デザイナー×エンジニア×ビジネス – SOMPOが描く次世代の保険サービス開発

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SOMPOホールディングスでは、2016年にSOMPO Digital Lab(デジタル戦略部)を立ち上げました。グループ全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現すべく、事業の効率化やデジタル技術を活用した新たな顧客接点の構築を進めています。SOMPO Digital Labの中には、デザイナーとエンジニアで構成される内製開発組織「SOMPO Sprintチーム」があり、ビジネス部門の担当者と一体となってアジャイル開発手法を用い、新たな顧客体験価値を創出するプロダクト開発に取り組んでいます。今回はSOMPO Sprintチームのメンバーに、チームの特徴や具体的な取り組み、今後の展望についてアマナの山根尭、杉山諒がお話を伺いました。

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SOMPOホールディングス株式会社 SOMPO Digital Lab課長 細 慎(ほそまこと)さん

損保社にて自動車保険の商品企画とIT/システム部門での大規模システム開発のPM等の経験を積みSOMPO Digital Labに異動、SOMPO Sprintチームを立ち上げた。チームのバリュー発揮と規模拡大に向けた内外課題に奮闘中。

「SOMPO Sprintチーム」とはなにか?

―まずはSOMPOホールディングスにおけるSOMPO Sprintチームの立ち位置や特徴を教えてください。

細慎さん(以下、細。敬称略):私たちの強みは、同じ社内にいるデザイナー、エンジニアがビジネス部門と一体となってプロジェクトを進められる点です。デザイナーとエンジニアが社内にいることで、顧客視点に立ったサービス設計とスピーディーな開発が可能になりました。

また、アジャイル開発手法を取り入れ、1~2週間単位のスプリントで開発を進めています。金融機関として求められる品質を担保しながら、スピード感のある開発を実現しています。

―2016年にデジタル戦略部が発足したそうですが、当時から現在の体制だったのでしょうか。

細:デジタル戦略部がスタートした当時は、現在の組織体制とは異なっていました。社内にいたのはビジネスドメインの知識のあるメンバーだけで、サービス・プロダクトを作れる手を動かせる職種のメンバーはおらず、外部の企業と組んでPoC(Proof of Concept)を進める体制でした。また、デジタル戦略といっても、最初は主に業務効率化にフォーカスしていました。

当時はデザイナーというような肩書きのスタッフは社内にいませんでしたし、グループ会社の中に基幹システムの開発・運用保守を担うエンジニアはいましたが、新たなアイディアをクイックに形にしてプロトタイプを作成するようなアジャイル開発を推進できる体制でもありませんでした。

その体制で2年ほど進めていたのですが、外部パートナーと組むことでスピード感が上がりにくい、コストがかかる、知見が内部に蓄積されないという課題を解消するために、内製化チームを立ち上げたという経緯があります。

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株式会社アマナ 上:山根 尭 クリエイティブサイエンティスト/下:杉山 諒 プロジェクトデザイナー

―SOMPOグループのような保険を取り扱う企業において、デザイナーやエンジニアを採用する上でのポイントは何になるのでしょう?

細:デジタルサービスやプロダクトを作る上でのデザインやエンジニアリングに特化した専門知識が必要なのは当然ですが、それだけでは顧客が真に求めるサービス・プロダクトは作れません。事業会社においてはビジネス課題の多くはビジネス部門が把握しているため、そのメンバーと適切なコミュニケーションをとりながら本質にいかに辿り着けるか、その上で専門領域のスキルをそれに掛け合わせて価値を発揮できる人材かを見分けられるかがポイントだと思っています。

デザイナー・エンジニアは何をするのか?

―デザイナーやエンジニアとしてSOMPO Digital Labに加わった方は、ここでどのような仕事を担うイメージを持たれて転職されたのでしょう?

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SOMPOホールディングス株式会社 SOMPO Digital Lab サービスデザイナー 渡邉大純(わたなべひろすみ)さん

グラフィックやWeb、デジタルプロダクトのデザインから、デザインスクール運営、人材マッチング事業、コーポレートマネジメントなど幅広く経験。個人では国家資格キャリアコンサルタントやデザインメンターとしても活動中。

渡邉大純さん(以下、渡邉):前職ではビジュアルやプロダクトのデザインを手がける仕事をしていた時期が長かったのですが、SOMPO Digital Labではコンサルのような動きもできることに面白さを感じました。サービスデザインとプロダクトデザインの両方に携われますし、顧客課題の発見からUI設計まで一貫して関われるので、単なるデザイン業務の枠を超えてデザイナーとしての力を存分に発揮できることが魅力ですね。

自分の業務はビジュアルデザインをつくるというより、サービスをデザインするプランニングの役割が大きいです。ユーザーの課題を発掘するところから入り、打ち手を考えて具体的な形にしていくような進め方です。プロジェクトの特性やフェーズにもよりますが、抽象度の高い上流工程を担うサービスデザイナーと、情報設計以降の具体的なUIデザインを担うプロダクトデザイナーがペアでアサインされることが多いです。

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SOMPOホールディングス株式会社 SOMPO Digital Lab リードエンジニア 阪倫嘉(さかともひろ)さん

前職の株式会社ワークスアプリケーションズでは、EC部門の製品開発マネージャーとしてパッケージのバージョンアップや刷新プロジェクトなどを担う。2019年4月に株式会社SOMPOホールディングスに転職し、エンジニア統括として様々なプロダクトを開発しつつ、内製開発チームの組織拡大を担っている。

阪倫嘉さん(以下、阪)幅広く関われるという意味では渡邉と同じです。フロントエンジニア、バックエンジニアといったような特化した役割ではなく、事業全体に関わる仕事をしたかったという思いがありました。細分化した業務ではなくスタートアップ的に様々な関わり方ができ、かつ最終的にサービスを世に出せることが魅力です。

これまでに手がけたプロジェクト

―具体的にどのようなプロジェクトに取り組まれたのでしょうか。

コロナ禍の影響で、コールセンターの週末の対応を縮小したという過去がありました。当然、土日に利用したいお客さまは困るわけですよね。日曜日に車を購入して保険の契約内容を変更したい場合どうしたらよいのかと。対応として電話をかけるとWebサイトを案内し、オンラインでサービスを提供するシステムを導入する案件を手がけました。クラウドのインフラ環境の用意からフォーム作成、テスト、リリースまで3週間ほどでスピード感をもって進められた案件です。

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電話やWebサイトにアクセスする顧客をオンラインで対応するカスタマーセンターの概要。約3週間で実装することに成功。

細:他には代理店向けのサービスになりますが、これまでPCで使用することを前提としたものをスマホでも活用可能にした「モバイル!SOMPO」というアプリをリリースしました。代理店がいつでもどこでも質の高いサービスをお客さまに提供できることを目指したものです。LINEを活用して代理店とお客さまがチャットでやりとりできるサービスを追加するなど、アップデートし続けています。

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アプリ「モバイル!SOMPO」利用イメージ。ユーザーが代理店とLINEを介したコミュニケーションできる機能を実現した。

アジャイル開発の実践と人材育成

―他部署や代理店といった複数の部署の連携が必要になると思いますが、アジャイルに進める体制構築に向けて重要なポイントは何でしょう。

渡邉:ステークホルダーが増えるほど意見も多くなり合意形成が難しくなるため、まずは小さくチームを作って検証し、その結果を踏まえて次の改善に繋げていくというアプローチが大切だと思います。また社内向けツールの場合、頻繁に改善を繰り返すことで現場の運用ルールが変わることもありますが、それを嫌がるというより、また一歩いいサービスに近づきましたね、と捉える文化にしていければ、と思います。

―グループ全体の人材育成やチーム運営に関して何か取り組まれていることはありますか?

細:グループ全体のデジタル人材育成プログラムの一環として、アジャイルマインド/アジャイル開発やデザインの研修を当チームメンバーが社内講師として担当しています。これにより、グループ全体のデジタルリテラシーの底上げと、私たちの活動への理解促進を図っています。

また、グループ内で複数のプロジェクトを担当するうちに「ユーザーの真のペインは何だったのか課題の本質が理解できた」「ユーザーにとって使い勝手のいいサービスが提供できた」「従来よりも低コスト・高スピードでプロダクトがリリースできた」といったビジネス部門にとっても意義のある実績を積み重ねてきました。実績をさらに積み重ね、グループ全体のデジタル戦略・施策に関わり、最終的には顧客体験価値を最大化できるエキスパート集団を目指していきたいです。

今後の展望と進行中のプロジェクト

―今後予定されている新たなプロジェクトやサービスがあれば教えてください。

細:現在は「SJ-R」という大規模プロジェクトにも取り組んでいます。これは損保ジャパン社全体の業務改革を目的としたもので、お客さま向けのサービスから社内業務まで幅広い領域を対象としています。デジタルによる業務改善とサービス向上の両面からアプローチしており、2025年度以降に順次公開を目指しています。

グループ全体のDXを加速させ、お客さまが満足するサービス・プロダクトを世に出すことが私たちのミッションなので、保険だけでなく、ヘルスケアや介護など、グループ内の様々な事業領域でデジタル技術を活用した社会課題解決に取り組んでいきたいと思います。

取材・文:桑原勲
取材撮影:大久保歩(アマナ)

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