大胆不敵なコンテンツマーケティングで成功した3ブランドから学べること

Lorado

先週コロラド州ベイルで開催されたDigidayのコンテンツマーケティングサミットでは、数十社ものブランドが集まり、課題・トレンド・ベストプラクティスについて意見を交わしました。その中で話題になったのは、予算の縮小、エグゼクティブからのサポート獲得、コンテンツ作成の規模を拡大する方法、ROIの測定についてのトピックでした。しかしそれよりも注目を集めたのは、コンテンツマーケティングによってすべての雑音をはねのけながらエキサイティングで革新的な方法を見つけ、課題を乗り越えてきた大胆不敵なブランドの事例でした。

とくに素晴らしかったのは、Merriam-Webster、Reebok、Shinestyの3ブランドです。これらのブランドが大切にしていることは、消費者を感動させるような、真正で文化的に関連性が高い瞬間を作り出すことです。この記事では、彼らの理論と取り組みについて紹介します。

 

Merriam-Webster: リアルタイムマーケティングを再定義する

Merriam-Websterは1831年に設立された歴史あるブランドですが、だからといって、この言語情報プロバイダーが新鮮で実用的なマーケティングの視点を欠いているわけではありません。デジタル最高責任者兼パブリッシャーのLisa Schneider氏は、リアルタイムのイベントを活用してオーガニックマーケティングを行うために、Oreoを真似する必要はないと出席者に注意を促しました。

人々が言語への理解を深めて上手く使用できるようにするというミッションを持ったMerriam-Websterは、好奇心を無知だと判断してはならないと強く主張しています。Schneider氏のチームは、通常よりも検索率が高い用語(つまりイベントに紐づけられた用語)に関する独自のデータをマイニングしています。そして、それらの用語の意味と一般的な用法に関する新たな文脈を紹介し、トレンドを強調する記事を公開しています。

このような「トレンドウォッチ」記事は、決して真新しいマーケティング戦術ではありません。Merriam-Websterは、ニュース、有名人、スポーツ、イベントに紐づけられた用語検索を150年以上にわたって記録してきました。同社が記事の公開頻度を週1回から1日1回以上に上げ、過去のイベントではなく、リアルタイムで文化的に関連性の高い用語を紹介し始めると、このセグメントに対する人気が急上昇したのです。

たとえば、最後のアメリカ大統領選討論会で「ombre」という用語の検索が急増したとき、Merriam-Websterチームはすぐにトランプ氏が何を言いたかったのかを説明しました。

 

 

彼らは、大統領選挙を通して話題をさらい続けました。そして、何千人もの人々が、候補者が言いたいことを理解するために、Merriam-Websterのツイッターアカウントを閲覧しました。それ以来、Merriam-Websterのフォロワー数は数千人規模で増加し、自社サイトで驚くべき量のトラフィックを獲得しています。

 

 

では、他のブランドは彼らの手法をどのように取り入れればいいのでしょうか?Schneider氏は、Merriam-WebsterのTwitterも面白いが、Merriam-Webster のSlackはもっと面白いとジョークを飛ばしました。同社がソーシャルメディアで多くの成功を収めた理由は、「覆い隠していたカーテンを開け、Merriam-Websterの辞書編集者がどういった人々であるかを公開した」からだと言います。

世間の反応は圧倒的に肯定的であり、Merriam-Websterはそれを実証する形でソーシャルエンゲージメントとオーガニックメディアリーチを獲得しました。中には辞書メーカーの揶揄するような投稿を批判する人もいますが、Schneider氏は、自身のチームはトレンドを報告しているだけだと繰り返し述べています。「興味深いトレンドがあるから、コンテンツを公開しているだけです。公開していないときは、用語を選択している真っ最中です」。

 

コンテンツマーケティングとソーシャルメディアを成功へ導くために、Schneider氏からのヒントをいくつか紹介します。

  • 自社のデータに目を向けましょう。オーディエンスに提供できる興味深いインサイトは何ですか?
  • ブランドのミッションを忠実に守りましょう。行き過ぎて恥ずかしい思いをしないように、事実のみにこだわりましょう。
  • 分析、コンテンツ開発、ソーシャルメディア、PRなど、すべてのマーケティングエコシステムを活用しましょう。すべてのマーケティング機能の足並みが揃っていれば、より素晴らしい結果を達成できるでしょう。
  • 全体的な戦略をサポートしましょう。たんに刺激を求めてツイートすることはやめましょう。ソーシャルメディアを通じて達成したいマーケティング目標は何ですか?

 

Reebok: 激論を引き起こす恐れがある問題をあえて取り上げる

2014年に行われたReebokのリブランディングで、変わったのはロゴだけではありませんでした。同社は、勝利の裏に隠された苦労・挫折・ストーリーを讃える「Be More Human」というまったく新しい理念と、それを実現するために機敏性の高いチーム構造を発表したのです。

Reebokは同社のニュースルーム内で、ソーシャルメディアチーム、PRチーム、コンテンツチームのサイロを破壊し、単一で協調的な組織を構築しました。シニアグローバルコンテンツマネージャーであるBlair Hammond氏が率いるチームは、ホワイトボード、Slack、ペン、紙を使った「binge thinking(あるトピックに関してひたすら考え続ける)」セッションを週に3回実施しています。

その目標は、「自社のメッセージを押し売りするのではなく、消費者を自社のエコシステムに導く」コンテンツによって、文化的な瞬間を有意義に捉えることです。

そこにはタイムリーな問題を取り上げることも含まれていました。Reebokは女性を重視したブランドであり、1980年代に世界で初めて女性のためのフィットネスシューズを発売したブランドです。しかし、多くの企業と同様に、彼らは政治的な会話を避けてきました。

しかし昨年11月、Hammond氏のチームはReebokの高性能な技術が詰まった生地を紹介するためのスマートな方法を見つけました。Hillary Clintonの第3回大統領選討論会の衣装として、スポーティーなアスレジャー風パンツスーツを勝手にデザインし、そのスケッチを発表したのです。このスケッチは、AllureやHarper’s Bazaarといった大手ファッション雑誌に取り上げられました。

 

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今年の初め、マサチューセッツを拠点とする同社は、Donald Trump大統領によるJeff Sessions上院議員の司法長官への指名承認をめぐり、Sessions氏を批判しようとしたElizabeth Warren州上院議員がMitch McConnell上院委内総務に発言を制止され、審議から排除されたときに、さらに強い立場を取りました。

ソーシャルメディア上でWarren議員を支持する人が急増したことに着目したHammond氏のチームは、自社のコア消費者に働きかけるチャンスを見逃しませんでした。彼らは「Nevertheless She Persisted(にもかかわらず、彼女は主張し続けた)」Tシャツを制作し始めました。72時間後、何十ものスケッチや何百通もの電子メールが寄せられ、Reebokのウェブサイトに新製品が登場しました。Tシャツが1枚売れるごとに20ドルがウィメンズ・マーチ(女性蔑視的な発言をしたDonald Trump大統領の就任に抗議するために世界各地で行われたデモ)に寄付されました。

 

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Tシャツは1日で完売しましたが、彼らの活動はそれだけに留まりませんでした。Hammond氏のチームは、Reebokの見解(Reebokが行動を起こした理由、寄付の理由、寄付先)を説明する一連のストーリーを作成したのです。こうした活動によって、Reebokのウェブサイトには25,000人以上の新規訪問者が訪れました。

Hammond氏は、自社の消費者について理解し、自分たちの立場を公言することを恐れてはならないと最大のアドバイスを送っています。

 

Shinesty: 風変わりなコンテンツ

Shinestyの共同創立者兼CMOであるJens Nicolaysen氏は、(どんな市場でも)ある時点で購入する準備ができている消費者はたった3%しかいないという事実を常に念頭に置いていると言います。世界でもっとも尖った服のコレクションを販売しているブランド・Shinestyに、その事実を当てはめてみましょう。

彼のチームは、オーディエンスに押し売りするのではなく、オーディエンスを楽しませることが大好きです。ただし、コンテンツがどれほど自由奔放になっても、企業の目標は依然として売上を伸ばすこと。Shinestyのメッセージの多くで製品が登場しますが、Nicolaysen氏は、同社の成長は人々にクーポンを押し付けるのではなく、常識にとらわれないものに起因すると説明しています。

 

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とは言え、「足用コンドーム」(つまり、パーティー用の靴下)などは、毎日着用するアイテムではないはずです。では、ノベルティブランドはどのようにして一年中関連性を保っているでしょうか?

重要なのは、消費者をエンゲージさせ続けるだけでなく、高価値なコンテンツを通じて、かけがえのない体験を生み出すことです。Shinestyにとって、自社のトーンとブランドボイスは、急速に変化する他のイノベーターとのカニバリゼーションを防ぐ大きな差別化ポイントです。

「人が生み出す感情をコピーするのは難しいことです」とNicolaysen氏は言います。「誰からも怒られないブランドは、無難なブランドで終わります。無難なブランドはいつか絶えるでしょう」。

Nicolaysen氏によると、ブランドの90%が消費者に同じことを同じように話しているそうです。Shinestyは、オーディエンスのセグメントが偏るというリスクを冒していますが、彼らにとって最悪のシナリオは無難なブランドで終わること。価格競争で負けたとしても、彼らとってのリスクは価値があるかないかということです。

Shinestyは、MTVを含め、注目を集める方法を理解しています。彼らは、新しい顧客を獲得するために、6部構成の「ドキュメンタリーコメディ」である「Teen Mom(10代で妊娠した女性を追うリアリティ番組)」を放送しています。それを見れば、Shinestyが注文確認や追跡テキスト、そしてパッケージ内の手書きメモに至るまで、すべてにおいて個性を貫いていることがわかるでしょう。

 

最後にNicolaysen氏のブランドから学べるヒントを紹介します。

  • 意見を持つことを恐れず、すべてに対してA/Bテストを実施しましょう。「デジタルマーケティング担当者には、比較的影響が少ない形でリスクを取るために必要なすべてのツールが備わっているはずです」。
  • しかし、エンゲージメントだけでは十分とは言えません。フルセールスファネルに目を向けましょう。「何かを試したのに売上が伸びないならば、私なら止めてしまうでしょう」。

 

Jaisy De La Cruzは、NewsCredのエンタープライズB2Cセールス担当のディレクターです。

 

元記事「How Fearless Content Marketing Pays off for Reebok, Merriam-Webster + Shinesty」は2017年8月23日にInsights.newscred.comに掲載されました。

 

この記事はNewsCred BlogのJaisy De La Cruzが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

 

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