クルマの映像表現において、車体と同じくらい重要なのが「背景」です。
フルCGで背景を構築することで、実写では難しいシチュエーションも自在に描き出すことが可能になります。
本記事では、モビリティに特化したアマナのCGチーム croobi(クロオビ)が実践する背景制作のプロセスと、その工夫をご紹介します。
CGチーム croobiの背景制作は、効率とクオリティの両立を常に意識しながら進められます。以下は、実在の都市をフルCGで再現する場合の一例です。
ロケーションを調査し、必要に応じて現地で撮影や計測を行います。
Google Earth などの情報を参考に、地形や建物をざっくりと配置し、構図の全体像を把握します。
すべてを細かく作り込むのではなく、カメラに映る主要部分を重点的に制作し、遠景はシンプルに処理。CMや広告制作に求められるスピードに応えるための工夫です。
太陽の位置や時間帯を設定し、車と背景の光を揃えて一体感を演出します。
さらに croobi ではこの段階でフォグや被写界深度を設定し、レンダリング時点で完成形に近い絵を仕上げる工夫を行っています。早い段階で監督やクライアントと共有することで認識をそろえ、結果的に短納期でも高品質を維持できるのです。
質感や反射、陰影を計算し、リアルなイメージを出力します。
色味や明暗を微調整し、車と背景を違和感なく融合。必要に応じて演出を加え、最終的な仕上げを行います。
背景制作は今後、フォトグラメトリ/LiDARスキャンによる高速3D化、AI生成・補完、そしてプロシージャル生成による大規模な環境構築など、さらなる効率化が進むと考えられます。
一方で croobi は現状、信頼性の高い王道のプロセスをベースに、必要な部分を効率的に作り込むことで確実にクオリティを担保しています。広告やカタログといった映像制作においては、正確さと一貫性が欠かせないため、この方法が最適だといえます。
とはいえ、フルCGでゼロから背景を構築するのは、予算や納期の面で大きな負担になることも事実です。
そこで croobi では、これまでに制作してきた背景アセットを体系的にストック。似たようなシチュエーションの案件では、それらを活用することで短納期・効率的な制作を可能にしています。
以下は過去に制作した背景アセットの一例です。
アセットの活用と新規制作を柔軟に組み合わせることで、クライアントのご要望に応える映像表現を実現していくことを目指しています。
文・画像:田野井智之、齊藤優一 (アマナ)
アマナのCGソリューションサービス「amana cgx」Webサイト
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