AIをクリエイターに育てるプロンプト②〜AIに「ダメ出し」をする

AIネイティブマーケティング
本記事は企業の広告・ブランド担当者に役立つ本から、気になる一節を数回に分けてご紹介する連載です。読みながら、その本の“考え方”に少しずつ触れていただけます。

AIのアウトプットに対して「悪くはないが、何か違う」と感じる瞬間があります。その違和感は、表現を次の段階へ進めるための重要な手がかりです。クリエイティブディレクター並河 進氏による、実践的な思考法をもとにしたAIをクリエイターに育てる5のやり方から、今回は「ダメ出し」を通じてAIの思考を深めるプロンプトを紹介します。


~本コンテンツは、書籍『AIネイティブマーケティング 人、企業、AIの幸せな関係をつくる』(並河 進著・宣伝会議刊)から一部を抜粋・編集したものです(この記事は第2回/全3回)。 

No.1:AIをクリエイターに育てるプロンプト①〜AIを「助手」にする 

No.3:AIをクリエイターに育てるプロンプト③〜AIに「メソッド(秘伝)」を注入する(2月5日公開予定)


ChatGPTやGeminiにキャッチフレーズをお願いしても、最初からなかなかいいコピーができあがってこない。コピーライターなら、そんな経験があるのではないでしょうか?

特にクリエイティブのような、創造性が必要な領域では、LLM(大規模言語モデル)の平均的で優等生的な答えでは十分とは言えません。

このコラムは、生成AIを使いこなしたいクリエイターのためのAI育成講座です。話をわかりやすくするために、コピーライティングに絞って話しますが、ビジュアルでも、テレビCMでも考え方は同じです。

第1回「助手方式」に続き、並河流、AIを育てる5つのやり方から、ここでは「ダメ出し方式」を紹介します。

ダメ出し方式とは?

最初はざっくりと指示をして、返ってきた答えを聞いて、それに注文をつけていく方式です。


プロンプト

福島の桃のおいしさを伝えるコピーを書いてください。

回答

福島の桃のおいしさを伝えるコピーを提案します。

・かじれば、夏がはじまる。

・一口でとろける幸福。

・太陽と土が育てた甘い奇跡。

・ふくしまの風味、まるごと一口に。


うーん……。いまいちです。そこで、


プロンプト

もっと創造的に!

回答

・桃が恋した太陽と。

・皮ごと抱きしめたくなる、みずみずしい余韻。

・福島で生まれた桃は、空の色まで甘くする。

・夜空に浮かぶ月みたいな、福島の桃。


「悪くない…。でももう少し良くできるはず。だったら…」

多くの人はこのやり方(ざっくり注文で出てきた結果に対してフィードバックを繰り返す)を行っているのではないでしょうか?

この方法は、あれこれ試行錯誤して、「結局、自分で書いているじゃん!」となる場合が多いです。私がコピーライター3年目のときに新人コピーライターと一緒にコピーを書いていたときが、まさにこんな感じでした。

ダメ出し方式でいくなら、AI自身にダメ出しさせて、考えさせましょう。


プロンプト

#商品:ポカリスエット

以下のアプローチに基づき、この商品に関するコピーを生成してください。

【ダメ出し方式】

① まず、あなたがこの商品について「普通に」考えたコピーを1本出してください(初稿)

② 以下の基準でダメ出しを行ってください

・どこかで聞いたことがある?

・感情を揺さぶる部分はあるか?

・機能で終わっていないか?

・視点が単調でないか?

③ ダメ出しを踏まえ、5段階(改稿1→2→3→4→最終案)で推敲を行ってください

回答

① 初稿(普通に考えたコピー)

「カラダにすっと浸透。ポカリスエット。」

② ダメ出し

・どこかで聞いたことがある?

→ はい。まさに公式コピーのようで、既視感があります。

・感情を揺さぶる部分はあるか?

→ ありません。機能説明のみで、感情的な要素がありません。

・機能で終わっていないか?

→ 完全に機能で終わっています。「すばやく浸透」以上のメッセージがありません。

・視点が単調でないか?

→ 単調です。ユーザー視点や体験、状況への想像力が不足しています。

③ 推敲のステップ

・改稿1

「渇いたカラダが、ひと息つく。」

→情緒を入れたが、やや抽象的で弱い印象。

・改稿2

「のどが叫んでるとき、ポカリが答える。」

→擬人化と対話を取り入れ、感情表現を強めた。

・改稿3

「走る。汗が出る。そして、ポカリが生き返らせる。」

→状況を提示して機能と感情の結びつきを描写。

・改稿4

「カラダがSOSを出したら、ポカリで応答せよ。」

→劇的な表現で緊張感と役割を強調。

最終案

「体の声に、一番早く気づくのはポカリだ。」

→ 「気づく」という人間的感覚を持ち込むことで共感を誘い、単なる機能性を超えた印象を与える。


「体の声に、一番早く気づくのはポカリだ。」、いいですね。

自分で推敲して、少しずつ良くなっていくのがわかります。


(この記事は第2回/全3回)

No.1:AIをクリエイターに育てるプロンプト①〜AIを「助手」にする 

No.3:AIをクリエイターに育てるプロンプト③〜AIに「メソッド(秘伝)」を注入する (2月5日公開予定)


▼書籍紹介

生成AIが業務に欠かせない存在となるなかで、人とAIはどのような関係を築くべきなのでしょう。本書は、広告・クリエイティブの現場で培われた思考と実践をもとに、AIを単なる効率化の手段ではなく、思考や表現を広げるパートナーとして活用するための考え方を紹介する一冊です。AIとの対話の重ね方、判断軸の持ち方など、マーケティング、事業開発、コミュニケーション、クリエイティブに関わる人にとって参考となる内容がまとめられています。

▼書籍情報

書名:AIネイティブマーケティング 人、企業、AIの幸せな関係をつくる 
著者:並河 進 
出版社:宣伝会議
発売日:2025年10月17日
リンク:https://www.sendenkaigi.com/marketing/books/book_35811/ 


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文・編集:桑原勲

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A³|amana AI Architectsは、「AIの進化を、美意識の進化へ」というビジョンのもと、生成AIを“ブランドに最適化する”ソリューション「AI Creative Architecture」を核に、企業のブランド表現を次世代の制作基準へアップデートするプロフェッショナル集団です。

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