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子どものあそび場がビジネスの場に。
ボーネルンドが仕掛ける「+α」のつくり方

Photograph by Catherine Lacey Photography/500px/amanaimages [TOP]

消費の傾向は「モノからコトへ」と言われて久しい今日。市場では、より付加価値の高い商品が望まれています。そして企業もまた、商品とともに提供する「+α」を求めているのではないでしょうか。

そんななか、子ども向けの玩具を販売する会社として知られるボーネルンドですが、実はあそびの環境を創造し、豊かなあそびの時間を提供する、「コト」を展開する企業でもあります。近年は行政、教育施設、医療施設、商業施設、カーディーラーなどとのコラボレーションが増えています。「カーディーラーにあそび場をつくって利益が出るの?」と、一見すると集客とは関係ないように思えますが、そこに人が集まる仕掛けがありました。

「子どもが健やかに育つ環境をつくることは、子ども・親・企業それぞれにとってメリットがある」と話すのは同社取締役兼広報室長の村上裕子さん。今回は村上さんに付加価値の高い「場」づくりが生み出すメリットについて語っていただくトークイベントを開催します。


—ボーネルンドというと、一般的には「おもちゃ屋さん」というイメージをもたれる方が多いと思います。

村上裕子(株式会社ボーネルンド 取締役兼広報室長/以下、村上):そうですね。しかし、創業当時はいまとまったく違う業態でした。当初はおもちゃ屋さんとしてではなく、教育・保育施設への「あそびの環境づくり」からスタートした会社なんです。よく「どこに本社があるんですか」と聞かれます。北欧をイメージしたビジュアルデザインですが、生粋の日本の会社です(笑)。社名はデンマーク語の造語で、「borne(ボーネ)」は子ども、「lund(ルンド)」は森という意味です。

弊社の創業者はもともと商社マンで、40年以上前に日本とデンマークを行き来していました。デンマークの人口は550万人と少なく福祉国家のため、次世代である子どもが心身ともに健康に育つかどうかは国全体の問題です。ですから、子どもは生まれたときから、国の未来を支える「ひとりの独立した人格」として尊重されます。「子どもは親の所有物」と見なされがちな日本とは異なる考え方ですね。

ボーネルンドショップ
ボーネルンドショップ。赤ちゃんから小学生まで、発達に則して多様な経験ができるあそび道具を取りそろえ、店内で実際に試しながら選ぶことができる

生まれてきたばかりの子どもをどうやって心身ともに健康な大人に育てるのか

—日本とデンマークでは子どもに対する考え方がまったく違うんですね。

村上:デンマークでは、子どもは遊びながら生きるために必要なすべてを学んで、自ら生きる力を身に着けていくものだと考えられていました。そう考えると、遊ぶ場所や遊ぶ道具はすごく重要なものということになります。親の趣味や判断を基準にあそび場やおもちゃがつくられるのではなく、あくまで子ども目線であそびの環境が整えられています。つまり、子どもが楽しみながらより豊かな経験を得るための環境を、大人が真剣に考えているわけですね。

弊社の創業者はその違いに気付き、日本にもデンマークのような「子どものあそびを大切にする文化」を根付かせたいという思いから、1981年に大型遊具の輸入を始めました。

—あそびの環境を充実させることの価値に、いち早く気付いたわけですね。ボーネルンドが創業した当時から今日まで、子どものあそびをめぐる日本の状況はどのように変化してきたんでしょうか?

村上:40年前というと、日本にもまだたくさん子どもがいて、そこかしこで遊んでいました。しかし、大人が「あそびの大切さ」を理解していたかというと、そうではありませんでした。

デンマークでは40年以上前から、大型遊具の安全基準というものが存在しました。それは、社会全体で子どもが健やかに育つ環境を守ろうという意識の表れだと言えると思います。

一方日本では、2008年になってやっと大型遊具の安全基準が設けられました。それだけでなく、80年代以降「大声を出しちゃダメ」「ボール遊び禁止」といった公園への規制が顕著になっていきました。高度経済成長を経て時代が変わっていくなかで、日本では子どものあそびは守られなかったんです。「子どもはあそびのなかで成長する」とわかってはいても、実際は遊ぶ場所も時間もなくなっているのが日本の現状です。

教育施設でのあそび場づくり事業
1981年、幼稚園や保育園のあそび場づくりから事業をスタートさせた。子どものあそびを研究して開発された世界で初めての遊具を用いて環境を提案している

子どものあそび場を軸に、社会が連動する

—子どもが遊ぶ環境が整うどころか、どんどん悪くなっているのが日本の現状なんですね。

村上:私たちは子どもが自由かつ存分に遊べるようにあそび場をつくり、よいおもちゃを厳選して輸入する活動を続けてきました。それでも、子どものあそびを取り巻く日本の状況はいまもほとんど変わっていません。たしかにボーネルンド一社がいくら働きかけたところで、社会を変えていくことは難しいと思います。しかし、最近になってボーネルンドの理念に賛同してくださる自治体や企業が少しずつ増えてきたことで、状況が好転する兆しが見えてきました。

—子どものあそびの環境を、企業がサポートする時代になりつつあるということでしょうか。具体的にはどのような事例がありますか?

村上:私たちと企業や行政とのコラボレーションの代表的な例が、ボーネルンドが全国22カ所に展開する親子の室内あそび場「KID-O-KID(キドキド)」のノウハウを活かしたあそび場づくりです。子どもの体力・こころ・考える力を育むだけでなく、家族みんなで充実した時間が過ごせるような設計になっています。予想以上の集客力に驚かれるご担当者もいらっしゃいますね。近年では、あるカーディーラーのフロアの半分をあそび場としてプロデュースしました。するとクルマは1台しか置けなくなるわけですが、それがいままでよりも10倍以上の集客につながったんです。

KID-O-KID(キドキド)事業
2004年にスタートさせた、親子の室内あそび場「キドキド」事業。子どものあそび不足への解決策として提案した

—それだけ社会のニーズがあるということですね。実際、子どものあそびの環境が整うことで地域社会や企業にもメリットがあると。

村上:実際、企業の方は来店者との関係の「質」が変わったと言います。単にモノを売る・買うという関係とは違う、別のコミュニケーションが生まれているということですね。こういう関係性をより多く築いていけたら、社会が変わっていく可能性は十分あると思います。子どもの遊ぶ環境を大切にすることで、子ども・親・企業それぞれが感じられるメリットはたくさんあります。


企業と顧客の双方が求める、新しいコミュニケーションとはどのようなものなのでしょうか。それによって得られるメリットとは。「子どものあそびの環境+商業施設」という付加価値の高い「場」を、これまでいくつもプロデュースしてきたボーネルンド。トークイベントでは、社会の新しいプラットフォームづくりのノウハウとメリットについて、村上さんに詳しく語っていただきます。奮ってご参加ください。

 

INFO イベント情報

開催日時
2018年1月26日(金) 17:00~18:30
料金
2,500円
定員
72名

ACCESS アクセス

amana square

住所:〒140-0002 東京都品川区東品川2-2-43
TEL:03-3740-4011 (代表)

電車でのアクセス
東京モノレール:天王洲アイル駅より
南口改札を出て山手通りを右(新東海橋方面)へ。 品川埠頭入口交差点を渡り、ボンドストリートを右折。 徒歩5分。
りんかい線:天王洲アイル駅より
改札を出て品川埠頭入口交差点を左(新東海橋方面)へ。 ボンドストリートを右折。徒歩5分。

お車でのアクセス
駐車場のご用意がございませんので、公共交通機関をご利用の上お越しください。

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