グラフィック撮影の現場で交わされている専門用語を知ると、今、フォトグラファーが何をしようとしているのかがわかり、より密度の濃い撮影現場になるはずです。今回はグラフィック撮影の現場で使われる専門用語の中でも、主に撮影現場だけで使われる耳慣れない6つの用語を集めてみました。前編とあわせてチェックしてみてください。
<前編の記事>
グラフィック撮影とは?現場で知っておきたい専門用語〈日常生活の中で耳にする意外な言葉〉
1)紗幕(しゃまく)
白くて薄い幕。紗幕を通すと光質が柔らかくなるため、人物撮影をするときに用いると顔に現れる影が弱くなる。女性を撮影するときに好んで使うカメラマンも多い。見た感じ普通の布だが、サイズも大きく、つなぎ目のないものは腰が引けるくらい値段が高い。
2)箱馬(はこうま)
サイコロの一種。15×30×45cmの木箱。人が乗る踏み台になることが多いので、馬という言葉が使われているらしい。また、「箱馬」ではなく「馬」と省略して呼んでいる人もいる。高い位置にカメラをセッティングする場合、三脚脇に箱馬を置いておくと「気がきくな!」褒められるので、試してみよう。
3)カポック
白色もしくは黒色の発砲スチロール製の板。被写体に光を当てるための反射板として使ったり、影を濃く出すために用いる。年季が入ったものは恐ろしくボロボロになっていて、補修の後も目立つ。すぐ割れるので、くれぐれも大切に扱おう。ちなみに、カポックの組み方が下手なアシスタントが師匠にイラつかれるというのがグラフィック撮影現場の定番風景である。
4)デコラ板(でこらばん)
つやつやの光沢がある板のこと。メラミン化粧板とも言う。映り込みがきれいな板で、その上に人が乗ったり、商品撮影のテーブル「撮影台」になったりする。ちなみに、デコラの由来はデコラティブラミネートで、住友ベークライトの商品名。発売第1号の納品先はキャバレーだったという。デコラ自体は2015年12月に生産終了してしまった。
5)レフ板(れふばん)
手持ちの反射板のこと。撮影時に被写体へ光を反射させ、影を弱めたり、特定の場所に光を当てたりできる。破損したカポックをカットして代用することもある。
6)バウンスボード
2枚の発砲スチロール製の板や木製の板を蝶番などで繋げて作る屏風のような形状のもの。時に重たい板で作られており、女性アシスタントが運ぶことに苦労するアイテムの1つ。Lパネルとも呼ばれ、反射材としても使用する。
普段耳慣れた用語から専門的な用語まで、グラフィック撮影のスタジオではさまざまな言葉が飛び交います。
こうした言葉に耳を傾けていただくと、フォトグラファーやスタッフが現場でどんな工夫をしようとしているのかわかり、グラフィック撮影の立ち合いがより密度の濃い時間になるのではないでしょうか。
これまで以上に、撮影現場を楽しんでいただけると幸いです。
スチル撮影
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広告写真を中心としたスチル撮影で、アマナは40年以上にわたる実績を誇ります。商品などの被写体を的確に写すだけでなく、被写体の持つ価値や使う人のライフスタイルといった、見えない世界をビジュアルに汲み取る表現を追求してきました。その長年培ってきたノウハウをベースに、さまざまな個性と感性を持つフォトグラファーが、お客様の思い描くイメージを写真に具現化します。