事例から学ぶ、ブランドがカルチャーモーメントを逃さないための4つのワザ

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今の世の中では、トップニュースとなるようなカルチャーモーメントが次から次へとやってきます。オリンピックやアカデミー賞、メットガラのような注目度の高いイベントだけでなく、配信ドラマのリリースのようなイベントも世界的な注目を集め、多くの話題を呼び起こします。

マーケターにとって、これは非常に貴重なニュースジャックの機会といえます。

こうした文化的な瞬間、いわゆるカルチャーモーメントを効果的に活用すれば、エンゲージメントを大幅に高め、認知度を向上させ、セグメントを超えた顧客ロイヤルティを刺激できます。カルチャーモーメントに合わせたリアルタイムマーケティング施策は、世の中のトレンドにブランドが同調していることを効果的にオーディエンスに示すことができます。

人々がすでに話題にし、盛り上がっている時に飛びついて注目を集めるのは簡単です。では、どのようにしてブランドは、無理してトレンドを追いかけていると思われることなくモーメントを利用すればいいのでしょうか?カルチャーモーメントを特定し、自社のマーケティングキャンペーンに取り入れる方法を学ぶために、2024年のブランド事例を見てみましょう。

ブランドにとって適したモーメントを見極める

私たちが言う「カルチャーモーメント」とは、多くの場合メディアで大々的に取り上げられ、ネット上で話題になることを指します。これにブランドが声を上げることは、より多くのオーディエンスにリーチする絶好の機会となりえます。しかし、ブランドのメッセージが確実に届くようにするには、まず下調べが必要です。ここでは、その方法を紹介しましょう。

・流行の最先端を行く:時事問題やトレンドトピック、SNSの流行りを常にチェックしましょう。単に見出しを流し読みするだけでなく、ユーザー同士のディスカッションに飛び込み、人々の共感を集めているものに耳を傾けます。
・ターゲットを知る:ブランドのターゲットが本当に関心を持っていること、つまり彼らが熱中していることや嗜好、習慣を見つけましょう。スポーツの熱狂的なファンなのか、映画マニアなのか、服好きなのか、それともまったく別のことに興味があるのか。ターゲットの関心に合うモーメントを選びましょう。
・ブランドの価値観に合わせる:選んだモーメントが、ブランドのミッションや価値観に沿ったものであることを確認しましょう。重要なのは誠実さです。無理矢理感があると、オーディエンスはその不自然さに気づくはずです。
・慎重かつ本物であること:マーケティング上の利益のためにデリケートな問題を利用するのは避けましょう。イベントに参加するのはひとつの手ですが、センシティブな問題を利用するのは逆効果になりかねません。意味のある、敬意を払った関わり方を心がけてください。
・小さく始める:すべての取り組みが大々的なキャンペーンや施策である必要はありません。時には、タイミングよく巧みに作られたSNSの投稿が、同じくらい大きなインパクトを与えることもあります。

戦略その1:前もって計画する

リアルタイムマーケティングは一般的に、日々のニュース速報やSNSの動向に左右されます。しかし、毎年恒例であったり、もっと前から計画されていたりするカルチャーモーメントもあります。たとえば、映画賞シーズンやファッションウィーク、スポーツイベントなどであれば事前に開催情報がわかるため、関連コンテンツや施策を企画・展開する十分な時間があるといえます。

ブランド例:LinkedIn — Everyone’s Business(みんなのビジネス)

2年前、権威あるカンヌライオンズは、LinkedInとのパートナーシップによってB2Bマーケティングにおけるクリエイティビティを称える部門を新設しました。その勢いを加速させ、業界をさらに成長させるためにLinkedInは今年、アカデミー賞を2度受賞したドキュメンタリー映画監督のBen Proudfootを起用し、銀幕にふさわしいイベントのための映画を製作しました。

成功理由

こうして作られた『Everyone’s Business(みんなのビジネス)』は、B2B企業による世界を一変させるような活動や計り知れない可能性を、親しみやすく魅力的な方法で熱心に追求した注目すべき作品となりました。「私たちLinkedInは知識のマーケットプレイスであり、プロフェッショナルの方同士が情報を共有する場であると考えています」とマーケティング・ソリューション担当シニアディレクターのTusar Barikは言います。

どうすれば全員がWin-Winになれるのか?それが、B2B業界で私たちがやりたいことです。つまり、マーケターが自分の仕事をうまくこなす術を理解してもらうことです。

📅 関連コンテンツ:B2Bブランドにとって「宝の山」! 2024年にLinkedInで成功するための9つのトレンド

戦略その2:タイミングを逃さないよう注意を払う

カルチャーモーメントを活用するには、タイムリーさが欠かせません。リアルタイムマーケティングには、スピード感と目利きが必要不可欠で、施策の大小にかかわらず、ブランドメッセージをその時々の話題に迅速に結びつける必要があります。

ブランド例:Away — Yes, Chef(はい、シェフ)

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今年初め、Calvin Kleinが人気のドラマシリーズ『The Bear(邦題:一流シェフのファミリーレストラン)』の主演俳優Jeremy Allen Whiteを起用した下着広告を公開した際、世間の反応は大きく、即座に話題となりました。瞬く間に拡散された広告を受け、スーツケースブランドのAway社のマーケティングチームは、インパクトを与えるためには迅速に行動すべきだと判断し、この俳優の腹筋とスーツケースの凹凸を関連付けたキャンペーンを展開しました。

成功理由

最初の発信から24時間も経たないうちに、このパロディ写真がInstagramにアップされ、19,000を超える「いいね!」を獲得しました。他の投稿をはるかに上回る反響です。「チームの素早い行動力がこのような成功をもたらしたのです」とSNS&コミュニティ担当ディレクターAlice Chenは言います。「クリエイティブミーティング中に、『もしも』のアイディアから始まり、『やってみよう』に変わりました。」

私たちのオーディエンスが話題にするカルチャーモーメントに加わることはAway社のSNS戦略にとって最も重要です。このコンテンツは独自性があり、面白いと感じたので、行動に移さなければならないと判断しました。

📰 関連コンテンツ:2024年版|4ブランドの事例から魅力的なブランドストーリーを学ぶ

戦略その3:インフルエンサーとブランドパートナーシップの活用

すでにカルチャーモーメントの一端を担っているインフルエンサーとの提携は、ブランド認知と信頼性をさらに増幅させます。このような相乗効果は新たなオーディエンスを引きこみ、より高いレベルの信頼をもたらします。これは、ファンや潜在顧客との本物のつながりを作る上で非常に重要です。

ブランド例:セブン・イレブン × Ja’Marr Chase — Always Open(いつでもオープン)

— Ja’MarrChase (@Real10jayy__) 2023年10月8日

アメフト選手のJa’Marr Chaseは、カメラに向かって「(俺は)いつでもオープンだ」と悔しそうに語った試合のあと、次の試合では見事3回のタッチダウンを決め、Xに上記の画像を投稿しました。それはセブン・イレブンの店舗の写真で、キャッチフレーズが「Always Open(いつでもオープン)」と、彼の発言と偶然にも同じものでした。それから1週間も経たないうちに、完璧なブランドパートナーシップ(おまけにグッズまで!)が生まれ、Chaseはセブン・イレブンのロゴが入ったチェーンを身に着けてフィールドに立ちました。

NFLの放送中にこのように目につくことは何百万ドルもの価値があります

— Jordan Rogers、スポーツマーケティング専門家

成功理由

セブン・イレブンが展開したTシャツ、キャップ、ベビー服などのコレクションは、オーガニックなコラボレーションとして、瞬く間にJa’Marr Chaseのファンの間で人気となりました。Isjamarropen.comは現在も運営されており、面白さも健在です。また、今でもコレクションの在庫商品にアクセスできます。大学アスリートのスポンサー活動に継続的に取り組んでいるセブン・イレブンは、このチャンスが舞い込んできたとき、すでにスポーツ界と関わりを持っており、このパートナーシップをより自然なものにしました。

🏆 関連コンテンツ:今米国で最も信頼されるグローバルブランドにSONYやHONDAがランクイン

戦略その4:意外性を恐れない

時には、予想外あるいは一見無関係に見えるカルチャーモーメントと自社ブランドを結び付けることで、ブランドを人々の目に触れさせ、その認知度を高めることができます。オーディエンスを驚かせたり楽しませたりすることによって、ブランドの想起率を高め、より人々の記憶に残るものになるでしょう。

ブランド例:ミュージアム・オブ・ディスカバリーのメットガラ

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Museum of Discovery(@arkmod)がシェアした投稿

アーカンソー州リトルロックにある科学館は、メットガラの話題を利用してアニマル・アンバサダーとメットガラのルックをマッチさせるSNSキャンペーンを展開しました。想像力豊かでアットホーム感のあるタイムリーな投稿は、Instagramでのエンゲージメントが高まり、人気のあるサブレディットImgurなどでのリポストによって、さらに多くの閲覧数を獲得しました。

成功の理由

この意外な組み合わせによるキャンペーンは、低予算、低コストのコンセプトが大ヒットに結びついた典型的な例であり、2つのマーケティング原則を融合しています。それは、「タイムリー話題性があること」、そして「奇妙で不条理、奇想天外なものに対する人々のニーズを満たしていること」です。博物館にいる鳥や爬虫類を思い浮かべるときに、Maison Margielaを身にまとったZendayaを連想することはまずないでしょう。この意外さこそが、成功した理由です。

🤪 関連コンテンツ(英語): Marketers: Weird is Back, Embrace the Absurd

この記事は、SpringboardのAnastasia Dyakovskayaが執筆し、Industry DiveがDiveMarketplaceを通じてライセンスを取得したものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。

元記事「How to Seize Cultural Moments in Your Marketing」は2024年7月16日にstudioID’s insights blog – springboardに掲載されました。

また、日本におけるIndustryDiveパブリッシャーネットワークに関してはamana Content Marketingまでお問い合わせください。

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