象を与えるものであるべきです。現代において、人々の注意力が続く平均時間は、金魚のそれよりも短いのです。だからといって、すべての記事を「~するための10の方法」のような、リスト形式にすべきというわけではありません。長文形式の時代が終わったわけではないのです。ただ、コンテンツがマーケティング上の計略による空虚な産物に感じられてはならないということです。
これはブランドにとって何を意味するでしょうか。視点や立脚点を設定せよ、ということです。ミレニアル世代との対話において、彼らの関心を引きつけるためにブランドの作るコンテンツが貢献できるかどうか、一歩引いてから問うてみましょう。コンテンツが啓蒙的、知的と思えるなら、ミレニアル世代はシェアするでしょう。
笑うことはお好きでしょうか。そうですよね。ミレニアル世代も(そして、ほとんど誰でも)、やはり笑うことが好きです。ところで、これは笑いだけでなく、感情一般について言えることなのです。ミレニアル世代はコンテンツと、さらにはブランドと、つながりを持つ理由を欲しています。感情的なつながりを築くことができれば、信頼も築くことが可能です。
これはブランドにとって何を意味するでしょうか。まず、どういった感情が反応として返ってくれば、ブランドの大目的に沿っていることになるかを決めましょう。それは希望に満ちている状態でしょうか。それとも、幸福感でしょうか。感情を一そろい決めておけば、コンテンツを作っているときも、見直しているときも、チェック項目として使用できます。
「一般的に、ミレニアル世代は産まれる前からFacebookに投稿しています」とまで言えば誇張のしすぎですが、実際のところ、ミレニアル世代は多種多様なプラットフォームでコンテンツを消費していて、好まれるプラットフォームは猫の目のように変わります。コンテンツを適切なチャネルに置くことは、ミレニアル世代との関係維持の一端を担っています。NewsCredの調査によると、コンテンツを探すことにかけては、依然としてGoogleとFacebookが勝利を収めています。Facebookは、ミレニアル世代向けのコンテンツがシェアされる場としてもトップを走っています。しかし、以上の考察を、ブランドのターゲットが抱く文化的関心と合わせて考えることが重要です。
これはブランドにとって何を意味するでしょうか。18~25歳のミレニアル世代にリーチしようとするとき、彼らがチェックしているプラットフォームは、30~35歳の父親世代と異なっている可能性が高い、ということです。
Image: Orange is the New Black
Netflixは、独占配信番組のプロモーションを目的として、ターゲティングしたコンテンツとシェア可能なコンテンツの両方を使うことに長けています。ヒット作『Orange is the New Black』の第2シーズン配信開始に際し、NetflixはTwitter上でインタラクティブなイベントを開催しました。また、登場人物の中で人気のある1人をTwitterのハッシュタグにし、さらに、シェア可能なコンテンツが詰め込まれたスマホアプリも開発しました。
その成果がどうだったかというと、第2シーズンの配信初日までの1週間で、SNSなどでの言及が98,407件にのぼり、98%が肯定的なものでした*。Netflixの全加入者数はその四半期に5,000万を超えましたが、NetflixのCEOとCFOは、それを『Orange is the New Black』の成功によるものとしました**。
*NY Daily News紙、2014
**Mashable、2014
Inspire Her Mind – Verizon WirelessによるVerizon社のコマーシャル
Rosetta Marketingの調査によると、ミレニアル世代の37%がコーズマーケティングを進んで受け入れ、社会貢献に関わるブランドからは商品を購入する可能性が高まると回答しています。つまり、ミレニアル世代は持続可能性、LGBTの平等、アニマルレスキュー、貧困層への援助などといった話題に関心があるということです。コーズマーケティングの実例には素晴らしいものがたくさんありますが、TOMS社の「One for One」プログラムは良い手本になるでしょう。これは、売れた靴1足ごとに困窮者1人を援助するというものです。Verizon社が最近発表した『Inspire Her Mind』も見習うのに良い例です。これは、大学の理数系課程において、女性と男性の学生数に深刻な差があるということを再認識させる広告です。
Louis-Thomas PelletierによるDenny’s Always Open – サラ・シルバーマン
ミレニアル世代へリーチするにあたっては、コンテンツの形態がきわめて重要となります。New York Times紙の2013年10月の調査によれば、ミレニアル世代の34%が主に視聴するのはオンラインのビデオであり、テレビ放送ではありません。しかし、正式なイメージを持ったコンテンツを作るために、第三者のソースが持つ創造性や信ぴょう性を活用しなくてはならない場面はあります。
Denny’sは18~34歳の顧客層にリーチしようと、College Humorと共に、ブランドの名を冠したビデオシリーズをWeb向けに作りました。これは、タイトルが『Always Open』であり、デヴィッド・ケックナーをフィーチャーして、彼がDenny’s店内で親しいコメディアン仲間と即興で会話するというものでした。『アレステッド・ディベロプメント(Arrested Development)』に出演したウィル・アーネットとジェイソン・ベイトマン、スタンドアップコメディアンのサラ・シルバーマン、『パークス・アンド・レクリエーション(Parks and Recreation)』に出演したクリス・プラット、『寝取られ男のラブ♂バカンス(Forgetting Sarah Marshall)』で主演したクリスティン・ベル、この全員が番組に登場しました。
その成果はどうだったでしょうか。Ignite Social Mediaによれば、このシリーズは成功でした。18~34歳におけるDenny’sのインプレッションスコアは、6.2から25.4に上昇しました。
Image: Vice Media
VICE社の最高コンテンツ責任者を務めるEddie Moretti氏によれば、若者が信頼し、受け入れ、好むコンテンツを作るためには、彼らとその意識を形成した10年間について知っておかなければいけません。「00年代においては、2つの相反する勢力が突き進んでいました。すなわち、情報の危機と、情報の自由化です」
しかし最大の事件は、信頼の喪失でした。「ミレニアル世代は政治家、専門家、社会保障その他の制度に対する信頼を失いました」とMoretti氏は言います。彼らはメディアへの信頼も失ったのです。
ただし、それは「情報の自由化」が起こるまでの話です。「情報の自由化」をもたらしたのは、コンピューターの能力、通信性、ソーシャルメディアの急速な発展でした。つまり、デジタル、モバイルでのアクセスの隆盛によるものでした。
ミレニアル世代は自分を甘やかす性格で自撮り好きだ、という風評があります。しかし、VICE社は直接の対話を通して、彼らが実際は自身の暮らす世界に深い関心を持っていることや、情報収集のために従来と異なったソースを探し求めていることを知りました。
This article was written by NewsCred from NewsCred Blog and was legally licensed through the NewsCred publisher network. Please direct all licensing questions to legal@newscred.com.
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