vol.82
ブランディングを加速させるオウンドメディアのあり方
企業のあらゆるコミュニケーション課題に向き合い、その解決方法を探る、アマナ主催のイベントが2022年5月25日に開催されました。8つのテーマを切り口に、先進企業の方々をゲストに迎えたトークセッションや講演、マーケットの今と未来をとらえたセミナーを実施。テーマ「ブランディングを加速させるオウンドメディアのあり方」の回を紹介します。
オウンドメディア「MIRAI PORT」を活用し、SDGsを軸にしたコンテンツで顧客コミュニケーションを促進する協和キリン。コーポレートコミュニケーション部の戸室みさとさんをむかえ、アマナの渡邊隆尚とともに現在の運用状況と、今後の展望を語りました。
※本イベントはアマナの『deepLIVE™️』スタジオからリアルタイムで配信を行いました。
渡邊隆尚(株式会社アマナ/以下、渡邊):本日は「ブランディングを加速させるオウンドメディアのあり方とは」というテーマでセッションしていきたいと思います。
(左から)株式会社アマナの渡邊隆尚、協和キリンの戸室みさとさん。
戸室みさと(協和キリン/以下、戸室):今日は弊社が運営するメディア『MIRAI PORT』の紹介を通じて、オウンドメディアの目的・メリット・効率的な運用方法などについてお伝えしたいと思います。
渡邊:協和キリンでは、どのような課題を解決するためにオウンドメディアを立ち上げたのでしょうか?
戸室:「MIRAI PORT」は3つの課題を解決するために立ち上げました。1つ目は、弊社の社会貢献活動・SDGsにつながる活動を自発的に発信できていないということ。2つ目は、若年世代の弊社認識率が50%未満であるということ。そして3つ目は、SDGsそのものやCSV経営に対する従業員の理解促進です。
こうした課題を解決するために議論を重ねた結果、次のような方向性が見えてきました。まず、単発のWebコンテンツ作成ではなく、オウンドメディアの形を取ることで継続的な訴求を可能にする。また、そこで若い世代が関心を持っている情報を提供し、弊社を知っていただくきっかけを作る。そして社内にもファンを増やし、自社の情報発信に期待を寄せてもらえるメディアにすることです。こうした方針のもと「MIRAI PORT」は生まれました。
戸室:「MIRAI PORT」はSDGs達成にむけた取り組みや国内外のSDGsに関する事例を配信するオウンドメディアとして、2019年6月にローンチしました。目的は、弊社グループのSDGsに関する活動をステークホルダーに正しく認知してもらい、理解・共感、社会的信頼を得ることです。社会課題に関心の高いミレニアル世代・Z世代を主なターゲットに設定し、現在の月間平均アクセスは約10万PVとなっています。月ごとに配信するコンテンツの数は、弊社関連の記事が1件、ライセンスドコンテンツやSDGs解説コンテンツが約10件です。
渡邊:配信されるコンテンツは、どのようなコンセプトに基づいて作られているのでしょうか?
戸室:基本的には活動そのもののファクトとともに、当事者のストーリーや想いを重視する内容にしています。ライセンスドコンテンツ・解説コンテンツの場合は、SDGsいずれのゴールも偏りなく紹介できるよう努めています。また、ポリティカルコレクトネスに留意するのはもちろんのこと、医療用医薬品を扱う弊社としては、製品広告のルール・情報提供に関する規制やガイドラインなども遵守するよう努めています。
会場となった『deepLIVE™️』配信スタジオにて。戸室みさとさん。
渡邊:オウンドメディアを運営していくには課題も多いと思いますが、いかがですか?
戸室:そうですね。「MIRAI PORT」では、毎月5本のオリジナルコンテンツを配信しています。コンテンツの企画を立ち上げ、部内で方針を確認してから、インタビュイーのアサインや関係部署との調整をおこないます。また、この間の進捗は週1回の定例会で確認します。しかし、1つのコンテンツができあがるまでのプロセスは必ずしもスムーズではありません。校正の過程も含め、公開まで4~5か月かかるケースもあります。
オウンドメディア運営の難しさはこれだけではなく、例えば「コロナ禍の影響でレポート予定のイベントがなくなった!」など、予期せぬトラブルでコンテンツの配信計画が狂うこともあります。また、コンテンツのバリエーションを増やし、質を改善していくことも重要です。弊社では3カ月に一度アマナさんとの打ち合わせを実施し、記事の方向性の確認、新規アイデア出しを定期的におこなっています。
オウンドメディアを運営する多くの企業にとって、KPIや外部評価の測定は大きな課題の1つだと思います。「MIRAI PORT」ではコンテンツ数やPV数、UU、SNSアカウントの投稿数やフォロワー数などが成果の指標となっています。また、アマナさんからの提案を受け、アンケートによる定性調査を実施しています。コンテンツ読了後のユーザーから寄せられたコメントを分析するとともに、検索クエリの移り変わりも3カ月に一度フィードバックを受けています。
渡邊:アマナからは、SDGsをはじめとした世の中のトレンド情報、サイト内におけるユーザーの行動分析の結果などを提供しています。加えて「ユーザーが求めている情報」と「企業が発信したい情報」が重なる地点、つまり「発信すべき情報」に関する提案もしています。協和キリンとの週に1回の編集会議では、こうした情報をもとに議論を進めPDCAサイクルを回しています。ここでのさまざまな判断は、アマナが提供するNews CredというサービスやGoogle Analytics 、Google Search Consoleで収集したデータに基づいています。ユーザーのアンケートも合わせて、定量的データと定性的データの双方を参照しながら、「MIRAI PORT」の成果を把握しています。
渡邊:企業が何を目指すのかによって、成果としうるKPI・KGIはさまざまだと思います。「NewsCred」には「CMAS(シーマス、Contents Marketing Advisory Service)」というサービスが提供されています。実際のパフォーマンスを見ながら「次にどのようなアクションをするべきか」「ユーザーのエンゲージメントがより深まるコンテンツ内容とは何か」「発信者が求めるユーザーのアクションに必要なものは何か」といったことが「CMAS」によってわかります。成果を可視化し、次のアクションにつなげていくことが可能になるわけです。
戸室:フィードバックをもとに課題に対して有効な対策が打てていることで、社内外のエンゲージメントにさまざまな好影響が見られました。「MIRAI PORT」内アンケートには好意的な意見が多く寄せられ、社内外評価の高いコンテンツを配信できている手応えを感じています。また、3年間の運営を通して、SDGsと弊社事業とのつながりを当初よりも深い理解を促せるようになりました。「MIRAI PORT」は、協和キリンのストーリーを現代の価値観に即して伝える場として機能していますし、弊社の広報施策の一つの手段として定着したと言えます。「メディアコミュニケーションに加えたダイレクトコミュニケーションの導入」「デジタルの活用」「気候変動への対応・多様性推進の発信力強化」といった弊社の課題に対する有効な手段になったと言えるでしょう。
今後は「MIRAI PORT」を、協和キリンの取り組みを一層タイムリーに発信するオウンドメディアとして進化させていきたいと考えています。またSNS・コーポレートサイト等との広報施策間の連携を強化し、コンテンツの二次的展開を促進していくこと、グローバル・スペシャリティファーマとして英語コンテンツ発信力強化も課題です。
会場となった『deepLIVE™️』配信スタジオにて。渡邊隆尚。
渡邊:オウンドメディアを3年も継続して運営できているのはすごいことだと思います。協和キリン社内における理解と協力体制があればこその成果ですよね。一方、社外とのコミュニケーション・制作管理の簡便化、オウンドメディアの効率的な運用に関しては、アマナのサービスがお役に立てている部分も多いのではないかと思います。コンテンツマーケティングを考える上で、オウンドメディアは有効な手段の1つです。しかし、効率的かつ有効な運営にはノウハウが不可欠で、それがないと「仕事のための仕事」だけが増えてしまうという結果に陥りかねません。
渡邊:「NewsCred」のコンテンツマーケティングプラットフォームを使用すると、コンテンツの企画・制作・配信のプロセスを一気通貫で最適化し、マーケティング活動全体を管理することが可能です。アナリティクスによってコンテンツが収益や顧客獲得に貢献しているかを可視化することもできます。コンテンツ改善のためのレコメンデーションによって、オウンドメディアのパフォーマンスをさらに向上させることもできるでしょう。CSV経営を社内外へ伝えるパートナーとして、今後も「MIRAI PORT」のお役に立てればと思います。
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deepLIVEは、リアルタイムCGと最新鋭のバーチャル・プロダクションシステムを備えた自社スタジオの活⽤により、 企業やブランド固有のニーズに即した企画立案〜リアルとバーチャルの垣根を超え共感を生む深い(ディープな)体験構築が可能、新たな体験創出でデジタルコミュニケーションにおける様々な企業課題の解決をサポートします。
amana Content Marketing
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コンテンツマーケティングの本場であるアメリカで、業界を牽引するリーディングカンパニーであるIndustry Dive。国内唯一の独占パートナーであるアマナがその集合知を活用し、成果へと繋がるコンテンツマーケティングをサポートします。
企業が抱える課題に沿って、戦略策定からチーム構築、コンテンツ制作、効果測定まで、コンテンツマーケティングの運用をトータルで支援します。