AIはWEBにおけるビジュアル表現を変革できるか

vol.127

AIはWEBにおけるビジュアル表現を変革できるか

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Text by Hisako Tanase
Photo by Noa Nishiura

情報量が増え続け、情報伝達におけるビジュアルの活用がますます重視される現在、様々な領域において「AI」の活用が加速しました。ビジュアル表現にもあらたなテクノロジーや手法が導入されています。本ウェビナーは、WEBサイトのためのビジュアル制作と運用に焦点を絞って開催されました。

秋元陸(スタイラス ジャパン/以下、秋元):本日は、企業WEBサイト等でのビジュアル活用のトレンドとAIによるビジュアル制作の現状と未来について探求したいと思います。

ビジュアルコミュニケーションの有効性と生成系AIツールへの関心の高まり

秋元:最新のデータによると、世界中で84%の消費者がビジュアルを通じて購買に至っており、特にアメリカではARや3Dビジュアルの導入により、購入額が平均1.6倍に増加していると報告されています。加えて、ビジュアル制作のAIツール利用が広がり、YouTubeではAIによるビジュアル制作のハウツー動画が17億回も再生されています。

Riku Akimoto of Stylus Japan

スタイラス ジャパンの秋元陸

児玉敦(アマナ/以下、児玉):UIUXにおけるビジュアルの役割は大きく2つ。1つは、ブランドやサービスの特徴と魅力を効果的に伝えることです。認知度や好感度を高め、ユーザーの心を動かします。もう1つは、ユーザーとの効果的なコミュニケーション、エンゲージメント促進やユーザビリティの向上に貢献することです。これらは顧客体験の満足度向上と売上増加に繋がります。

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優れたインターフェイスの設計は、単に表層的なビジュアルデザインだけでなく、戦略や要件について、抽象的で概念的な部分から理解した上でのアプローチが求められます。ユーザーにとっての価値とビジネスの目標を定め、具体的なデザインビジュアルへと展開することで、より効果的なユーザーエクスペリエンスを創出することができます。

また、ビジュアルデザインは、情報を伝えるだけでなく、感情や意図を伝達する役割も持ちます。エモーショナルスケールなどのツールを駆使してイメージを言語化したり、整理したりしながら、狙った人に向けた表現開発の最適化を進めます。

ビジュアルを効果的に活用してUIUX最適化・成果へ繋げるには、現状をしっかりと分析し、適切な施策を行っていくことが重要です。

Amana Atsushi Kodama

アマナの児玉敦

AIによるビジュアル制作のリアル

秋元: AIを活用したビジュアル表現の潮流は、業界に新たな風をもたらしています。

ここで1つ事例を紹介します。ViVi Kolaは、ChatGPT、Midjourney、Unreal EngineといったAIツールを駆使して、開発、デザイン、ブランディングをわずか2日で成し遂げています。AIが作成したビジュアルは、我々のような調査会社の目で見ても、昨今のグラフィックトレンドに則した色彩、デザイン、商品コンセプトを具現化した仕上がりになっています。

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彼らが実際に行ったのはもっと高度なものですが、ビジュアル開発までのプロセスを簡単にご紹介しましょう。

まずはChatGPTにZ世代向けのエナジードリンクに求められる要素を尋ねます。その回答をもとにターゲット市場をアジアに絞り込むなど、質問をブラッシュアップしながら繰り返し、ターゲットにリーチするために必要な情報を収集。そこからコンセプトを固めます。パッケージの開発はMidjourneyを活用します。

Midjourneyに「package for energy drink which is targeting Gen Z in APAC(アジアに住むZ世代向けのエナジードリンク)」と入力すると、複数の画像が生成されます。その中から、ブランドのコンセプトや戦略に合ったものを選び、それをさらにブラッシュアップ。簡単な操作でパッケージのデザインが完成です。ViViコーラは、さらにUnreal  Engineを活用して背景画像も制作。リアルなCGを生成し、ブランドイメージに合うビジュアルを完成させました。

AIによるビジュアル開発は、質問を投げかける側のセンスが非常に重要です。AIからの回答が求めているイメージに合わない場合、それをどのように言語化してAIに再加工させるか。「プロンプトエンジニアリング」と呼ばれるこの能力が、これからの時代に求められる力だと考えています。

さて、こういったセンスが問われる部分をどのようにカバーしているのか。堀口さんには、プロによるAI活用のリアルを聞いてみたいと思います。

堀口高士(アマナ/以下、堀口):私からは、クリエイティブワークの中でどうAIを活用するか、クリエイター目線でお話ししたいと思います。

生成系AIツールは、プロンプトを発展させていくことで、様々なイメージをパッと生み出すことができます。ほんの数十分で、温かい雰囲気から寒い雰囲気まで、大量のイメージが生成可能です。

しかし、クリエイター目線でいうと3DCG制作にAIを導入することはまだまだ難しいと感じています。AIは優秀なアシスタントデザイナー、あるいは、副操縦士(領域特化型の新人)と捉えています。今はまだ、コンセプトのブレインストーミングやビジュアル検討での活用が、実際の制作現場の感覚に近いと思います。私見ではAIの活用度はまだ探求の段階といったところですが、クリエイティブプロセスにAIを取り入れることで、アイデアの拡散・発散が加速する実感はあります。

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ビールの広告制作を依頼された場合を例にとって説明しましょう。

Midjourney、ChatGPT、Photoshopなどを組み合わせてビジュアライズするとします。

ChatGPTをはじめ、AIはアイデアの拡散に向いています。何かお題を与えると、わかりやすい言葉から自分では想像できなかった事柄まで提示されるので、質問を変えながら、様々なキーワードを集めることができます。次は、それを絞り込んでコンセプトを明確にしていきます。

ChatGPTで広げたアイデアをどのように具体化するか、次のステップにどう進めるかが重要です。広がったイメージを収束させる際には人間の感性が大きく作用します。

Midjourneyに投げ込むと、適切なイメージが浮かび上がりますが、最終的には人がそれを選択し、ビジュアルのバリエーションを広げる作業を担います。AIはプロセスを助ける存在ですが、創造性を発揮し、最適解を導くのは人間の役割であると考えています。

プロンプトを編集しながら理想のイメージに近づける作業は、まだ完全なコントロールには至っていません。足りない部分はPhotoshopの画像描き換えや編集のAI機能で補えば、クリエイターにとって非常に有用なツールとなります。

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繰り返しになりますが、AIが生み出すものに対して、それが本当に企画意図に合っているか検証するのは人間の役目だと思います。AIは様々なビジュアルを提供することができますが、最終的な選択は人間が行います。AIはイメージ(アイディア)を広げるのに強く、人間はそれを適切に収束させる役割を担っています。

AIの生成ツールを巡っては、権利問題などが議論されています。我々は現在、著作権や肖像権の問題に慎重になりつつも、アシスタントデザイナーとしてのAIの現実的な活用方法を探求していまして、将来的にはこれらの課題が解決され、AIによる効率的な画像生成が広く用いられる時代が来ると考えています。これに向けて、クリエイティブ現場では引き続き研究と開発を進めていく必要があると感じています。

Amana Takashi Horiguchi

アマナの堀口高士

秋元: 堀口さん、ありがとうございました。最後は児玉さんより、WEBのUXを高めるAIテクノロジーをご紹介いただきます。

児玉:はい。AIによる画像データの再構成技術に焦点を当ててお話しします。

リッチなビジュアルや動画が多い今どきのWEBサイトにおいては、ユーザー体験に大きな影響を与える要素として、画像の軽量化が求められています。そんな中、注目を集めているのがAIによる画像圧縮技術です。今日は具体例として、画像データを神経科学で再構成するAIテクノロジー「SpeedSize™️」というソリューションをご紹介したいと思います。

AIによる画像圧縮は、これまでと何が違うのか

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児玉:実は、ビジュアルついて、人間が目で捉えている部分は割と限られています。SpeedSize™️は、目立つ部分や重要な要素を瞬時に識別し、人間の目には見えない部分を省きつつ、重要な部分を高品質に保持したまま再生成します。これにより、見た目に遜色がないまま、WEB上でのローディング時間短縮やSEO改善に貢献しています。

あるクルーズ客船のWEBサイトは、この技術を用いてファイルサイズの圧縮と描画時間を大幅短縮を実現しました。これにより、ユーザー体験が向上し、サイトへのトラフィック増加にも繋がっています。自動車・自転車ブランドのWEBサイトにも活用され、そちらでも効果が表れています。

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秋元: AIというと、多くの方がChatGPTのような対話型AIを思い浮かべるかもしれません。しかし、AI活用の本質的な利点は、時間のかかる作業を機械に委ねて効率化することにあります。今後もクリエイティブプロセスにおけるAI活用について注目していきたいと思います。

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