生成AIが広げるビジュアルコミュニケーションの可能性

生成AIが広げるビジュアルコミュニケーションの可能性

可視化の民主化

コミュニケーション活動においてビジュアルの有用性は理解しつつも、描画スキルの有無や、良い写真を選ぶセンスがないなど、ビジュアル活用にハードルを感じている方も多いのではないでしょうか?

生成AIの登場により、ビジュアルコミュニケーションの可能性が大きく広がろうとしています。

描画スキルの有無に関わらず、誰もが思い描いたイメージを具現化できる。アイデアの試行錯誤を素早く繰り返せる。多様なビジュアルの選択肢をその場で生成できる。今まさに、可視化が民主化された瞬間と言っても過言ではありません。

本稿では、生成AIによって広がるビジュアル思考の可能性を探ります。AIをどのように活用すれば、私たちの思考や表現をより効果的に拡張できるのか。 ビジュアルがもたらす基本的な価値を頼りに、その可能性を考えていきましょう。

 

ビジュアルがもたらす基本的価値

生成AIは、私たちの思考やコミュニケーションを視覚的に拡張し、より深い洞察や新しい発想を可能にします。以下に、生成AIが提供する具体的なビジュアルの価値を整理しました。

可視化の民主化.jpg

1.気づきを生む

・情報を視覚化することで、言葉だけでは見えなかった関係性やパターンが浮かび上がる
・漠然としていた課題を視覚化することで、新たな課題が見える

2.コミュニケーションの土台作り

・異なる専門性や経験を持つメンバーが、同じビジョンを見ながら対話できる
・誤解や解釈の違いを早期に発見し、修正できる

3.妄想を飛躍させる

・イメージの連鎖が次々と新しいアイデアを生み出す
・直感的なひらめきを誘発させる

4.内容を捉え整理する

・複雑な情報や関係性を、理解しやすい形に構造化できる
・抜け漏れや重複が見つけやすくなる

5.直感的に伝わる

・感情や雰囲気も含めた総合的な理解が可能になる
・言語や文化の壁を超えたコミュニケーションが可能になる

6.共通認識を作る

・チーム全体で同じビジョンや目標を持つことができる
・意思決定の基準や根拠が視覚的に共有される

 

ビジュアルコミュ二ケーションの拡張

アイデアをその場で可視化する、ビジュアルレコーディングの可能性

一つ事例をご紹介します。新たなアイデアを考えるワークショップの最中に、グループメンバーで作ったコンセプトをその場で可視化したことで、共通認識が生まれ議論が深まりました。

Concept :
私たちの暮らす都市は、健康的なライフスタイルを育む場へと進化しています。この「Vivid Wellness City」のビジョンは、都市空間に遊び心とテクノロジーを融合させ、日常の中で自然と健康づくりができる環境を提案しています。都市の遊び場には、子どもから大人まで思わず体を動かしたくなるような仕掛けが散りばめられ、住まいにはスマートな健康管理システムが組み込まれています。健康的な生活は特別な場所や時間を必要とするものではなく、都市での日常そのものに織り込まれるべきだ。

このビジョンを形にする過程で、私たちはAIを活用したビジュアルレコーディングという手法によって、新しい可能性を見出すことができました。

VividWellnessCity.jpg

生成AIは、ビジュアルコミュニケーションの可能性を劇的に拡大しています。特に「速さ」「多様性」「アクセシビリティ」の3つの観点で、これまでにない表現や発想の自由を提供します。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

【速さ】リアルタイムの可視化による思考の加速
・アイデアや概念を思いついた瞬間に形にできる
・議論の内容をリアルタイムで図解化できる
・その場で修正や展開を繰り返せる

【多様性】多様な表現による発想の広がり
・一つの概念に対して複数の視覚表現を同時に生成
・異なる視点や文脈での表現を簡単に試せる
・予想外の組み合わせやパターンから新しい気づきを得られる

【アクセシビリティ】スキルの解放による可視化の民主化
・描画スキルに関係なく、誰もが思い描いたイメージを形にできる
・複雑な情報も直感的に図解化できる
・チーム全員が等しくビジュアル思考に参加できる

このように、生成AIはビジュアルコミュニケーションにおける「速さ」「多様性」「アクセシビリティ」を大きく拡張し、より豊かな思考と創造性の可能性を広げています。

ただし、これはあくまでもツールとしての拡張であり、人間の創造性や判断力が基盤となることは変わりません。

生成AIの特性を理解し、人間ならではの直感や創造力と組み合わせることで、より効果的なビジュアルコミュニケーションが実現できるのです。

文・ビジュアル:堀口高士(アマナ/EVOKE)

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