ヨコオ|「伝統と革新」をひとつの世界観に──新VIを体現する会社紹介動画とコーポレートサイト トップページ改修

ヨコオ|「伝統と革新」をひとつの世界観に──新VIを体現する会社紹介動画とコーポレートサイト トップページ改修

100年を超えても、ヨコオは変わり続ける。

創業100周年を機にブランドコミュニケーションの再設計に取り組んだヨコオ。多角化する事業を横断し、「ヨコオらしさ」を一貫したブランドとして伝えることが課題となっていました。

その解決策として取り組んだのが、 ヨコオとして大切にしているパーパス、ビジョン、バリューを軸にした、会社紹介映像とコーポレートサイト トップページ(以下、TOP)の表現構築です。 VIはその思想を表現する手段として活用し、「伝統と革新」を象徴する「フューチャーライン」を起点に、映像とWebを横断したブランド表現をアマナとの共創によって実現しました。

多様な事業を展開するBtoB企業が、ブランドの共通言語をいかに構築したのか。SCI本部広報部の松本英之さんと國井智英理さんに、その共創プロセスを伺いました。

インタビューダイジェスト動画もご覧ください。

1.会社紹介動画を刷新した背景

事業の多様性を束ねた、ブランドの共通言語

――今回のプロジェクトでのご担当範囲と取り組みの概要を教えてください。

松本英之さん(以下、松本。敬称略):今回のプロジェクトでは、会社紹介動画の制作およびTOP改修において、全体の企画・設計と社内調整における意思決定を統括しました。本取り組みの核心は、パーパス・ビジョン・バリューやスローガン、そして新たなVI(ビジュアル・アイデンティティ)で定義された「ヨコオらしさ」を、映像とWebという具体的なアウトプットを通じて可視化することにあります。これは単なる会社紹介の刷新にとどまりません。社内外に対して「今のヨコオ」を正しく、かつ分かりやすく届けるための、ブランドコミュニケーションの起点として位置づけています。

國井智英理さん(以下、國井。敬称略):本プロジェクトの実務担当として、企画設計やスケジュール管理、社内関係者およびアマナさんとの調整など、プロジェクト全体の推進を担いました。当社の新たなVIやブランドメッセージをいかにして映像とWebという形に昇華させるか。細部の表現から全体の構成に至るまで、一つひとつを具体化していくプロセスを大切にしました。

松本英之|Hideyuki Matsumoto 株式会社ヨコオ SCI本部 広報部 次長。

松本英之|Hideyuki Matsumoto
株式会社ヨコオ SCI本部 広報部 次長。2022年の創業100周年を機に策定した企業理念体系(パーパス・ビジョン・バリュー)、およびヨコオ初のブランドスローガン「幸せを、進化させる。」とVIの導入・浸透を主導。社内外に向けたブランドコミュニケーション全体の企画・設計を担い、「ヨコオらしさ」を一貫した形で国内外へ発信している。

――会社紹介動画を刷新しようと思ったきっかけと、当時の社内課題を教えてください。

松本:当社は、複数の市場・製品・顧客に対し多角的に展開する「重層化経営」※を軸としています。一つの事業が不調でも他がカバーし合うこの強みがある一方で、各事業が個別に発信を続けた結果、会社全体の姿が見えにくいという課題がありました。

そこでまずは、社員の共通言語となるパーパス、ビジョン、バリュ―とブランドスローガン「幸せを、進化させる。」を策定。さらにVIの刷新を通じて、当社のアイデンティティを可視化しました。伝統を語るトラディショナルブルー、革新を示すイノベーションレッド、そして未来への意志を象徴するフューチャーライン。これらは単なるデザインではなく、私たちの思想を視覚的に表現したものです。

言葉とビジュアルの軸が整ったことで、次なる一手として会社紹介映像の制作を決定しました。VI刷新と並行して取り組めたことで、単なるツール制作を超え、ヨコオの「軸」そのものをどう表現するかという本質に踏み込むことができたのです。それこそが、本プロジェクトの大きな意義だったと感じています。

※重層化経営:ヨコオが提唱する独自の経営方針。一般的な「選択と集中」とは対照的に、複数の市場・技術・サプライチェーンにおいて、多方面に展開することで事業間の相互補完を図り、リスクを分散しながら柔軟で強靭な経営基盤を構築する手法。

――動画の想定シーンとターゲット、最も伝えたい価値を教えてください。

國井:まだ当社を詳しく知らない方々が「興味を持つきっかけ」となる映像を目指しました。戦略的に二つの役割を持たせ、SNSやCM用の「30秒ショート版」では直感的な興味喚起を、商談や採用に用いる「5分ロング版」では事業内容や将来像への深い理解促進を担う設計としています。

最も大切にしたのは、「幸せを、進化させる。」という思想を映像として描き出すことです。情報を羅列するのではなく、視聴した瞬間にヨコオへの好印象が生まれ、そこから深い共感へとつながる体験を目指しました。

國井智英理|Chieri Kunii 株式会社ヨコオ SCI本部 広報部 係長。

國井智英理|Chieri Kunii
株式会社ヨコオ SCI本部 広報部 係長。社内外への情報発信を担当し、社内報の立ち上げを実施。その他、会社紹介動画やコーポレートサイト、幅広い広報施策の企画・制作に携わる。2025年に実施した新ビジュアル・アイデンティティ(VI)の展開では、動画やWebを通じたブランド発信を推進。今回のプロジェクトでは、制作会社との連携を通じて、ヨコオらしい世界観づくりに取り組んだ。

2.パートナー選定と合意形成のプロセス

「進化、しなやか。」──ヨコオの本質を捉えたコンセプトが決め手に

――パートナーの選定にあたって基準とされた観点と、その中でアマナの提案が採用に至った決め手を教えてください。

國井:パートナー選定では「制作体制の安心感」「VIの活用力」「ヨコオらしさの表現」の3点を評価のポイントとしました。アマナさんは制作チーム一丸となって対話に臨む姿勢に信頼感があり、Webやグラフィックまでワンストップで任せられる領域の広さも決め手となりました。

特に印象的だったのは、ご提案いただいた「進化、しなやか。」というコンセプトです。他社が技術の力強さを前面に出すなか、アマナさんは新VIの光を用いた明るく柔らかな表現を提示されました。「しなやか」という言葉は、100年の歴史を持つヨコオではかつて使われたことがありません。しかし、芯の強さを持ちつつ変化し続けてきた当社の本質を鮮やかに捉えた言葉でした。

一方で、ヨコオにとって「技術や現場」は変わらず重要な要素です。そのため、新しい感性を取り入れつつも、私たちが大切にしている泥臭さやリアリティを失わないよう、制作過程では両立した表現について共に検討を重ねていきました。伝統と革新のバランスを突き詰めたこの提案は、ブラッシュアップを重ねることで最適解へ到達できる道筋が見えたものでした。そこに確信を持てたことが、最終的な決断に至った理由です。

アマナによる提案書より|ビジュアルコンセプト「進化、しなやか。」

アマナによる提案書より|ビジュアルコンセプト「進化、しなやか。」

――関係者の構成と合意形成のプロセス、要件・コンセプトの整理方法、そして最終決定の判断軸について教えてください。

松本:私は2019年から企業理念体系(パーパス・ビジョン・バリュー)やVIの策定に携わってきたこともあり、社内からある一定の信頼を得た状態でプロジェクトを進めることができました。背景には、ヨコオ独自の成り立ちがあります。これまでは特定顧客の要望に応え技術を磨くことで成長してきたため、外に向けて「自分たちをどう表現するか」を問い、判断する文化が社内に十分には醸成されていませんでした。

そこで今回の意思決定の拠り所としたのが、すでに定義していたパーパス・ビジョン・バリューやVIという「軸」です。「この表現はヨコオらしいか」「この判断はパーパスに立ち返れているか」。個人の主観ではなく、理念に照らして一貫性を問い続けながら判断を下しました。合意形成とは、誰かを説得することではなく、共通の指標をもとに全員が本質を理解し納得するプロセスです。そうした「腹落ち」の積み重ねが、プロジェクトを推進する力になりました。

3.工場撮影とライティングに込めた、VIを体現する表現設計

現場のリアリティと光・ラインが生み出すビジュアル言語

――新VI「フューチャーライン」を映像・Webに展開する際、こだわったことや実現したかった印象は何ですか? また、「ヨコオらしさ」を表現するうえで大切にした軸があれば教えてください。

松本:新VIを具体的な形に落とし込む際に最も注力したのは、「本当のヨコオらしさが伝わること」です。当社は洗練されたスマートな企業というより、技術者が泥臭く挑戦を続け、愚直に歴史を積み重ねてきた会社です。そのため、表面的な整った印象だけを追うのではなく、「人と技術の会社」であることをありのままに表現することを優先しました。実際の現場や社員をできる限りそのまま映し出し、作り込みすぎない画の強さと説得力を追求しています。

もう一つの軸が、多様性です。事業も国籍も異なる人々が支え合う姿こそ当社の日常であり、一人のスターではなく、多様な人材のつながりが自然に伝わる表現を意識しました。トラディショナルブルー、イノベーションレッド、フューチャーライン。新VIが体現する思想を、映像からWebのトーンまで一貫して響かせることが、今回の表現設計における最大のテーマでした。

――印象的な演出を採用した際の期待と、その世界観をWebデザインに広げることで目指したブランド体験を教えてください。

國井:VIで定義されたコーポレートカラーや「フューチャーライン」を光や構図として映像に落とし込むアプローチが、ヨコオらしさを直感的に伝える鍵だと判断しました。特に、トラディショナルブルーとイノベーションレッドを一つの画角に収めたライティングは、ブルーとレッドの対比を通じて「伝統」と「革新」という当社の二面性を象徴的に描き出し、映像の中でも強い印象を残しています。

この世界観をWebサイトのTOPにも一貫して展開することで、どの接点においても当社の意志が伝わるブランド体験を目指しました。映像やWebを通じて企業アイデンティティが自然と浸透していく、一貫性のあるコミュニケーション設計を重視しています。

――富岡工場での撮影で印象的だったシーンや苦労した点、またその映像をWebで活用する際に意識したことを教えてください。

國井:富岡工場での撮影で最も印象に残っているのは、冒頭の斜めライティングのシーンです。現場でセッティングを確認する中で「フューチャーラインと同じ角度にしたい」という想いが生まれ、25度という鋭い角度を再現するためにアマナさんには高所からのセッティングをお願いすることになりました。工場内ではスモークの使用に制約があったため、水性スモークを大量に活用することで光のラインを際立たせています。この粘り強い調整のおかげで、Webに展開した際もロゴと光の角度が完璧に揃い、VIを象徴するカットに仕上がりました。

ヨコオ30秒TVCMより|VIの「フューチャーライン」と同じ角度になるように工夫して撮影

ヨコオ30秒TVCMより|VIの「フューチャーライン」と同じ角度になるように工夫して撮影

Webでの活用で最も力を入れたのは、「ページを開いた瞬間にヨコオらしさが伝わること」です。従来のサイトは購入素材が中心で、企業の実態や雰囲気が伝わりにくい面がありました。そこで、ライティングが印象的なシーンをヒーローセクションに配置し、設備や社員の姿を力強く見せる構成としました。訪問者が最初に目にした瞬間から、「人と技術」のリアリティと熱量が直感的に伝わるブランド体験を目指しています。

ヨコオ公式サイトより(https://www.yokowo.co.jp/のリンク)|VIカラーのトラディショナルブルーとイノベーションレッドを意識したライティングによる撮影 

ヨコオ公式サイトより|VIカラーのトラディショナルブルーとイノベーションレッドを意識したライティングによる撮影

――完成した映像を初めてご覧になったときの率直な印象を教えてください。

國井:想像を超える仕上がりに、「ここまでヨコオらしさを一つの世界観に凝縮できるのか」という驚きがありました。これまで事業ごとに強みを発信してきた一方、会社全体の印象が分散するという課題がありましたが、今回の映像ではライティング・構図・言葉が一体となり、「幸せを、進化させる。」という思想が一つの軸として可視化されています。

直感的に印象を刻む30秒版と、深い対話を促す5分版、どちらを視聴しても「ヨコオらしさ」が一貫して伝わる設計となり、当初描いた設計通りの体験が実現できました。社員や設備のリアリティと、VIを活用した印象的な光の表現が自然に融合し、「リアルな人と技術」と「ブランドとしての高揚感」を両立できたことで、当社の軸が初めて映像として社会へ届くものになったと確信しています。

4.会社紹介動画とトップページ改修の効果

VI浸透から全社展開へ──インナーブランディングの次なる一手

――公開後の社内外の反応や印象的なコメント、また展示会・営業での活用状況を教えてください。

松本:公開後は、展示会やサプライヤーミーティング、営業活動など幅広い場面で活用されています。「まずこの動画を見ていただく」というスタイルが定着し、当社の全体像を伝える導入ツールとして欠かせない存在になっています。社内の反応は、劇的な賞賛があったわけではありません。ただ、当社はもともと自社の表現を大げさに評価し合う文化が強くない組織です。派手なリアクションはないものの、現場でごく自然に使われ続けているという事実こそが、何よりの評価だと捉えています。一時的な盛り上がりに終わらず、現場の日常に溶け込み、実務を支える共通言語になっている。その静かな広がりの中に、確かな手応えを感じています。

――動画やサイト公開後、社内のブランド意識にどのような変化がありましたか?

松本:社内では「これってヨコオらしいかな?」という相談が寄せられる機会が明らかに増えました。展示会用ポスターの制作で「VIに沿ったフォーマットはないか」という問い合わせがあったり、社内イベントの設営で「ブランドカラーの赤と青をどう活用すべきか」といった相談が来たりと、各自が表現の在り方を自発的に意識し始めています。

誰もがルールを完璧に運用できている段階ではありませんが、一人ひとりがブランドを自分事として捉え、自らの仕事の中で「ヨコオらしさ」を問い直そうとしている。その意識の変化こそが、本プロジェクトにおける現時点での最も大きな成果です。

――今後、ブランドコミュニケーションをどのように強化・発展させていきたいとお考えですか?

松本:今後はまず、コーポレートサイトの下位層や会社案内、社員のIDカードに至るまで、あらゆる顧客接点のビジュアルをVIに沿って刷新していきます。ブランドの「器」を整えた上で、TVCMなどを通じた認知向上にも取り組み、ヨコオの思想に共感してくださる方々との新たな関係構築を次のフェーズと位置づけています。

同時に注力しているのが、インナーブランディングの深化です。パーパスやビジョンを「知っている」状態にとどまらず、それを体現するために自分はどう行動すべきかを、社員一人ひとりが自律的に考えられる組織を目指しています。その第一歩として、理念への共感を育むグループワークを計画中です。幹部層からスタートし段階的に広げ、3年後には海外拠点も含めた全社で「ヨコオらしさ」を対話・共有できる文化へと発展させていく予定です。

――今回のプロジェクトを振り返って、同様の施策を検討している企業にとって押さえておくべきポイントを教えてください。

國井:実務を統括する立場として最も重要だと感じたのは、「何を伝えたいのか」という本質を突き詰め、現在地と目指す未来のバランスを丁寧に設計することです。当社には長年培ってきた技術や現場力という「伝統」がある一方、「挑戦」や「革新」という未来への姿勢もより鮮明に打ち出したいという意図がありました。

社内で多様な想いが交錯する中、アマナさんにそれぞれの想いを言語化・可視化していただいたことで、最適なバランスを見出すことができました。また、理想に偏りすぎて実態を見失わないよう、特にロング版では盛り込む要素を丁寧に精査しました。こうした地道な整理と設計のプロセスこそが、企業の本質的な価値を社会へ届け、ブランドを真に機能させるための根幹です。

松本:プロジェクト推進においてまず不可欠なのは、「何を大切にし、何を軸に判断するのか」を言葉として整理し、関係者間で共通認識を築くことです。私たちの場合、それがパーパス・ビジョン・バリューやスローガンでした。この軸が明確であれば、表現の方向性や採否の議論が建設的になり、意思決定がブレることはありません。

加えて、その企業ならではの「らしさ」とそこにしかない「リアルさ」を追求することも、同様に大切な視点です。ヨコオの本質は、洗練されたスマートさよりも、泥臭く何度でも挑戦し続ける愚直さにあります。だからこそ映像でも、実際の職場・設備・人をありのままに映し出し、現場が持つ真の強さを描くことにこだわりました。社名を差し替えれば成立するような汎用的な表現に価値はありません。AIで映像が容易に生成できる今だからこそ、実際の現場や人が放つ圧倒的な説得力こそが、ブランド表現の核心になると考えています。

 國井さん(左)と松本さん(右)

新たなブランド哲学「伝統と革新」を可視化した、ヨコオとアマナの共創プロジェクト。対話と協働を重ねたプロセスが、新VI「フューチャーライン」を体現する映像とWebを生み出しました。アマナは、各企業が持つ独自の歩みや理念を深く理解し、ブランドの本質を共に形にするパートナーとして、これからもお客様とともに歩み続けます。

ヨコオ会社紹介動画(日本語版)

クライアント/スポンサー:株式会社ヨコオ

<スタッフクレジット(全てアマナ)>
プロデューサー:桑原杏奈、北原久司
プランナー:井川文恵
アートディレクター:徳増勇太
ムービープロデューサー:黒柳勇人
プロダクションマネジャー:山口勝平
ムービープランナー:桑原陽
ムービーディレクター:MACO
Webプロデューサー:森脇恭祐
Webディレクター:金本祐太郎
デザイナー:松下純玲

取材・文・撮影:BeeDot


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