伝わる!立体シズルの極意——具材の“存在感”が、おいしさを決める

伝わる!立体シズルの極意——具材の“存在感”が、おいしさを決める

シズルで企業の課題解決!シズルのすべてをお伝えするシズルチャンネル

シズル感は、ビジュアルコミュニケーションにおいて瞬時に心を掴む要素として不可欠です。これまでの記事でシズルの基礎を学んだ皆さんへ、今回はシズルディレクター兼フォトグラファーの大手仁志が、30年の経験を基に、より具体的なシズル撮影の技術について解説します。

これまでの記事
vol.1:シズルで企業の課題解決!シズルのすべてをお伝えするシズルチャンネル
vol.2:シズル撮影で瞬殺!ビジュアルで心をつかむプロの秘訣
vol.3:シズル感で魅力倍増!プロが教える撮影テクニック
vol.4:写真が語る“らしさ”とは――伝わるビジュアルをつくる、フォトディレクションの力
vol.5:どこまでOK? 優良誤認にならない“シズル表現”とは
vol.6:伝わる!麺シズルの極意——箸あげひとつで、おいしさは倍増する

シズルディレクター兼フォトグラファーの大手仁志

シズルディレクター兼フォトグラファー 大手仁志

vol.7:伝わる!立体シズルの極意——具材の“存在感”が、おいしさを決める

“おいしさ”は、具材の「存在感」で決まる

料理写真を見た瞬間に「食べたい」と感じる。
その一瞬を支えているのが、シズルです。シズル感はビジュアルコミュニケーションで“瞬時に心を掴む要素”として欠かせない——という前提は、前回のamana INSIGHTSのシズル解説でもお伝えしました。

今回のテーマは【立体感】
立体感は、派手な演出ではありません。むしろ逆で、食材それぞれの“状態”と“距離感”を整え、存在を正しく立ち上げることで、見る人の脳内に「味」や「食感」を想起させるテクニックです。


立体感とは何か

——「アイコン」から「シズル表現」へ

立体感を一言でいうなら、それぞれの具材が引き立つ状態を作ること。
写真の中で、食材がそれぞれの高さ・厚み・質感・光を持ち、重なり前後関係が成立していると、料理が“生きて”見えます。

たとえば中華丼。そのまま撮ると「丼の全体像」は理解できても、「とろみの濃度」「野菜のシャキシャキ感」「素材の色味」といった、それぞれの魅力が伝わりにくいことがあります。

ここで立体感が効いてきます。
具材が立ち上がり、光が当たり、影が落ち、艶が出る。
するとより、料理の味や香り、それぞれの魅力が伝わりやすくなります。

立体感をうまく活用してより魅力的なシズル感を表現しましょう。


Before/Afterで見る「立体感」

1.Before:整っているのに、食べたくならない

写真A(Before)「全体は伝わる。しかし、それぞれの魅力が足りない。」
・丼全体の表情はわかる
・ただし、具材がフラットなため具材の表情などが伝わりにくい
・結果、味や食感の想像が起こりにくく、魅力に欠ける

中華丼の写真A(Before)「全体は伝わる。しかし、それぞれの魅力が足りない。」

中華丼:写真A(Before)

2.After:具材が“それぞれ語り出す”

写真B(After)「具材の存在感を立たせるだけで、“一口目”が想像できる」
・具材に少し角度をつけることで、重なりを調整
・具材を調整することで、艶や素材の表情が表現され、料理全体の魅力へつながる
・食材それぞれの表情(硬そう/柔らかそう/色鮮やか)などがより伝わりやすくなる

中華丼の写真B(After)「具材の存在感を立たせるだけで、“一口目”が想像できる」

中華丼の写真B(After)

3.After(強):より伝わる立体感を表現するために

写真C(After 強)「さらに動きを加え、立体感を表現する」
・料理の盛り付けだけでは表現しきれない、立体感を、他の動き(箸あげ、レンゲあげ)などを加えて演出する
・盛り付けだけでは表現できなかった、餡のとろみなどのシズル感を感じる一枚に。

中華丼の写真C(After 強)「さらに動きを加え、立体感を表現する」

中華丼の写真C(After 強)

立体感をつくるテクニック

ここからは“やること”を具体的にします。

①表現するポイントを決める

中華丼ならおいしさを伝えるポイントはどこでしょう。
「魅力的な具材」なのか「野菜の色」なのか「とろみ」なのか。主役ポイントが決まると、盛り付けの優先順位が決まり、見る側の目線が迷子になりません。
・主役ポイント=中央よりの最も光を受ける位置に
・脇役ポイント=主役を邪魔しない位置で全体のバランスを整える

中華丼の盛り付け(具材別に用意)

中華丼を盛り付ける

今回はエビを主役に表現します。

②“立体感”は具材の角度で作る

立体感が出ない最大の原因は、具材が全部“寝る”ことです。特に葉ものなど立体感のない具材は平らになりやすいので、以下が効きます。
・具材を「積む」のではなく「立てかける」
・同じ具材が連続しないように、色と形を散らす
・状況によっては具材を支える詰め物などで補助する

③光は「影をつくる」ために使う

立体感はハイライトだけでなく、で成立します。影がないと、具材は平面に見えます。
・斜め後ろからの光で、具材の“自分の影”を作る
・影が強くなると強い印象になるので、必要ならレフで調整する
・背景に沈みそうな具材は、角度を調整して背景と分離させる

盛り付けに使うのは細身のつまようじ

細身のつま楊枝を使用します。

中華丼の具材を楊枝を使って立体的に盛り付ける 中華丼の具材を楊枝を使って立体的に盛り付ける

具材を楊枝で支えます。

④艶は「均一」にしない

とろみや照りはシズルの武器ですが、全部が同じ艶だと情報が単調になります。
・主役は艶を強め、脇役は控えめなハイライトにする
・ハイライトを意識すぎると全て同じ角度になるので角度が分散するように調整する
・料理の状況に合った艶を表現する(炒め・揚げ・焼き、すべて表現は異なります)

中華丼のあんを筆で追加しながら微妙なハイライトの入り方を調整する

中華丼のあんを筆で追加しながら微妙なハイライトの入り方を調整する

あんを筆で追加しながら微妙なハイライトの入り方を調整する

⑤ “切断面”と“曲面”を表現する

立体感で料理の特長を伝えます。
・直線的な切断面を多く表現すると素材の「シャキシャキ感」が表現できます
・きくらげ・お肉などは曲面でボリュームを出す
・にんじん等の彩りはバランスを考慮しレイアウトする

中華丼のお肉

フラットなお肉と曲面の多いお肉


立体感を壊すNG(よくある落とし穴)

・具材が同じ高さで並ぶ(=平面化)
・とろみで全体が均一(=情報が減る)
・ハイライトが一か所に偏る(=一部しかおいしく見えない)
・色が同じ場所に固まる(=視線が停滞する)


まとめ:立体感は“ひと手間”ではなく、“伝えるための設計”

今回のテーマ【立体感】は、おいしさ表現において土台になる要素です。
少し手間はかかりますが、立体感が整うと写真は「記録」から「食べたくなる」“そそるビジュアル”へ変わります。

シズルは偶然ではなく計算の積み重ね 。ぜひ次の撮影で、具材の“存在”を立ち上げるひと手間を。
——これが、シズルの極意です。

文・撮影:大手仁志 (アマナ) 


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