顧客体験を進化させるビデオ-パワード・エクスペリエンス

▼登壇者

SundaySky|CEO
Jim Dicsoさま

株式会社電通|電通イノベーションイニシアティブ開発部 部長
青木 圭吾さま

 

本レポートでは、株式会社電通の青木圭吾氏とSundaySky CEOであるJim Dicso氏のセッションをお送りします。ブランドがパーソナライゼーションを進めていくうえで、極めて有効なソリューションであるビデオ-パワード・エクスペリエンスについて講演していただきました。ぜひご精読ください。

 

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パーソナライゼーションには企業の覚悟が必要(青木圭吾氏)

 

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株式会社電通|電通イノベーションイニシアティブ開発部 部長

青木 圭吾 氏

 

2018年7月、電通イノベーションイニシアティブ(DII)という組織が電通内に誕生しました。中長期的に有望なビジネス領域に対し、投資と事業開発支援を通じて、電通および顧客企業のビジネス開発を支援するR&D(リサーチアンドデヴェロップメント・研究開発)組織です。グローバルの先端マーケティングソリューション・テクノロジーとの協業を進め、ブランドのインハウスマーケティングを統合的に支援する体制を推進するうえで、NewsCredやSundaySkyは極めて重要なパートナーと認識しています。

重視されているのがパーソナライゼーションです。パーソナライゼーションを実行するにあたって必要なものは、ブランド企業の覚悟だと私は感じます。組織の壁を超えて、データを共有して、一人ひとりの顧客に最適化させる覚悟があるかどうか。その覚悟があるブランドに対して必要なソリューション、テクノロジーということで、私が紹介したいのは、SundaySkyです。日本での知名度はまだまだですが、極めて有効で大きな力を持ったソリューションです。

 

顧客体験を進化させるビデオパワード・エクスペリエンス(Jim Dicso氏)

今日は、3つのポイントについてお話しします。1つ目は、よりすばらしい顧客体験を生み出すために、企業がどれほど苦労しているのか。2つ目は、新しい顧客体験戦略の1つである、新世代のビデオ-パワード・エクスペリエンスについて。3つ目は、このソリューションがいかに大企業に画期的な成果をもたらしているか、事例とともにご紹介します。

 

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SundaySky|CEO

Jim Dicso 氏

なぜ、これまでの投資と施策が失敗したのか

カスタマージャーニーの可視化、顧客のタッチポイントの分析、データ活用の高度化、顧客体験の最適化など、各企業は今、デジタルエクスペリエンスの最適化に多大な投資を行っています。しかし、多大な投資をしても、現実的には多くの企業が壁にぶち当たっているのです。カスタマージャーニーにおいて、顧客の動きが固まり、ジャーニーが止まってしまうタイミングを、私は「モーメント」と読んでいます。ジャーニーで勝敗を分ける重要なモーメントを順番に見ていきましょう。

 

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まず、「検討のモーメント」では、製品またはサービスを購入するにあたり、さまざまな選択肢があるために購入を諦めてしまう消費者がいます。請求の支払いは、誰もが支払額に不満を感じる「フラストレーションのモーメント」です。実際に購入した製品、サービスになんらかの問題が起きた場合は、「苦痛のモーメント」になります。また、ポイントプログラムで、ポイントを効果的に獲得・利用しようとして「混乱のモーメント」に直面する場合もあります。サービスの更新やアップグレードを行うタイミングは「意思決定のモーメント」です。

ブランドは、このようなモーメントに直面した顧客にうまくアプローチをかけて管理していかなければ、せっかく今まで築き上げた関係性を一瞬で壊してしまうことになります。

 

新世代のビデオ-パワード・エクスペリエンス

このような課題に対して、SundaySkyは、ビデオ-パワード・エクスペリエンスというソリューションを提供しています。ビデオ-パワード・エクスペリエンスとは、データ、またはIA(Intelligent Automation)を活用して、顧客一人ひとりに最適化された動画を瞬時に生成するシステムで、勝敗を分ける大切なモーメントにおいて進化した顧客体験をもたらし、ブランドにとって良好なアクションを促すものです。視聴者が[再生]をクリックすると同時に、SundaySkyのビデオクラウドがデータを参照し、ビデオの内容を生成してストリーミング配信するという仕組みになっています。

 

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圧倒的な結果を達成したグローバルブランド企業事例

ビデオ-パワード・エクスペリエンスを活用して、多くのグローバルブランドが画期的な成果を上げています。

 

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AT&Tはアメリカ最大手の通信会社です。同社は、顧客が請求書を発行した時点でその請求内容を説明するというビデオ-パワード・エクスペリエンス施策を、2011年から現在に至るまで実施しています。これによって、コールセンターへの問い合わせ件数が19%(90万件)減り、1000万ドル(約10億円)の経費を節減することができました。

次は、Staplesというアメリカのオフィス用品の小売会社。Staplesは購入を迷っている顧客に対してビデオ-パワード・エクスペリエンスを実施しました。その結果、投資した1ドルあたり、なんと24ドルの効果を得たという調査結果が出ています。

3番目は、アメリカ最大の生命保険会社MetLifeです。保険金支払い請求の複雑なプロセスをビデオ-パワード・エクスペリエンスで説明することによって、NPSのスコアが45ポイントアップしました。

4番目は、私たちの最新のクライアント、ユナイテッド航空の事例です。MileagePlusというメンバーシッププログラムを利用している顧客が、過去12ヵ月でどのステータスを獲得したのかをビデオ-パワード・エクスペリエンスで説明するという施策を実施しました。

 

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この動画で目指した一番のゴールは、前年の旅行に関するアクティビティを振り返ることで、達成感とMileagePlusでしか味わうことのできない喜びを感じてもらうことです。同時に、この動画を起点に、顧客により良いアクションを起こしてもらうこと、ユナイテッド航空からの提案サービスとMileagePlusについてのエンゲージを高めることを目指しました。

動画の内容はすべてデータとロジックにもとづいて決定されます。つまり、画一的なものではなく顧客一人ひとりにパーソナライズ化されたビジュアルになるということです。この動画は、顧客がWebサイトへログインした後に流れますが、モバイルアプリを立ち上げた際も、Eメール、SNSでも同じ動画が流れる仕組みです。動画の中で使われているビジュアルのパーツはすべて、私たちのライブラリの中に存在しているので、ステータスが変わった場合にどんなイベントをおすすめすべきか、瞬時に判断できる素材が蓄積されているということになります。

 

動画施策を再考すべき時が来ている

 

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従来の動画は、あらかじめ作成された同じ内容のストーリーをすべての顧客に見せるだけの、非常に直線的なコミュニケーションしか行えませんでした。一方、ビデオ-パワード・エクスペリエンスのコミュニケーション方法はこれとまったく異なり、動画コンテンツをモジュール化することで、データにもとづいた個人向けのエクスペリエンスを提供することができます。継続可能なビジネスへの活用を高め、まったく新しい顧客体験戦略の基盤となり得る。それがビデオ-パワード・エクスペリエンスなのです。

ビデオ-パワード・エクスペリエンスは、カスタマージャーニーの中で、勝敗を分ける非常に大切な「モーメント」において、画期的な成果をもたらすと私たちは自負しています。

現在、SundaySkyは世界的規模を有するクライアントと多数、お取り引きさせていただいております。この中には、通信社、金融サービス、ヘルスケア、保険会社、小売店、そして旅行業界というさまざまなクライアントが存在します。2011年以来、私たちはこのユニークなビデオ-パワード・エクスペリエンスを30億回提供し、2019年に入ってから、ビデオ-パワード・エクスペリエンスを体験した方は1億人を超えました。

日本では、2016年に電通、電通テックと協業を開始しました。過去5年ほどで、大手ECサイト、チューリッヒ保険、NTTドコモ、日本経済新聞といった著名なクライアントとの施策を展開してきました。最近では、大手損害保険会社との大規模プロジェクトの開発が進められており、来年ユーザ向けサービスが開始予定です。そしてここにきて、アマナとパートナーシップを組むことができました。SundaySkyは日本の市場においても、ローカライズされたエクスペリエンス施策をアマナと一緒に提供していきます。ありがとうございました。

 

●Text :内藤 貴志
●Photos : 劉 怡嘉

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