「誰でも使える」時代のその先へ。Creative with AIで「自分たちらしさ」の文化を創る

“誰でも使える”時代のその先へ。Creative with AIで〈自分たちらしさ〉の文化を創る

「Before AI 」から「With AI」の時代

2025年の今、AIはもはや特別な存在ではありません。
メールの下書き、資料の構成、アイデア出し——日々の業務の中で、知らず知らずのうちにAIとともに仕事をすることが当たり前になりました。この文章を読んでいるあなたも、おそらくChatGPTやNotion AIなどを使って、何かを生み出した経験があるはずです。

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Before AI から With AIへ:書籍『between us 〜私たちはAIと、創造性を問い直す〜』より。

アマナのクリエイティブチームEVOKEは、AIに日常的に触れる人が増え、キャズムを超えたこの時代を「With AI」の時代と捉えています。

誰でも使える。その先に求められる「技術」

私たちはクリエイティブの進化を模索しながらAIの活用にも取り組んでいます。

そんな中で「AIを使ってみたけど思い通りにならないからやめてしまった。」という話をよく耳にします。

AIを使うこと自体は簡単でも理想の結果を出そうとすると難しいものです。ツールの特性を理解し、プロンプトを工夫する技術が求められます。

たとえば、Adobe Fireflyは日本語入力に対応していますが、出力結果が伴うとは限りません。

この実験では、日本では一般的でも、海外では馴染みの薄い料理「卯の花」の画像生成に挑戦しました。

卯の花の画像生成AI結果

 Adobe Fireflyで作った画像。Prompt:卯の花

結果は、文字どおり「ウサギの花」として、かわいらしい画像が出力されました。世界規模の学習データを持つAIは「卯の花」を料理名としては認識できなかったのです。

そこで、「卯の花」という言葉を使わず、料理の見た目を詳細に説明するプロンプトに変更してみました。

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 Adobe Fireflyで作った画像。Prompt:A small portion of okara (soy pulp dish) served in a dark ceramic bowl. The pale, crumbly texture looks like moist couscous or mashed tofu, mixed with colorful vegetables like carrots and mushrooms.Top-down angle, centered in frame. Soft, natural lighting with warm tones highlights the food’s texture.


このように、AIに伝わるかたちでプロンプトを工夫することで、馴染みある和のおかずの雰囲気に近づいた画像を生成することができました。

今回利用したAdobe Fireflyは、安全な学習元から生成され、商用利用も可能な画像生成AIです。とはいえ、この画像を料理サイトに「卯の花」として掲載するのは不適切でしょう。具材の切り方や盛りつけのバランスなど、料理文化としての表現はまだ粗削りです。 

AIを使いながら、AIの使い道を発見していく

料理サイトには不向きでも、撮影前に関係者とイメージを共有する用途では十分に機能します。皿の色やアングルを変えたバリエーション検討も、AIなら手軽です。

このように、AIは「上手につくる」だけでなく、「どう使うか」という判断が問われます。

私たちは、AIにどこまで任せ、人が何を担うべきかを現場で試行しながら考えてきました。

思いどおりの出力を得るための“技術的創造力”と、それに意味を与える “意味の創造力” 。画家が新しい画材を得て表現を広げるように、両者を柔軟に往復できる力が、AI時代の創造には求められています。

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「技術的な創造」と「意味の創造」:書籍『between us 〜私たちはAIと、創造性を問い直す〜』より。

組織が「らしさ」を表現するためのAIの使い方

AI活用を推進する場で感じるのは、個人が活用Tipsをどんどん蓄積している一方で、組織は一歩を踏み出しにくいという課題です。その背景には、AIを「技術的創造」としてのみ捉え、組織として何を生み出すのかという「意味の創造」に踏み込めていない現状があります。

AIは、一度誰かが技術と目的を確立すれば、誰もが真似して量産できる力を持ちます。
私たちEVOKEは、現場での実践を通じてこう考えるようになりました。

誰でも使える・らしくつくれる」状態こそが、未来のクリエイティブ組織の形である。

整備されたアセットと運用ガイドがあれば、ノンデザイナーでもブランドトーンを守った表現が可能になります。広報資料、採用コンテンツ、営業プレゼン──どの部署の誰が発信しても、“らしさ”がにじみ出る組織へと進化できるのです。

AI時代に問われる、「らしさ」そのものの創り方

「誰でも使える・らしくつくれる」そんな時代には、表面的な統一感ではなく、自分たちをどう表現するかという意図と背景、すなわち唯一無二の「らしさ」を形にする「意味の創造」がますます重要になっています。

ブランドとは、「記憶される一貫性」。人が「知っている」「好きだ」と感じるのは、その一貫性が記憶に残っているからです。

実体験から得た感覚を可視化し、誰もが扱えるかたちに落とし込むこと。それは、AIには担えない、人間だからこそ発揮できる感性と創造性の領域です。

EVOKEはCreative with AIの時代に「らしさ」を組織的に活用できる文化をつくるため、こうした仕組みの構築と実験を重ねています。

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「感覚を可視化する3つのループ」:書籍『between us 〜私たちはAIと、創造性を問い直す〜』より。

書籍発売のお知らせ 『between us 〜私たちはAIと、創造性を問い直す〜』

本書は、近年の生成AIの普及初期からその可能性と向き合い、現場での実践とその共有を重ねてきたEVOKEの取り組みをまとめた、ひとつの通過点であり成果の記録です。

AIを単なるツールではなく、創造の相棒としてどう扱うか。その模索の中から見えてきたのは、「技術」と「意味」のあいだを往復することが、創造性にとって欠かせない営みであるという実感でした。

実験的に推進してきたAI×クリエイティブのプロジェクト、プロンプト設計や表現開発のプロセス、そして多様なクリエイター・研究者・企業が交差する現場での対話を収録。チームづくりのあり方にまで踏み込みながら、生成AIと創造性の関係を多角的に描いています。

EVOKEチームは、本書の制作において、企画アイデアから表紙ビジュアルの生成に至るまで深く関わり、クリエイターならではの視点と手触りを臨場感をもって伝えています。

日々の仕事にAIを取り入れはじめたクリエイターから、組織として活用を模索するビジネス層まで。この一冊が、「AIと人間のあいだ」でゆらぐ創造性について考える刺激となれば幸いです。

2025年7月7日(月)よりAmazonにて先行発売予定。その後、順次書店等での取り扱いも予定しています。

EVOKE Book  SNS & Amazon

 

出版記念トーク&展示イベント開催

ご参加を希望される方は、以下よりお申し込みをお願いいたします。

日程:2025年7月8日(火)17:00〜20:00(16:30開場)
申込締切:2025年7月1日(火)
参加申込ページ: https://lp.amana.jp/013_250708_EVOKE_BetweenUs_input.html
お問い合わせ: event@amana.jp

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文・画像:丸岡和世(アマナ/EVOKE)

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クリエイティブコラボレーションを通じて、目指す未来を描き出す。
最近は、AIを活用したクリエイティビティの拡張に力を入れている。

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