XR拡張の最新トレンドとブランディング事例: 没入型体験で顧客との絆を深める

XR拡張の最新トレンドとブランディング事例

XR拡張技術の現在と新たなマーケティングの可能性

XR技術(VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)の総称)の進化が、企業のブランディング戦略に大きな革命をもたらしています。特に、従来の広告手法とは異なる没入型体験を通して、「顧客とより深い絆を築く手助け」としての役割が期待されています。

今回は、2025年1月にラスベガスで開催された世界最大規模のテックイベント、CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)において大きな話題を呼んだ最先端のXR技術と、日本における拡張現実を用いたブランディング事例をご紹介します。


次世代XR技術が切り開く新たな可能性

GoogleやQualcommと技術提携した最先端のARグラス

XREAL
CES 2025において、ARグラスのグローバルリーダーであるXREALは、最新のARグラス「XREAL One」と「XREAL One Pro」を発表しました。これらのデバイスは、内蔵プロセッサにより低遅延の3DoF空間スクリーン体験を提供し、最大57度の視野角、120Hzのリフレッシュレートを実現しているなど、最新技術の粋が詰まっており、会場で大きな注目を集めました。

XREALはBMWグループやGoogle、Qualcomm、BOSEなどの大手企業との提携を発表し、AR技術をさまざまな業界と組み合わせ、他に類を見ない没入型体験の提供を目指している点もポイントです。 現在は、Googleが開発する空間コンピューティング向けOS「Android XR」を活用したデバイスの開発も進めており、今後はより高度なAR体験の提供が期待されています。

また、CES 2025全体でもスマートグラスの出展数は過去最高。今後ARデバイスがより身近なものとなることで、ブランディングにおける活用可能性も広がるかもしれません。

出典:
グローバルARリーダーのXREAL CES 2025で画期的なコラボレーションを発表

SONYの「XYN」は空間コンテンツ制作の負担を解消

CESにおいてクリエイターからの注目を集めたのが、ソニーが発表したソフトウェアとハードウェアの両面から3DCG制作を支援するプラットフォーム「XYN(ジン)」です。「XYN」は、すべての企業や団体、個人のクリエイターに開かれたソリューションとして、3DCG制作のクオリティと効率性のバランスを高次に実現することに挑戦するプロジェクトです。

例えば使い込んだ鞄のようなオブジェクトを制作するために、これまでは質感の表現に膨大な時間が掛かっていました。「XYN空間キャプチャーソリューション」を使用することで、カメラで撮影した画像を3Dに変換し、現実の物体や空間からフォトリアルな3DCGアセットを作ることが可能になるとのこと。2025年3月下旬にPC用アプリ「XYN Motion Studio」を第1弾として提供開始予定で、その後も「XYNヘッドセット」等の展開が予定されています。

3DCG制作におけるワークフローの最適化により、今後はよりクオリティの高いXRコンテンツの開発が促進されるものと予想されます。

出典:
@XYNbySony
空間コンテンツ制作の負担を解消する「XYN」 ソニーのXRが目指すもの – Impress Watch

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XR拡張がもたらす顧客エンゲージメントの革新

XR拡張技術の進化により、企業は製品やサービスをバーチャル空間で再現し、顧客に直接体験してもらうことが可能になりました。ヘッドマウントディスプレイを必要とするVR体験が広く普及するにはもう少し時間がかかりそうですが、スマホを通した空間拡張を中心にAR体験がプロモーションやブランディングに活用される例は日本でも増加しています。続いて、効果的なブランディングに繋がった日本国内のXR活用事例をご紹介します。

AR事例紹介

1. ドミノピザのAR世界チーズ旅行キャンペーン

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ドミノピザは、AR拡張を活用して世界のチーズをめぐる仮想旅行体験を提供しました。ユーザーはスマートフォンのカメラを通じて、AR上に表示される地球儀を操作し、世界各地のチーズの産地や特徴を学べます。加えて、Web ARであることから専用のアプリ不要ですぐに試せる、注文ページにもストレスなく遷移できるなど、UXデザインも秀逸。自分のスマホで世界を旅する没入型体験はSNSでも注目を集め、新たなAR活用の可能性を示す結果となりました。

※本キャンペーンは終了しています。

出典:
ワールド9チーズ AR |ドミノ・ピザ
ARを活用した製品・サービス18選|3つのメリットも紹介 – メタバース総研

2. アサヒビールのARコラボレーション

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アサヒビールは、商品の缶に記載されたコードを読み取るとARで乃木坂46のメンバーによる限定トークを楽しめるプロモーションや、缶に映し出されたAR世界で「パックマン」が楽しめる「DRY CRYSTAL × PAC-MAN」など、定期的にARを活用したコラボレーションを展開しています。「パックマン」はもちろん、乃木坂46のプロモーションにおいても読み取る缶の数に応じて登場するメンバーの数が変化し、20種類以上のトークがランダムに出現するなど、ゲーミフィケーション要素をうまく取り入れた事例のひとつです。

出典:
新感覚ARゲーム「DRY CRYSTAL × PAC-MAN」10月11日展開開始
告にXRを活用する7つのメリットとは?活用事例10選とともに解説– メタバース総研
『クリアアサヒ』『アサヒ ザ・リッチ』横断プロモーション「乃木坂46 おとな選抜 お家飲みを楽しもう!キャンペーン」9月20日より開始

3. 三越銀座店の「Virtual GINZA mitsukoshi」

三越銀座店は、三越伊勢丹グループのハウスエージェンシーやデジタルソリューション各社と連携し、銀座4丁目交差点に面した「銀座シャンデリア」をXR技術で拡張し、新たな広告メディアとして活用しています。専用アプリ「XR CHANNEL」を通じて、ARコンテンツ上に様々な形状のビジョンや電車が出現し、クライアント企業は仮想空間に広告を掲載することができます。この取り組みは、実際の街並みとデジタル広告を融合させた革新的な試みとして注目を集めました。

出典:
XRを活用した広告事業GINZA XR Mediaから新メニュー「Virtual GINZA mitsukoshi」をリリース

VR事例紹介

1. 日産自動車のVR試乗体験

日産自動車は、新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表会と試乗会をVR上で実施しました。この試乗会はソーシャルVRプラットフォームである「VRChat」で行われ、日本の四季を感じられる仮想ドライブコースで日産サクラを運転する試乗体験が可能。従来の試乗では欠かせなかった店舗への予約や訪問、書類手続き不要で、どこでもいつでも試乗体験ができる点もポイントです。現地でのオフライン体験が当たり前だった「試乗」をオンライン化した、革新的な事例であると言えます。

出展:
日産のVRワールド&イベント

2. BEAMSが手がけるVRワールド

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アパレルブランドのBEAMSは2024年5月、VRプラットフォーム「VRChat」にオリジナルワールド「トーキョームード」を公開しました。薄暗い高架下の街並みを再現し、BEAMSのショップや居酒屋などが並ぶ空間です。今後は、リアルクローズを着たアバターの集会やインフルエンサーを起用した一日店長イベントなどを企画しており、ユーザーとのコミュニティ形成を強化していく予定。BEAMSは以前から「バーチャルマーケット」への出展に精力的に取り組み、リアル店舗への送客にも成功しています。その経験を生かしつつ、さらなるXRの可能性に挑戦し続けるパイオニアであると言えます。

出展:
バーチャル空間に東京をイメージした 常設ワールド『TOKYO MOOD by BEAMS』がオープン!
ビームスが初の常設VRワールド 居酒屋や高架下がある理由とは?

XR拡張による新しいブランドコミュニケーションの可能性

これらの事例が示すように、XR拡張は単なる技術的なギミックではなく、ブランドと消費者をつなぐ新しいコミュニケーション手段として確立されつつあります。製品やサービスの魅力を視覚的に伝えるだけでなく、各社の工夫によるゲーミフィケーション要素や限定コンテンツの提供により、消費者の能動的な参加を促し、より深い製品理解やリピート購入、そしてブランドへの愛着を生み出しています。

今後は3DCGの開発環境とXRデバイスの進化に伴い、より高度で魅力的なXR広告体験の提供が可能になると予想されます。企業は、率先してこれらの技術を活用し、より創造的で効果的なマーケティング戦略を展開することで、消費者との関係構築において一歩リードできる可能性があります。
体験型マーケティングの新時代を切り開いていくXR拡張分野の進歩についても、定期的に情報収集するとよいでしょう。アマナもXR拡張に関するサービスを展開しておりますので、ご興味のあるご担当者様はぜひお気軽にご相談ください。

アマナのVR事例:
KDDI「Remote travel experience by 5G」
スマートフォンアプリ「TOKYO SKYTREE® PANORAMA GUIDE」
パナソニック「Eolia」おうちの空気のぞき見VR

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文:田中良

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テクノロジーの進化によりリアルとバーチャル世界の融合がますます進んでいます。 amanaXRはXRテクノロジーを活用してメタバースでの様々なコミュニケーション企画、 コンテンツ制作、アドバイザリー、プロデュースを行い、新たな体験価値を提供します。

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