資料づくりで「伝わる」と「伝わらない」を分けるのは、内容そのものよりも“見せ方”の設計です。とくに重要なのが「色」と「視点」。色は人の理解や印象を左右し、視点は全体と細部のバランスを整えます。
本記事では、色の使い方と、鳥のように全体を俯瞰する“鳥の目”、虫のように細部を磨く“虫の目”という視点から、“見やすく伝わる”資料デザインの考え方を紹介します。
最も直感的に人の行動を動かす要素が「色」。どこに目を向けるか、どんな印象を抱くか――色は無意識のうちに理解や判断を導いています。ここからは、「色の使い方」を情報設計・感情設計・印象設計の3つの観点から整理してみましょう。
色は「どこを見てほしいか」をコントロールし、情報の階層を整理する強力なツールです。主張したいメッセージには赤や青、オレンジなどのアクセントカラーを用い、補足や背景情報にはグレイッシュトーンや無彩色を使うことで、視線のフォーカスを自然に誘導できます。また、複数の要素を同系色でまとめると、人はそれらを「同じグループ」として認識します。図表や比較表では、同系色の濃淡を使うだけで整理された印象をつくることができるのです。
色は、人の行動や感情を導く“視覚言語”です。色彩心理学の研究によれば、色は無意識のうちに人の判断や行動に影響を与えることがわかっています。たとえば、赤は危険や注意を示す色で、停止や警戒を促し、青は冷静さや誠実さを象徴して安心感や信頼を生み出します。緑は安定や安全を感じさせ、前進への安心感を与え、オレンジは活力や温かみを連想させることで、人の行動を前向きに動かします。
たとえば、よく目にしている「非常口のサイン」。
なぜ非常口のサインは“赤”ではなく“緑”なのでしょうか。緊急時だからこそ目立たせたいはずなのに、どうして落ち着いた色が使われているのでしょう。その理由は、恐怖ではなく安心で人を動かすためです。赤は「止まれ」と脳に信号を送る色であり、一方の緑は「進んでいい」と無意識に認識させる色です。つまり非常口のピクトグラムは、人を混乱させず、安全に出口へ導くためのデザインとして、色を設計しています。
資料で最もありがちな失敗は「色が多すぎる」ことです。ベース色には白やグレーなどの無彩色を使い、全体の約70%を占める土台として落ち着きを持たせ、メイン色を25%、アクセント色を5%に抑えることで、目立たせたい部分だけが自然に引き立ち、洗練された印象をつくることができます。
たとえば、白・ライトグレー(ベース) × グレー(メイン) × 緑のアクセント だけでも十分整理感が出ます。
資料づくりにおける「色」は、ただの装飾ではありません。情報の優先順位を整理し(情報設計)、見る人の感情や印象をコントロールし(感情設計)、全体の洗練度や統一感を整える(印象設計)ための戦略的ツールです。適切に色を選び、数をコントロールすることで、どんな資料も「見やすく」「伝わる」「印象に残る」ものに変えることができます。
資料を作るとき、「どう見せたらいいかわからない」「なんとなく締まらない」と悩むことはありませんか?
そんなときに役立つのが、鳥の目と虫の目の2つの視点です。
専門的なデザイン知識がなくても、この2つを意識するだけで、資料の完成度と“伝わりやすさ”がぐっと上がります。
まず意識したいのは「全体を見る力」です。
鳥のように高いところから資料全体を見渡し、構成や流れを整えることが大切です。
・1枚1メッセージ:1スライド=1主張に絞る
・ストーリーを意識:「現状→課題→解決→効果」の順で並べる
・目的を最初に書く:相手が最初に「この資料は何を伝えるのか」を理解できるようにする
・スライド一覧で眺める:全体を俯瞰して、話の流れに違和感がないか確認
いきなりデザインを整えるよりも、“話の流れ”を整えることが、 “伝わる資料”の第一歩です。
次に意識したいのが「細部を見る力」。
虫のように近くで観察し、フォント・余白・表現などの小さな部分を整えましょう。
・フォントやサイズを統一:タイトル・本文・注釈のスタイルを固定
・余白を揃える:要素を詰めすぎず、見やすい“呼吸”を作る
・色を3色以内に抑える:メイン・アクセント・背景
・見出しを短くする:長文より、キーワードでまとめる
細部が整っていると、資料全体に「信頼感」と「安心感」が生まれます。
これは見た目の問題というより、相手への配慮です。
デザインはセンスではなく、観察の力です。鳥のように全体を見て流れを整え、虫のように細部を磨く。この2つの視点を持つだけで、“伝わる資料”はすぐに作れるようになります。
文・図版:Creative Direction Dept. (アマナ)
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