新型コロナウイルスの蔓延をきっかけに、これまでのあらゆる企業コミュニケーションがバーチャルで代替可能であることがわかった一方、リアルの価値を再認識するシーンも少なくありません。それぞれのフィールドの強みを的確に捉え、掛け合わせながらハイブリッドな顧客体験を設計していくには、どのようなマインドセットが必要なのでしょうか。
コロナ禍で、BtoCにかぎらずBtoB領域においても、カンファレンスやセミナー、具体的な商談に至るまで、企業コミュニケーションのフィールドはそのほとんどがリアルからバーチャルに移行。この2年間で、手段やツールもより多様に、豊かに進化してきました。さらには、2021年10月にFacebookが社名をMetaに変更したことも影響して「メタバース」がバズワードとなる中で、バーチャルサービスも2次元から3次元へと一気に広がりを見せてきています。
これまでの「リアルの代替」としてのバーチャルから認識を転換し、リアルとバーチャルをより効果的に掛け合わせた顧客体験をくみ上げていくことが、今後ますます求められていくと言えるでしょう。
コクヨが、昨年2月に東京・品川にお披露目した「THE CAMPUS(ザ・キャンパス)」。これまでオフィスおよびショールームとして使用していた自社ビルをリニューアルし、社員やビジネスパーソンのみならず、近隣住民も含めて誰もが利用できるスペースを内包した“働き方の実験場”としてオープンしました。
アマナでは、独自のビジュアライゼーション技術を活かして、「THE CAMPUS」を3DCGでバーチャル空間上に完全再現。「THE CAMPUS」で過ごす時間を表現した以下の動画はコクヨ新製品発表会でお披露目され、「THE CAMPUS」というリアルな場所へ誘引するためのコンテンツとして機能させるとともに、実際に現地に足を運べない人にもバーチャルならではの体験を届けるためのコンテンツプラットフォームとして、今後の活用が期待されています。
リアルな場所でのコミュニケーションにおいては、どうしても人数のキャパシティをはじめ物理的な限界を考慮せざるを得ません。特に、「THE CAMPUS」のように、企業のビジョンやコンセプトを伝え、交流を促すメディアとしてリアルスペースを機能させていく場合、実際に現地に足を運べない人たちに対してバーチャルでどのような体験を用意しておけるかは、情報波及効果を考えるうえでも重要なカギになってきます。
バーチャル体験を構築するうえで重要なのが、「没入感」と「インタラクティブ性」。物理的に空間を移動せずしていかにユーザーの認識をスイッチさせ、ブランドの世界観にいざなえるかは、クリエイティブのつくり込みと体験設計にかかっているといっても過言ではありません。
ナイキが昨年11月に公開したバーチャル空間、「NIKELAND(ナイキランド)」。ゲームプラットフォーム「Roblox(ロブロックス)」で制作されており、ナイキ本社をモチーフにしたバーチャル空間の中で、3DCGアバターを操作しながらさまざまなゲームやアクティビティに参加できるほか、購入したナイキアイテムをアバターに着用させてワールドを楽しむことができるなど、新たなユーザー体験を提供しています。
「Roblox(ロブロックス)」や「Fortnite(フォートナイト)」など、現在メタバースでメジャーになっているプラットフォームは、いずれもゲーム業界のブラットフォームです。
アマナのバーチャルライブビジュアルソリューション「deepLIVE」に導入しているバーチャルプロダクションシステム・Reality(※2)も、もともとはゲーム業界由来のシステム。「没入感」と「インタラクティブ性」に優れた体験設計や表現を得意とするゲーム業界の知見や技術を、いかに産業展開できるかは、今後バーチャル体験の構築においてウォッチしておきたいポイントとなりそうです。
※2…バーチャルプロダクションシステムとは、バーチャル空間を活用したリアルタイム映像制作を行うプロダクションワークフローの総称。Realityは、トルコのZero Density 社が提供している。
コロナ禍も3年目を迎え、今求められているのは、リアルとバーチャルを越境した新たな体験デザイン。ARやVRデバイスが普及し始め、5G環境も広がってきている今だからこそ、テクノロジーが作り出すバーチャル空間ならではの「没入感」と「インタラクティブ性」を存分に活用しながら、表現の可能性を追求し、未来の体験をつくっていきたいものです。
deepLIVEのサービスサイトでは、バーチャルならではの表現幅を活かしたコミュニケーション事例を多数紹介しています。ソリューションに関するご相談やご質問など、お気軽にお問い合わせください。
※この記事は、2022年2月25日にVISUAL SHIFTに掲載された記事を再掲載したものです。
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deepLIVEは、リアルタイムCGと最新鋭のバーチャル・プロダクションシステムを備えた自社スタジオの活⽤により、 企業やブランド固有のニーズに即した企画立案〜リアルとバーチャルの垣根を超え共感を生む深い(ディープな)体験構築が可能、新たな体験創出でデジタルコミュニケーションにおける様々な企業課題の解決をサポートします。