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もっと住みやすい家が欲しい——。私たちはいつでも、環境の不自由さを効率的に解決してくれる住まいを求めています。しかし自然界を見わたせば、すでに過酷な環境に適応する個性的でクリエイティブな「家」を手に入れている生きものがいます。
世界を渡り歩く「鳥の巣」研究者・鈴木まもるさんは、鳥の巣の合理的な設計に人間の住環境をよりよくするヒントがあると言います。そんな鈴木さんと、自然と人が共生する住まいを実現する建築家・中村拓志さんが、未来の家のあり方について語るトークセッションを開催します。
いま、人々が住環境に求めるものとは何か? 鳥の巣が教えてくれるソリューションとは? 多様化する「住」のニーズに応えるヒントを、研究者と建築家のそれぞれの視点から探ります。
—今回のイベント企画にあわせて、鈴木さんが収集されている鳥の巣を生で拝見いたしましたが、その造形の美しさと繊細なつくりに驚きました。鳥の巣といえば籠型くらいのものかと思っていました。
鈴木まもる(鳥の巣研究家、絵本作家、画家/以下、鈴木):鳥の生活環境もさまざまですから、巣にもバリエーションがあります。しかし理由はひとつで「外の危険から生命を守るため」なんですね。鳥の卵やひなは他の動物にとって栄養価が高いので狙われやすいんです。同時に、親鳥は暑さ寒さからも子どもを守らなくちゃいけない。人間の家も根本的な発想は同じですよね。生命体としては鳥も人間も変わりませんから。
—なるほど。その環境でどうやって安全快適に生きるかを突き詰めた結果が、このユニークなかたちにつながっているんですね。環境が過酷になればなるほど、鳥の巣のかたちや機能も個性的でおもしろくなっていくと。
鈴木:たとえば、この巣(上図)は妊婦さんのおなかみたいなかたちをしていますよね。鳥が恐竜から進化するとき「おなかの重さ」は飛ぶための課題でした。だから、母体の機能を巣として体外に移動することで体を軽くしたんです。内部の構造も子宮ととてもよく似ています。
—とても合理的だし、なによりかたちが美しいですね。アート作品としても価値がありそうですね。
鈴木:実際、住宅やインテリアを提供する企業が、発酵熱や気流による寒暖差のような自然エネルギーを活用した住環境づくりを進めていますよね。
—生きものの暮らしや自然現象からヒントを得たエコなシステムは、新しいマーケットを生み出しつつあるんですね。
鈴木:太古の昔から、人間は他の動物の巣からヒントを得て、つぼや籠をつくってきました。家も同じです。それは現代も一緒で、鳥の巣から私たちの住環境を考えることは十分に可能でしょうね。
鈴木:サイホウチョウ(裁縫鳥)の巣はクモの糸と葉っぱでできています。糸で葉っぱを器用に縫い合わせて「ブラインドカーテン」をつくるんです。他にも羊の毛でフェルト状の巣をつくる鳥や、人間がごみとして出したビニール袋なんかを使って巣をつくる鳥もいます。あらゆる素材や技術を利用して、寒暖や風雨をしのいでいるんです。
—人間の住環境づくりとまったく同じ考え方ですね。建築家に「巣」をコンセプトに住宅を設計されている中村拓志さんがいらっしゃいます。自然環境を活かした効率的で合理的な住環境を提案する中村さんは、鳥の巣からインスピレーションを受けたところがあるかもしれません。おふたりのお話をぜひ聴いてみたいです。
鈴木:なるほど、ぜひお話ししてみたいですね。鳥の「生きるための知恵」が人間社会に役立ったらおもしろいと思います。建築家の方は、それを実現する力をもっていますからね。
過酷な環境に適応する鳥の巣から、次代のソリューションを研究者の鈴木まもるさんと建築家の中村拓志さんが探ります。イベント当日は鈴木さんが収集している鳥の巣を数点展示する予定です。トークとともに、その造形美もぜひお楽しみください。
住所:〒140-0002 東京都品川区東品川2-2-43
TEL:03-3740-4011 (代表)
電車でのアクセス
東京モノレール:天王洲アイル駅より
南口改札を出て山手通りを右(新東海橋方面)へ。 品川埠頭入口交差点を渡り、ボンドストリートを右折。 徒歩5分。
りんかい線:天王洲アイル駅より
改札を出て品川埠頭入口交差点を左(新東海橋方面)へ。 ボンドストリートを右折。徒歩5分。
お車でのアクセス
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