キャラクターが課題解決の”奥の手”に!ファンマーケティングの最前線【セミナーレポート】

2019年4月17日、株式会社アマナ 芝浦オフィス「PORT」にてコミュニティマーケティングを学ぶコミュニティ「LOCKER ROOM」主催で、オウンドメディア戦略、 キャラクターを通したブランディング戦略、顧客をファンに変えていくためのコミュニティ戦略について事例をもとに学ぶセミナーが開催されました。

最初に登壇いただいたのは、世界中で愛されるキャラクターを生み出し、スタンプなどで累計26億回以上のダウンロード実績を持つインターネット発のキャラクター会社、株式会社クオンの代表取締役 水野和寛氏によるブランド戦略の最前線です。

株式会社クオン 代表取締役 水野和寛氏

キャラクターで世界を狙う!?ブランド戦略の最前線

株式会社クオンにとってのファンマーケティングは、ファンの愛着度向上とキャラクターの認知促進を目的としていて、それぞれのキャラクターのファンに向けて、世界各国で数多くのSNSを運用しています。スタンプではない新しいコンテンツも提供し、ファンとコミュニケーションを図りながらイベント告知やキャラクターの認知促進に活用しています。
水野氏によると、ファン向けSNS・コミュニティ運用で気をつけているポイントは3つあるといいます。
 
ひとつは「軸」を持つこと。キャラクターというのは分かりやすいので、キャラクターを使ったコンテンツであればなんでも良いだろうと、思ってしまいがちですが、このキャラクターはどういうテーマがあってどういったユーザーに響くかという軸をつくることが大切だと考えています。 
2つ目は「トンマナ」です。各SNSによって受けやすいコンテンツは違うため、Twitter、Instagram、TikTokなど、それぞれのメディアでコンテンツの内容を作り変えているのだそう。もちろん、そのためのリサーチと改善は欠かせないことでしょう。
 
3つ目は「距離感」。こちらはファンとの距離感のことで、密接に保ちながらも週に何回のコンテンツを更新するとどこまで効果が表れるのかを細かくチェックしながら運用を続け、目標と現状の定量化(データ分析)でさらに改善していくことが大切であるという事も付け加えました。

ファンと担当者、すべての熱量が成功へと導いた

続いて同社のキャラクターを活用したコミュニティ事例として「Sugar Cubs」(海外)の取り組みをご紹介いただきました。
「Sugar Cubs」はカップルのクマのキャラクターで、昨年からFacebookでファンコミュニティを始めて、20代、30代の女性とカップルをメインターゲットにしています。その中で「男女のカップルあるある」がテーマのコンテンツをアップしたところ想定より大きくユーザーが増えたそうです。
 
とくにメキシコでは大きな反響を呼び、非常に熱量の高いファンコミュニティが形成され、その後グッズ販売の要望が多く寄せられたそうです。通常であれば自分たちでグッズを制作するところ”本当にメキシコでグッズは売れるの?”という疑問を抱き、北米と中南米を中心にクラウンドファンディングを実施。
 
すると、300万円の目標額に対して1ヶ月で430万円を達成し、ぬいぐるみとして多くのファンの手に渡ることになりました。届いたぬいぐるみの写真はファンによってSNSに投稿されることになり、グッズを作ることがさらなるファンの熱量を高める結果になりました。
 
この取り組みを通じて水野氏は、担当者からの熱量をいかにコンテンツに乗せるかというのと、クラウドファンディングを応援したいというファンと目標を共有することで、全員で短期的にブーストできたことが成功に繋がったのではないかと語りました。

メディアによってコンテンツを変化させた結果、新たなファンを獲得

つづいては、もともとスタンプとして人気を博し、現在は動画SNS TikTokでコミュニティを築いたキャラクター「ベタックマ」のファンマーケティング事例です。
TikTokでのコミュニティをつくろうと思ったのは、イラストやスタンプの形でキャラクターを知ってもらうのではなく、タレント的な訴求でファンを増やしたいという願いから始められたそうです。
TikTokを始めたところ、すぐに人気キャラクターとして活躍、3ヶ月で5万fan(広告無し)を獲得。人、タレントとしてのベタックマの認知が向上し、TikTok内での人気キャラクターとして定着しました。
その結果、旧来のスタンプやイラスト以外のファンも増え、さらにはインフルエンサーとしての仕事も増えるという成果に繋がったそうです。
ベタックマの場合、SNSそれぞれのトンマナに合わせて内容を変化させることで、新しいファンを獲得することができ、キャラクターの新しい魅力を見つけてもらうことができたことが大きな成果となりました。

キャラクターが課題解決の”奥の手”になる

つづけて水野氏は、企業向けにキャラクターを製作する事業を始めたことに関連して、企業におけるSNS・コミュニティ運営の難しさを感じる原因について触れました。
運営する現場で感じるよくある課題として、メディア特性、現場運用、戦略立案の3つを挙げ、それらに対しキャラクターが課題解決の”奥の手”になるのではないかと期待を膨らませました。

 具体的に

●メディア特性に対しては、メディア別にクリエイティブをフィットさせる
●現場運用に対しては、キャラクター育成方針などアイデアの軸を提供する
●戦略立案に対しては、アセット型へ転換する(育成=アセット思考) 

このようにキャラクターを軸にすることで、『能動的に仕掛け、アセット化を狙う』ことが可能と述べ、キャラクターが企業のファンマーケティングにとって課題解決の救世主となるのではと、期待が膨らむ内容となりました。
次回は、株式会社スマートメディア 代表取締役 成井五久実 氏によるより熱狂的でコアなファンづくりの最前線をレポートします。

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