ブランドコミュニケーションにゲームの力を!成功を加速する5つのゲーミフィケーション戦略

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目次:


ボードゲームやスポーツ、さらには現代のオンラインゲームやVRに至るまで、人々は常に戦う刺激や報酬を得るスリルに魅了されてきました。そこで、マーケティング戦略にもゲームの要素を取り入れてみてはいかがでしょうか?顧客が夢中になり、モチベーションを高め、何度でも戻ってきたくなるような仕組みを作るのです。

よく設計されたゲームの核となるのは、明確な目標、進捗を測る具体的なマイルストーン、そして目標達成後に得られる報酬です。これらの要素があることで、ユーザーに目的意識が生まれ、継続的な参加が促され、達成したときの自信や満足感が得られます。

マーケティングは、このゲームの持つ仕組みを活用することで、消費者との関係をより深く、持続的なものにできます。ポイントやバッジなどのゲーム的要素(ゲーミフィケーション)をマーケティング戦略に組み込むことで、ブランドとの日常的な接点を、より魅力的な体験へと変貌させましょう。ここでは、ゲーミフィケーションを活用した5つのマーケティングアイデアを紹介します。

ゲーミフィケーション事例①:ロイヤルティプログラム

ロイヤルカスタマーは、最も価値のあるブランド支持者です。

新規顧客を獲得するよりも顧客を維持する方が5倍も効率的です。さらに、ロイヤルカスタマーは67%多く、しかも頻繁に消費してくれます。

ロイヤルカスタマーは友人や家族にそのブランドについて話す可能性が高く、お気に入りの商品・サービスには、より高い価格を支払っても構わないと考える傾向があります。よって、ロイヤルティプログラムの設計は、全ての企業のマーケティング戦略の中核となるべきです。

ここで活躍するのが、ゲーミフィケーションマーケティングです。ポイントやバッジを獲得し、より高いランクへと進むことで特典が手に入る仕組みなど、ゲームの要素を取り入れることで、顧客の関心を引きつけ、夢中にさせることができます。これは、ブランドとのエンゲージメントを高め、長期的な関係を築くための効果的な手法です。

トップクラスのロイヤルティプログラムは、購入頻度あるいは1回あたりの購入金額、またはその両方を増やすことで顧客からの収益を年間15~25%向上させます。

ゲーミフィケーションを活用した効果的なロイヤルティプログラムには、いくつかの不可欠な要素があります。例えば、明確な目標、目標を達成するためのシンプルな手段、ユーザーが自身の進捗を確認できる機能、そして顧客に合った魅力的な報酬などです。

具体的には、購入ごとにポイントやスタンプを付与し、一定数貯まると無料サンプルがもらえる仕組みや、会員ランクが上がるごとに限定特典や割引が受けられる階層型のメンバーシップシステムなどが効果的です。

マーケティングのヒント:ロイヤルティプログラムを通じて得られる顧客データを活用し、サービスのテストと最適化を行いましょう。A/Bテストを実施し、さまざまな戦術や特典を試すことで、どの施策がオーディエンスの心に最も響くのかを見極めることが重要です。

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イギリスの医療保険会社Vitalityは、ポイントや報酬を活用したロイヤルティプログラムを通じて、顧客が自身の健康とウェルビーイングを積極的に管理できるよう支援しています。このプログラムは、利用者が健康的な選択をするたびにインセンティブが得られる仕組みで、彼らのモチベーションを高めながら、長期的な健康維持を促進しています。

成功の理由

Vitality社のロイヤルティプログラムは、ポイントとランク制度に基づいており、健康的な選択をしたすべてのユーザーに報酬が与えられます。しかし、このプログラムが特に際立っているのは、Vitality社が健康とウェルビーイングに対して包括的なアプローチを取っている点です。

同社は多数の健康・ウェルネスブランドと提携し、どのランクの参加者にも幅広い特典を提供しています。例えば、ポイントが少ないユーザーでも映画の無料チケットがもらえたり、ポイントが多いユーザーは一日中エステを楽しめたりと、達成度に応じた魅力的なインセンティブが用意されています。

また、食料品店で野菜や果物を購入したり、日々の歩数を増やしたりすることで、誰でもVitalityポイントを貯められ、達成度をリアルタイムで追跡できます。手軽にポイントを貯められる気軽さで、参加者のモチベーションが向上します。

ゲーミフィケーション事例②:達成バッジ

達成バッジは、ユーザーが目標を達成したり、課題をクリアしたりすることで報酬として獲得できる仕組みです。これは、人間が持つ認知・承認・達成といった本質的な欲求を刺激する効果があります。有形の報酬とは異なり、バッジはその獲得自体がステータスや満足感をもたらし、参加意欲やエンゲージメントを高めると考えられています。

バッジを活用して目標や進捗の達成を称えることで、ワクワク感や期待感が生まれ、より意欲的に参加したくなるはずです。達成の証として視覚的に認識できるバッジは、ユーザーのモチベーションを高め、継続的な行動を促します。

バッジの活用方法はさまざまです。例えば、フィットネスアプリでは、ワークアウトの連続日数や特定の距離の達成に対してバッジを付与することで、ユーザーが運動を継続し、自分の限界に挑戦するきっかけを作ることができます。言語学習プラットフォームでは、毎日の学習継続や新しい語彙の習得に対してバッジを与えることで、学習者の意欲を維持し、学習の定着を促す仕組みとして活用されています。

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達成バッジを活用する際は、バッジが表すアクションと強く関連づけることが重要です。例えば、ブロンズ・シルバー・ゴールドといった異なる達成レベルを設けることで、ユーザーの進捗が明確になり、さらなる挑戦を促すことができます。

SNSやブランドのコミュニティ内でシェアできるようにすれば、ユーザーは自分の達成度をアピールすることでさらにエンゲージメントが高まり、同時にブランドの認知度も向上します。つまり、上手く設計されたバッジシステムは、日常のタスクをワクワクするチャレンジへと変え、ブランドへの忠誠心やエンゲージメントを高め、コミュニティの形成を促進する強力なツールとなるのです。

マーケティングのヒント:ブランドの認知度を高めるには、シェアしやすく、ブランドならではの明確なビジュアル要素を取り入れたバッジをデザインしましょう。

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Nike Run Clubは、未経験者から経験豊富なアスリートまで、あらゆるランナーのためのモバイルアプリです。このアプリでは、トレーニングのヒントや専門家のアドバイスを提供しながら、ユーザーのフィットネスデータを記録できる機能や、チャレンジを設定して友人や家族と共有できる機能を有しています。

成功の理由 

Nike Run Club では、アプリ全体で達成バッジを活用し、ユーザーがマイルストーンや目標を達成するたびに報酬としてバッジを獲得できる仕組みになっています。

例えば、初めて5キロ走った時や1週間毎日ランニングを続けた時など、特定の達成に応じてバッジを進呈。さらに、月間50キロ走破などの目標をクリアすると獲得できる「チャレンジ」バッジや、Nike主催のイベントに参加することで手に入るグローバルバッジやコミュニティバッジなども用意されています。

特に効果的なのは、ランナーが自分の達成バッジをソーシャルメディアやアプリ内のリーダーボードで共有できることです。また、他のランナーのバッジも閲覧できるため、アプリには自然と競争の要素が加わります。これにより、ユーザーは自己新記録を達成したり、他のランナーを上回ろうとしたりする意欲が高まり、ランニングを継続するモチベーションが強化されます。

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ゲーミフィケーション事例③:コンペティション

ちょっとした楽しい競争ほど、ワクワクするものはありません。賞品を勝ち取るスリル、限定グッズを得る特別感、単純に自慢できる機会など、人々は競争に熱中しやすいものです。この競争心をうまく活用すれば、ブランドは既存顧客とのエンゲージメントを深めるだけでなく、新規顧客を引きつける強力な手段にもなります。

新規顧客の平均34%以上がコンテストを通じて獲得されています。

コンペティション(競争型キャンペーン)は、ブランドの認知度を高め、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を集める強力なツールとなります。多くの場合、参加者は自分の成果をソーシャルメディアで共有し、それを見た友人や家族も興味を持って参加することで、自然に拡散されていきます。これにより、ブランドの露出が拡大し、大きな話題を生み出すことが可能です。

さらに、コンペティションは応募条件の一部として、参加者の個人情報や嗜好を提供してもらうことで、貴重な顧客データを収集できる優れた手法でもあります。その形態はさまざまで、Instagramのフォロワーに簡単なフィードバックを求めるものから、より深いレベルの参加を必要とする高度なコンペティションまで、ブランドの目的に応じて設計できます。

例えば、L’Oréal は、自社が主催する「BRANDSTORMビジネスコンテスト」を通じて、将来の有望な人材を発掘し、ブランドとの関わりを深めることに成功しています。

マーケティングのヒント:報酬を用意する際は、ブランドと関連性のあるものに限定しましょう。報酬はブランドの価値を反映し、対象者のモチベーションを高めるものであることが重要です。例えば、B2B向けには非公開レポートへのアクセスやイベントの先行予約権、B2C向けには割引や無料製品などが適しています。

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ドリトスの「クラッシュ・ザ・スーパーボウル」コンペティションは、2006年から2016年までの10年間開催されていましたが、最近復活しました。このコンテストは、ファンがオリジナルのスーパーボウルCMの制作に挑戦するものです。

成功の理由 

ファンが自作のドリトスCMを制作する「クラッシュ・ザ・スーパーボウル」コンペティションは、参加者に多大な労力を求めるものです。しかし、その見返りは非常に大きく、スーパーボウルでCMが放送されるチャンス、高額な賞金、試合観戦のチケットなどが用意されています。

このコンペティションが特に効果的なのは、一度きりのイベントにとどまらない点です。スーパーボウル当日に流れるCMだけでなく、ドリトスは数週間から数ヶ月にわたる大規模な広告キャンペーンを展開します。

参加者は自作CMを応募するだけでなく、SNSで自分のストーリーを発信し、ドリトスに関連するコンテンツを継続的に作成します。さらに、優勝者の投票権をファンに与えることで、エンゲージメントとブランドの相互作用をより強化しています。まさに、ゲームの中にゲームを作り出す仕組みといえます。

ゲーミフィケーション事例④: チャレンジ

チャレンジはコンペティションと同様に、目標達成への期待感を高めることで、参加者の意欲を引き出します。両者の違いは、コンペティションが他者より優れた結果を目指すのに対し、チャレンジは個人の目標に焦点を当てている点です。

よく設計されたチャレンジでは、個人の成長、楽しさ、新しいスキルの習得といった内発的な動機と、ポイントやバッジ、具体的な景品といった外発的な報酬を組み合わせることで、ユーザーの継続的な参加を促します。また、チャレンジはブランド価値を反映し、顧客にとって意味のあるものであることが重要です。

例えば、アメリカのKrispy Kreme社は、星条旗カラーの服装を着るだけで無料ドーナツと引き換えられるというシンプルなチャレンジを実施しました。この企画を通じて、遊び心とユーモアのあるブランドイメージを強調し、ファンとのつながりを深めています。

コンペティションとは異なり、チャレンジはマーケティングに定期的に取り入れやすく、オーディエンスとの対話を増やしながらエンゲージメントを高めることができます。例えば、特定のタスクをクリアするデイリーチャレンジや、より大きな目標達成を目指すマンスリーチャレンジを実施することも可能です。

参加者は目標を達成することで幸福感や達成感を得るだけでなく、それをブランドと結びつけるようになります。さらに、その成果を友人や家族、同僚と共有する可能性も高まり、ブランドの認知度向上にもつながります。

マーケティングのヒント: 対象となる顧客の動機を理解し、それに基づいた定期的なチャレンジを設計しましょう。B2Bブランドであれは、個人的・職業的な成長と発展をサポートするチャレンジや報酬に焦点を当てます。B2Cブランドなら、ブランドの価値観や顧客のライフスタイル、購買行動に沿った方法で、楽しく競争的で、やりがいのあるチャレンジを設計するのが良いでしょう。

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SalesforceのTrailheadプラットフォームは、すべてのSalesforceユーザー向けに開発された無料のオンライン学習サービスです。開発者、企業、営業チームがSalesforceの専門知識やスキルを向上させることを目的としています。

成功の理由 

Trailheadプラットフォームは、さまざまなゲーミフィケーション手法を活用し、ユーザーの参加意欲を高めながらスキルアップを促しています。中でも際立っているのが、毎月開催される「Trailblazer Quests」です。

このクエストは、教育コンテンツとゲーム的な要素を組み合わせたもので、ユーザーはバッジやポイントを獲得しながら、ランクを上げていくことができます。それぞれのクエストは期間限定で実施され、参加者は特定のタスクや問題解決演習をクリアすることで、景品を獲得するチャンスを得られます。

クエストの仕組みはシンプルでわかりやすく、モチベーションを高めながら、継続的に取り組みたくなる設計です。

ゲーミフィケーション事例⑤:従業員エンゲージメント

2021年、アメリカにおける職場の従業員エンゲージメントは、10年ぶりに減少に転じ、2022年にはさらに低下しました。こうした状況の中で、ゲーミフィケーションは従業員の幸福度や生産性、エンゲージメントを維持するための新たなアプローチとして注目されています。

72%もの従業員がゲーミフィケーションによって、より仕事に励むことができると回答している調査もあります。

ゲーミフィケーションは、単調なタスクや従来型の退屈な研修を、楽しくインタラクティブな体験へと変えることができます。

例えば、むやみに飛び込み営業の電話をかけるのではなく、従業員がリアルタイムで進捗を確認しながら、報酬を獲得しつつ最高売上を競い合うといった仕組みを作ることができます。また、退屈なコンプライアンス研修にただ耐えるのではなく、クイズやインタラクティブな課題に参加しながらリーダーボードのランクを上げるといった要素を加えることで、学習のモチベーション向上も可能です。

給与や福利厚生が企業選びの重要な要因であることを踏まえると、ボーナス制度にゲーミフィケーションの要素を取り入れることは、有効な施策の一つと考えられます。

職場でのゲーミフィケーションマーケティングの例として、KPIに応じたポイント、バッジ、レベル制度を導入し、それらを特別休暇やギフトカードなどの具体的な報酬と交換できる仕組みが考えられます。さらに、人材紹介制度にゲーミフィケーションを取り入れ、紹介した人材が採用されるたびにポイントを付与することもできます。重要なのは、各チームやスキルレベルに応じて報酬をカスタマイズし、新入社員やスキルが十分でない従業員でも意欲を持って取り組める環境を整えることです。

達成バッジや業績ベースの報酬、健全な競争を促すリーダーボードなど、ゲーミフィケーションマーケティングを職場に取り入れることで、従業員のモチベーションや生産性を高め、仕事に対する満足度の大幅な向上が期待できます。

ベストプラクティス事例



HP社は独自のモバイルアプリ「The HP Uni App」を作り、営業チームのトレーニングやスキルアップに役立てています。

成功の理由

このアプリには、インタラクティブなモジュール、動画チュートリアル、クイズが用意されており、営業チームの製品知識を向上させるとともに、顧客のニーズに対応するためのスキルを磨くことができます。リーダーボードやスキルレベルに応じたチャレンジといったゲーミフィケーション要素が組み込まれており、段階的な報酬システムと組み合わせることで、ユーザーの継続的な参加やパフォーマンス向上につなげる狙いです。

このように、ゲーミフィケーションを取り入れたアプローチにより、アプリはチームメンバー間の学習と健全な競争を促進し、最終的にはパフォーマンスの向上や売上の増加を後押しします。

🔁 関連コンテンツ(英語): 8 Tactics to Build the Ultimate Sales-Marketing Feedback Loop

この記事は、SpringboardのLouise Downingが執筆し、Industry DiveがDiveMarketplaceを通じてライセンスを取得したものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。

元記事「Ready, Player One: 5 Strategies to Win with Gamification Marketing」は2025年2月19日にstudioID’s insights blog – springboardに掲載されました。

また、日本におけるIndustryDiveパブリッシャーネットワークに関してはamana Content Marketingまでお問い合わせください。

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