月間600万PV!読者を離さない魅力的なコンテンツはどう作る? コンテンツの質を高め、読者を獲得するコンテンツマーケティングに置いて、魅力的なオウンドメディアを運営するためには、どんな秘訣があるのかを「LIG」の編集長から学びます。
——講師は株式会社LIGの渋谷匡志さん。2014年LIGに入社後、編集・マーケティング業務を経て、2016年1月から月間600万PVを誇るLIGブログの編集長を担当されています。ズバリ、渋谷さんが考える「魅力的なコンテンツ」の条件とは?
渋谷「やはり一番大切なのは“分かりやすさ”だと思います。分かりにくいコンテンツは読者にストレスを与えます。タイトルやテーマがどんなに良くても、途中で離脱してしまうことも少なくありません」
——では、分かりやすいコンテンツを制作するために、具体的にどんなことが必要なのでしょうか? 記事を企画する際に押さえるべき4つの要素を教えてくれました。
渋谷 LIGブログではすべての記事で、“Target”(ペルソナ)、“What to say”(伝えたいこと)、“Benefit”(メリット)、“Reaction”(想定する読者の反応)の4つを突き詰めて考えるようにしています。
特に大切なのが“Target”(ペルソナ)です。ペルソナを設定する場合、勝手なイメージだけで設定してしまうと、それに引きずられてコンテンツも1人よがりな内容になりがちなので、実際にいる人や身近な友人・知人をモデルにするのがおすすめです。
LIGブログ編集部が、記事制作時に突き詰めている4つの要素
渋谷 例えば、LIGブログに『拝啓、歯医者さん。顔に当たるおっぱいはタオルだったのですか?』という記事があります。話題のツイートをまとめる『Togetter』で取り上げられた、「歯医者さんで顔に当たっていたのは実は胸に入ったタオルで、ショックだった‥」という内容のツイートを元ネタに真相を確かめるべく記事にしたものです。
このコンテンツでは、押さえるべき4つの要素を次のように整理しました。
●ターゲット(ペルソナ)=「Togetterで夢を見失った男子」
●伝えたいこと=「おっぱいはタオルじゃなかった」
●メリット=「歯医者さんのリアルな現実」
●想定する読者の反応=「希望は持てた。夢は守られた。ちょっと歯医者に行ってくる」
さらに、コンテンツ内では11人の歯医者さんからのコメントを紹介。結果的にPV数:76225、Facebookでも1117の“いいね!”を獲得することができました。
——なるほど。一見ニッチな内容の記事にも思えますが、実際のツイートを元にして具体的な1人のペルソナを設定することによって、読者にしっかり届き、大きな反響を得るコンテンツになったんですね!
——続いては”文章を分かりやすくするための基本”について。オウンドメディアでは企画時に押さえるべき4つの要素とあわせて、文章の正確さも非常に大切なようです。
渋谷 例えば、『彼女から上野の飲み屋の1週間前にお願いしていた原稿が届いた』という文章。”上野の飲み屋の”と”原稿”という語句が離れていて、意味が伝わりにくいですよね?
こうした文章の”ねじれ”は、文字数の多い情報や規模・事象の大きい情報を先に持ってくることで防げます。上の場合、『彼女から1週間前にお願いしていた上野の飲み屋の原稿が届いた』が正解です。正しい日本語はビジネスマナーと一緒で、分かりやすく情報を届けるうえで欠かせません。また、”です”、”ます”など同じ文末が続くと間延びした印象になり、何が言いたいのか分からない文章になりがちなので注意しましょう。
——読者に分かりやすく情報を届けるためには、他にはどんな点に気をつける必要があるのでしょうか?
渋谷 ブログなどで“(笑)”や“ハハッ”といった表現をよく見かけるのですが、これもできるだけ避けた方がいいと思います。コントや漫才で「笑ってください」と言われても笑えませんよね。文章は笑わせないこと。Webコンテンツでも読者は書き手が思っている以上に冷静です。
——分かりやすいコンテンツには、やはり正しい表現と適切なトーン&マナーが大事! これは文章だけでなく、写真やイラストについても言えることかもしれませんね。
——続いてのテーマは、記事の目的として大切な「コンバージョン」。コンバージョンを得る(=読者の心を動かす)ための2つのポイントは「信頼性」と「熱量」のようです。
渋谷 メディアとしての信頼性がなければ、読者は動きません。そして、信頼性を得るにはエビデンスが必要です。「○○さんがこう言った」という著名人のコメントなども効果的ですが、情報の裏を取ったり、ジャンルやテーマに特化した記事を長い期間配信し続けている実績もエビデンスになります。LIGブログの場合、Web制作がメインテーマです。
——たしかに、「広く浅く」のメディアより、専門性の高いメディアの方が信頼できますよね。もう1つの「熱量」とはどんなものなのでしょう? 渋谷さんはLIGブログのコンテンツを例に説明してくれました。
渋谷 LIGブログに、『【基礎学習でどこまで変わる?】3時間の一眼レフ写真講座を受けて撮り比べてみた』というコンテンツがあります。『Udemy』というオンライン学習プラットフォームの写真講座のPR記事なのですが、200件以上のコンバージョンを獲得し、クライアントからも高い評価を頂きました。
このコンテンツは、カメラの使い方に悩んでいた弊社の担当者が、約3時間の講座を実際に受講して作成しました。受講後には食べ物や風景の撮影を行い、受講前の写真とあわせてBefore/Afterとして紹介。また、受講中の講師とのやりとりもキャプチャで紹介しています。
担当者は大変だったと思いますが、ここまで手間をかけて作成することによってコンテンツの”熱量”が生まれ、読者の心を動かします。実際に体験して書くからこそ、”嘘がない”コンテンツにもなるんです。
——他にも、判断はユーザーに委ねる、悪いサービスは紹介しない、などといった点もポイントのようです。
ユーザーとの信頼関係を築くために必要なポイント
この後、セミナーはアマナビ(アマナグループ)代表取締役社長 児玉の講座を経て、ワークショップが行なわれました。そこでも渋谷さんが強調していたのが、”ペルソナを広げすぎない”こと。最初にペルソナを広げ過ぎてしまうと、コンテンツも内容の薄いものになりやすいようです。
オウンドメディアを見る人を惹きつけるためには、やみくもに読者層を広げようとせず、具体的な1人に絞ることが第一歩なんですね。この記事も、オウンドメディア運営に悩む担当者に届きますように!
LIGブログ編集長から学ぶ! 唯一無二のオウンドメディアの育て方