vol.22
変わる家族のかたち。ミレニアル世代に見る新消費行動
今後の消費のカギを握る世代と言われる20代から30代の「ミレニアルズ」。デジタルネイティブで、「モノ」よりも「コト」に対して対価を払う傾向があるこの世代の心をつかもうと、各業界が試行錯誤しています。
定量的なデータをもとに家族を研究してきた「博報堂こそだて家族研究所」の亀田知代子さんと、伊勢丹新宿店でバイヤーとしてファッション界の消費動向を見てきた三越伊勢丹の杉澤元一さん、そして子どもと大人の暮らしを考えてきた『MilK JAPON』編集長の星本和容が、ミレニアルファミリー層の実態に迫ります。
星本和容(『MilK JAPON』編集長/以下、星本):『MilK JAPON』の読者層は30〜40代のファミリー層で、まさに今回のセミナーの主眼である1980年以降生まれのミレニアル世代が当てはまります。
本日登壇される三越伊勢丹の杉澤さんとは、以前からキッズファッションのカタログ制作でお付き合いがありました。杉澤さんいわく「伊勢丹新宿店ではミレニアルファミリー層への取り組みを強化している」そうです。小売りの現場でミレニアル世代と日々接している杉澤さんに語っていただくとともに、広告代理店で0歳から小学生までの子ども持つ家族について研究をなさっている亀田さんの知見をご紹介することで、「ミレニアル世代」を紐解いていきたいと思います。
杉澤元一(三越伊勢丹バイヤー/以下、杉澤):三越伊勢丹の杉澤です。82年生まれの私自身はギリギリミレニアル世代です。入社以来ヤング層をターゲットにした婦人服を長く担当してきました。百貨店のヤング層向け商品は、他業態との競争が激しく、入れ替わりも多い厳しいジャンルでした。2017年度から子ども服、なかでもラグジュアリーやデザイナーズブランドを扱う担当に変わりました。ラグジュアリーやデザイナーズブランドを購入される層は客単価が高いので、他業態との競合というよりは独自にどうやって業績を伸ばすかが肝心になってきます。そこで、『MilK JAPON』とタッグを組んで伝わりやすいビジュアル制作を手がけていただいています。
亀田知代子(博報堂こそだて家族研究所/以下、亀田):博報堂こそだて家族研究所の亀田と申します。2001年に入社後、マーケティングセクションから研究開発局へ移り、生活者の研究を行っていました。主に環境・社会コミュニケーションに関する研究をしていたのですが、第一子を出産したことをきっかけに「こそだて家族研究所」に参画しました。現在、小学校1年生と年少の子を持つ親として、自分自身の経験や知見をどうマーケティングに応用できるかを考えながら活動しています。
「こそだて家族研究所」は、主に赤ちゃんとママを研究対象にした「BaBU(Baby & Family Business)」というプロジェクトを前身とし、小学生までその領域を伸長して2012年に設立されました。父親の子育て参加が進んだいま、母親だけを見ていては、子育て家族は語れません。そのため、「こそだて家族研究所」にはマーケティング、クリエイティブ、PR、プロモーションなど多様なセクションからママ、パパである社員が集まっています。
現代の子育て家族を読み解くには、「少子高齢化」と「共働き」というふたつのキーワードに注目する必要があります。ご存知のとおり、団塊の世代のシニア層にもっとも大きな人口比重があるので、子育て家族世代に当たるその子どもたちは実は第二の人口ボリューム層です。その一方で少子化が進んでいるので、そういう意味では今後は子育て家族のパイも減っていきます。
世帯形態別に見ると、主にシニア世代を中心とする夫婦のみ世帯や単身世帯が増加しています。少子化の背景には晩婚化・晩産化などもありますが、子どもを生む年齢の平均は30代にまで上昇しています。
もうひとつ、子育て家族を読み解くキーワードに「共働き」が挙げられます。次の表のように、共働き世帯が増え、専業主婦世帯との差は大きく開いています。
また出産後の働き方も変化していて、かつては結婚を契機に女性の就業率が大きく減っていましたが、最近は結婚後や出産後も働く女性が増えていることがデータでもはっきりと示されています。
いままで「標準世帯」と言われていた専業主婦、子どもふたりという家族が減少し、もはや標準ではなくなりました。それはつまり、新しい家族のかたちの出現も意味しています。
星本:ここまでは、どちらかというと日本全体をマクロに見たデータでした。次は伊勢丹新宿店が収集したデータから、首都圏ではどんな変化が起きているのかを見ていきましょう。
杉澤:伊勢丹新宿店でベビー用品を購入される層は、直近の1年間では33〜37歳の方がもっとも多くなっています。博報堂さんのデータでは第一子の出産年齢の平均は30.7歳でしたので、購買データなどから総合して考えると一般的なベビー用品購入のピーク年齢は31歳ごろとなります。しかし、伊勢丹新宿店のデータでは35歳がピークになっており、マクロの平均よりも3〜4歳遅くなっている印象です。
2017年のデータでは伊勢丹新宿店の6階子ども服売り場の購買シェア3割程度がミレニアル世代です。なかでもベビー用品は43パーセントがミレニアルズによる購買で、いままさに子育て世代の入れ替わり時期の到来を実感しています。
私の担当するキッズファッションは、ミレニアル世代の購買比率は3年前23パーセントだったのが現在35パーセントにまで増加しています。3年前はちょうど伊勢丹新宿店を改装していた時期で、ファッション雑誌の提案するイメージを参考購買するようなファミリー層に好まれるお店づくりをしていました。しかし、いまのファミリー層はあまり雑誌を読まないと言われています。さらに3年後はまた違う状況になっているかもしれません。変化が目まぐるしく、先が読めないこの状況はわれわれとしても恐ろしく思っています。
星本:確かに『MilK JAPON』も刊行してはいるものの、雑誌はどちらかと言うと「ブランドブック」のようなイメージで制作しています。昨年、杉澤さんとつくった三越伊勢丹のカタログも、今年はデジタルでInstagramを使った表現をメインにしましたよね。
杉澤:実際、バイヤー目線で新しいブランドを知ろうとするなら、商品そのものだけではなく、Instagram上での取り組み方も見た方がここ最近はより多くのことを知り、ブランドを理解できる気がします。
星本:これまで首都圏のデータをご覧いただきましたが、さらに亀田さんからおもしろい消費動向をご紹介いただきます。
亀田:生活者の購買動向を調べている 「博報堂買物研究所」と共同で、ミレニアル家族の買物行動を発表しました。ミレニアル世代はデジタル機器を幼いころから使いこなしてSNSとの付き合い方もこなれていたりと、購買行動が他の世代とは大きく異なります。また、リーマン・ショック以降の経済的に厳しい時代を経験し、いまをいちばん楽しもうとする傾向があります。
これまでの家族像の変化を振り返ると、バブルが弾ける前の90年代は多くの家族がよりよい生活を求めて背伸びをし、マイホームや高級車といった共通の上昇志向を共有していました。このような世代の家族を私たちは「背伸び家族」と名づけました。その後バブルが崩壊し混乱期に突入すると、家族みんなが守りの姿勢に入り、現状の幸せを存分に享受しようとする「身の丈家族」という価値観が生まれました。
現在に至り、いまだ経済が上向く兆しは見えないし、未来が明るいのかもわからない。“幸せ”のロールモデルが見えにくくなっているからこそ、自分たちなりの幸せを手に入れようとする「身の幸家族」という新しい価値観が出てきます。これがミレニアル家族の特徴だと捉えています。
彼らは単に無駄のない「賢い買い物」だけではなく、家族みんなに合った、自分たちなりに楽しめる買い物行動をする傾向にあります。そこには「偏らない」「頑張りすぎない」「あえて楽しむ」の3つの行動原則があります。
「偏らない」は、共働きが増えて家事や育児の分担を偏らせないことが代表例です。4人に1人の割合で日用品の買い物を担当しているパパがいらっしゃいますし、パパの買い物動向率も増えています。家族みんなで普段の買い物をイベントのように楽しんでいるんですね。だから、商品の開発や広告コミュニケーションにおいてパパの視点を考えることが今後大事になっていくと考えています。
杉澤:われわれが集めたデータとも非常に似ていて、父親の子ども服購買率は毎年徐々に増加しています。先日、私の先輩が三越伊勢丹で初めて男性として育休を取っていて、売り場以外でもこうした傾向は実感しています。その方は職場を離れて別のことに没頭することはいい刺激になると言っていて、育児を楽しんでいました。
亀田:ふたつ目のポイントの「頑張りすぎない」は「そこそこ主義」とも言い換えられます。すべてに完璧を求めるのではなく、生活に困らない程度に仕事や家事、趣味をすればいいという考え方です。たとえばかつての専業主婦中心の時代には、家事を完璧にすることが良しとされる風潮でしたが、ミレニアル世代は、家事・育児・仕事・趣味などやることがたくさんあるので、たとえそれぞれが6割程度の出来だとしても、総計すれば300パーセントだと捉えているように思います。
購買行動についても同様で、これだけ多くの選択肢があるなかからすべてのものを吟味して選ぶのではどんなに時間があっても足りない。だから、あらかじめお店で厳選されたものから効率的に買う傾向があります。たとえば、インタビューでよく某輸入食料品店の名前が挙がったのですが、ここで選ばれているものならば間違いないという安心感があるようです。あらかじめキュレーションされていることや、お店の視点やカテゴライズが明確になされていると利用されやすいのです。
杉澤:私の担当する売り場は昨年度売り上げ好調でしたが、伊勢丹でしかないような商品展開が要因のひとつなのかもしれません。
亀田:「身の幸家族」は幸福感が高い人々です。生活定点(博報堂生活総合研究所による定点調査)のデータにも如実に現れていて、「幸せであるか?」という質問に対して4人に1人程度の割合で「非常に幸せである」との回答があります。
ささいなこともイベントのように楽しくすることが上手なこの層の購買行動は「あえて楽しむ」ものなのです。休日は家族と過ごしたい彼らは百貨店やショッピングモールに行くことが多く、ママ、パパ、子ども、それぞれの目的に合わせた買い物を一緒に楽しめることが非常に重要です。また、イベントの開催に合わせて、ショッピングモールに足を運ぶことも多いです。
杉澤:イベントの重要性はわれわれも非常に感じています。オンラインでの購買が盛んで、「ただ商品を並べても売れない時代」と言われていますが、実際にもっとも購買が活発なのはイベントのときです。お子さまのファッションショーへの参加などを特典を付けると非常に好評です。
お客さまに直接イベントへの参加の理由を伺うと「子どものお受験勉強や両親の仕事で忙しい家族も、消費に付随するイベントを貴重な体験として楽しみたいから」とおっしゃっていました。つまり、商品を買うだけじゃなくてどんな経験をつけてあげるかがすごく大事になってきています。そのため、最近はワークショップの開催も盛んに行っています。
星本:服を買いたい両親と、そのあいだ手持ち無沙汰な子どもという構図が売り場ではできてしまいます。そこで子どもも楽しめて、感性や知識を育めるようなイベントがあれば両親・子どもみんながウィンウィンな状況がつくれますよね。
亀田:「いまどきママの新常識調査」のなかに「子どもに習い事をさせる場合、いろいろ経験させてみるのが良いと思う」が6割以上というデータがあります。
あらゆることにおいて標準がなくなっているいま、子育てにおいても、“勉強して一流大学に入って一流企業に就職する”ようなロールモデルがなくなりつつあります。AIなどが台頭し、これまであった職業がなくなるかもしれないなか、どのように育児をしていけばいいのか多くの親が悩んでいます。教育でも「アクティブラーニング」が注目されており、子ども自身が主体性をもち、能動的に学ぼうとすることが大切だと言われ始めています。そんななかで、子どもの自主性に任せて、子どもにいろいろな経験をさせてあげたいと考える親は多くなっており、だからこそ、消費とイベントを紐づけることは非常に有効な手段だと言えるのだと思います。
杉澤:ミレニアル世代のイメージは当初ヤング層と被っていたのですが、いまや3分の1近くが親世代になっています。世界中にリーチする秀でた情報収集力がこの世代の最大の特徴で、しかも一人ひとりの方がファッションに限らず、ビューティやライフスタイル、カルチャーなど多ジャンルに精通している傾向があります。そのため、以前は小売業者や私たちの方が情報を持っていましたが、最近ではお客さまの方が商品についてよく知っているケースも増えています。
また消費者一人ひとりの発信力が強くなっていて、家族を自分のアイデンティティと捉えて発信することがトレンド化しています。さまざまなインフルエンサーの方々が、家族で過ごす様子をSNSで投稿していますが、いわゆるペアルックではなく親子で同じセンスの服を着たり、「リンクコーデ」と言われるような違う服だけど同じ価値観を共有するファッションに親子で身を包んでいるのです。
亀田:家族がアイデンティティという感覚はすごく共感できます。昔は家族を持つことが当たり前でしたが、いまは結婚や出産はより選択的なことになりました。「子どもを持つ」と決めたことで「家族」という単位自体が自分たちのアイデンティティになるし、自分の生き方の意思表示になりえるのです。
杉澤:これまで話してきたような考察をもとに、伊勢丹新宿店で実際に取り組んだ企画をふたつご紹介します。まず、ファッション好きでグローバルに情報をキャッチしている子育て層に向けてどんな企画を用意すればいいのかを一生懸命考え、パリの「smallable(スモーラブル)」というショップとのコラボレーションをすることにしました。
もともとスモーラブルはヨーロッパのキッズファッションをまとめて扱う非常に人気のあるECサイトで、2015年のリアル店舗オープン以来、さらに人気に火がついた注目のブランドです。常時700にものぼるブランド数を取り扱い、キッズファッション界では最先端のセレクトショップと目されています。アパレルだけでなく、雑貨などのライフスタイル分野のセレクトにも長けています。
星本:『MilKmagazine』がフランスで初めて発刊された2003年から、キッズファッション文化がフランス国内に根づき始め、その数年後にスモーラブルのECストアがオープンしています。インターネットという社会インフラの普及の波と、フランスを中心としたヨーロッパでのキッズファッションへの関心の高まりが同調したタイミングでした。
杉澤:伊勢丹としてはスモーラブルの取り扱い商品を買い付けして販売する他に、限定アイテムの開発もしました。パリの店舗でも伊勢丹とのコラボ商品を並べてもらったり、SNSを活用したりと、グローバルな取り組みになりました。
星本:伊勢丹から離れてしまっていたミレニアル子育て層を呼び込むことにつながりましたよね。杉澤:私の周りのママたちを対象に、チェックしているブランドなどをリサーチしました。スモーラブルでも取り扱っているものが多く出ましたが、伊勢丹の担当者は知らないブランドばかりでした。実際にそうしたブランドを並べてみると売れたんです。百貨店として取り組んできたなかで、世間の求めるものとわれわれの認識がズレていたという事実を再認識することもできましたね。
子ども服の業界はすごくニッチなマーケットです。リアル店舗で高単価な子ども服の展開ができる店舗数はすごく限られている。ということは、生産に対する消費の量が釣り合わない可能性が高く、価格設定も非常に難しい。だからこそ、キッズファッションはグローバルに展開する必要があるんです。
フランスはもともとファッションのイメージが強いからいいのですが、たとえばそう認識はされていなかったスペインにもいいキッズファッションのブランドがあります。SNSやインフルエンサーを活用することで、そうしたブランドでもグローバルに打って出ることができるんです。
また最近では、買い付ける商品内容にも「インスタ映え」するかどうかが少なからず影響します。スモーラブルの方にも何度も「それはインスタジェニックか?」と問われました。前まではカタログやルックブックが評価の基準でしたが、SNS上での取り組みがそのブランドの価値観を表していると言っても過言ではありません。特に子ども服で言えば、何回も洗濯して、すぐにサイズアウトしてしまうので洋服そのものの質だけでなくても格好いい世界観を親子で共感できることが大事になってきています。
ふたつ目の事例が、人気スタイリストのMASAHさんとカリスマモデルとして原宿カルチャーを牽引した今宿麻美さん夫婦、そして伊勢丹がタッグを組んで始めた「IN THE HOUSE (イン ザ ハウス)」という企画です。先ほど「パパの子育て参加」という話がありましたが、ブルーオーシャン的に未開拓状態だったパパをターゲットにしました。「NEIGHBORHOOD」や「F.C. Real Bristol」「A BATHING APE」などいまをときめくパパ大好きブランドとコラボレーションして、伊勢丹の別注で手がけた子ども服などを取り揃えました。
たとえば、NEIGHBORHOODのキックバイクを発表したところ、相場の倍以上の値段にも関わらず予約段階で完売してしまう盛況ぶりでした。お子さまはよくあるカラフルでかわいらしいものを選ぶのでしょうが、スタイリッシュなデザインがパパの心をつかんだのだと思います。パパが自分のアイデンティティを子どもと共有するということですね。
亀田:サイズの変遷が早く、すぐに着られなくなってしまう子ども服こそ、刹那的なかわいさを追求した商品が売れるのでしょう。ママやパパにとっては、子どものファッションは「いまのこの瞬間」が大人のファッションよりはるかに大事なので。
杉澤:この企画によって既存の売場よりも多くのパパ層を呼び込むことができ、集客につながりました。また新しいショップを立ち上げ、Instagramでシェアしたところ、オンラインでの売り上げも一気にアップしました。店頭は実物を見る場で、購入はオンライン、という消費行動の変化です。それによって店頭のつくり方も、告知のやり方も変わります。この企画をとおして、何もかもが変わっていると感じましたね。
星本:ファミリーのあり方が変わり、家族がアイデンティティになったいま、これまでママ向けにデザインされてきた子育て向けのあれこれは、パパ向けにもアップデートされていく必要があります。これまでは家族という枠組みのなかでお母さん、お父さん、子どもが個々の役割を担っていましたが、いまは「絆」というキーワードのもとで「チーム」と捉える家族が増えていて、ますますパパのマーケットが大事になってきています。「パパのママ化」が進むなか、パパが来やすい店舗設計やキュレーションにこだわったブランドやお店がどんどん選ばれています。
杉澤:ラグジュアリーという言葉の持つ意味が変容し、素材のよさや見た目の高級感に限られなくなっていると感じます。個人も店舗やブランドもインターネットが発信の中心となるなか、それぞれのユニークな感性を集めたり、世界観をつくり上げたりして「表現」することこそが現代的なラグジュアリーになっているということです。美意識やセンスが自分をかたちづくると考えている層が増加していて、そうした概念を持つ人々がファミリー層になっているのだと実感しています。
星本:ミレニアル家族のもうひとつのキーワードとして「教育」が挙げられます。先ほど亀田さんのお話にもあったように、これまで描かれていた一流大学に入って一流企業に務め、定年まで働いて年金をもらうといったロールモデルがなくなってきています。先行き不安な時代で、子どもに何を与えるかを考えたとき、「教育」に力を注ぐ家族は多くなっていると思います。
杉澤:おもちゃのバイヤーをしている同僚も「教育」にいちばん注目しています。「どう子どもを育むか」が世界中の親の最大の関心事であるなかで、彼らが求めているおもちゃの品揃えをずっと考えています。
亀田:教育がいわゆる「受験のための教育」ではなくなってきています。調査の結果や世の中の流れを見ても、これまで重視されていた九九や年号などを丸暗記することよりも、読解力やコミュニケーション能力、自分で発見する力や感性を磨くことにシフトしています。具体的には音楽やダンスを習わせて感性を育んだり、本の読み聞かせで言葉を増やす機会を与えたりと、教育の質も大きく変わってきています。
星本:最後にまとめると、ミレニアル家族の消費のカギは信頼しているお店の「キュレーション」の能力や、「パパのマーケット」「インスタ映え」「教育」といったキーワードにどう対応するかにかかっていることがわかりました。今回のトークで、家族の概念や消費行動が大きく変わるミレニアル世代像が垣間見えたのではないでしょうか。本日はありがとうございました。