デジタルトランスフォーメーションで非効率性を解決し、顧客体験を向上させる方法

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2019 年5月にロンドンで開催されたThinkContentLab のパネルディスカッションを特集した記事「How to Get Internal Buy-In for Digital Transformation and Drive Adoption(社内でデジタルトランスフォーメーションへの賛同を得て導入を促進する方法)の続編として、ShellのデジタルトランスフォーメーションリードであるBen Glatz、UnileverのグローバルEコマースリードであるPunit Parikhの基調講演から得たインサイトをお届けします。

 

デジタルトランスフォーメーションとその重要性

本セッションは、実装プロセスと新興テクノロジーがマーケターにどのように影響を及ぼすかについて重要な知識を提供し、グローバルなデジタルトランスフォーメーションへの取り組み方を共有してくれたBen Glatzの講演で幕を開けました。

 

変化は不可欠である

デジタルトランスフォーメーションが、マーケティング、コンテンツマーケティング、そしてマーケティング組織にとって重要な理由を説明するために、Glatzはまず、「The Change Imperative(変化は不可欠)」について説明しました。30年前のインターネットの導入とそこから始まった混乱により、私たちは、「デジタルレボリューション(デジタル革命)」または「デジタルディスラプション(デジタル破壊)」と呼ばれるまた別の波の中をくぐり抜けてきました。これは日々、誰もが慣れ親しんでいるテクノロジースタックであり、投資をしてきたソーシャル、モバイル、アナリティクス、クラウド(SMAC:Social、Mobile、Analytics、Cloud) のことです。

問題は、大半の組織がこれらのテクノロジーを最大限に活用する方法を理解していないことですが、エコシステムはすでに先を歩んでいます。調査によると、2000年以降、Fortune 500企業の52%がデジタルディスラプションの結果として破産、買収または姿を消したそうです(Harvard Business Review)。

「私たちはどのようにしてこの課題に取り組めばいいでしょうか。一番の課題は、状況は更に悪化しているということです」とGlatzは言います。「私たちはポストデジタル時代に突入しています。SMACのスタックをデジタルの定義とするなら、私たちはそれをはるかに超えています。 データ、コンプライアンス、そしてコンテンツの観点において、マーケティングは大きな変化と混乱をもたらしながら加速しているため、遅れずについていかなければなりません」。

 

AR/VR、5G、AI、そして新興テクノロジーとマーケターの関連性

「コンテンツマーケティングや体験型マーケティングには、まだ活用されていない大きなチャンスが眠っています」とGlatzは言います。「AR/VRは新しいチャネルであり、消費者に近づける新たな方法です。マーケターやコンテンツ作成、そして、消費者と関わりを持てる経路としてAR/VRは未知の分野です」。

5Gとそれがもたらす機能に関して、Glatzは、新しいビジネスモデル、新しいチャネル、ユーザー側のコンテンツ消費を大幅に強化するだろうと述べています。

「AIに関しては、あらゆるデータの分析方法だけでなく、顧客をどのようにセグメント化するかが課題になります。すでに多くの組織で進行中だと思いますが、それ以外の企業にとってはまだ先が長い状態です。しかし、マーケティングでAIを使ってできることはたくさんあります。写真撮影の際に、モデルの肖像権使用許諾書やエージェンシーは必要は必要ありません。ターゲットオーディエンス向けに20人の本物に見える人たちを作成することも可能です」とGlatzは言います。

Glatzによると、懸念点はあるものの、これら新たな機能はデジタルトランスフォーメーションの必要性を高めており、その分野に多額の投資が行われています。しかしながら、2018年にデジタルトランスフォーメーションに費やされた1.3兆ドルのうち、9,000億ドルが無駄になったと推定されているのです(Harvard Business Review)。原因の大半はテクノロジーだけに起因する訳ではないという事実に行き着くとGlatzは言います。「真のトランスフォーメーションを推進する際に、テクノロジーはむしろ簡単な要素です。困難にさせているのは、ユーザーとの関わり方、ユーザーがどのように関わってくるか、そしてさまざまな働き方の採用方法です」。

 

デジタルトランスフォーメーションはテクノロジーに勝る

デジタルトランスフォーメーションを成功させるには、テクノロジーだけでなく、考え方、戦略、そして文化における根本的な転換が必要です。「優れた顧客体験を実現させるには、素晴らしい従業員の体験が必要になります。そこでデジタルトランスフォーメーションがまた役に立つのです。従業員には従業員には仕事を円滑にするツールが必要ですから」とGlatzは言います。

「デジタルトランスフォーメーションを成功させる一番のヒントは、トップレベルの賛同です。また、しばらくの間、社外秘で実行すれば、精査から逃れ、うまくいけば数回の勝利の後に、リーダーシップから同意を得ることができるでしょう。時に、水面下で物事を進めるのが必要な場面もあります。それ以外は、説得すべき人と徹底的に論議して片をつけるだけです」。

 

デジタルトランスフォーメーションで考慮すべきこと

UnileverのB2Bトランスフォーメーションチームに属するPunit Parikhは、B2Bコマースをより効果的にするためにテクノロジーを変革する業務を担っています。 同氏のセッションでは、デジタルトランスフォーメーションに伴うリスクと、新しいテクノロジーの導入前にそのリスクをどのように考慮すべきかについてお話いただきました。

テクノロジーは有用であるべきだ

テクノロジーは優れたものですが、それは実際に問題を解決している場合に限ります。導入後に新たな問題が発生しては意味がありません。

Parikhは、Unileverが製品を製造し、インドなどの地域で販売する際に行う複雑なプロセスについて話しました。「弊社には商品を製造するメーカーがあり、倉庫があります。弊社自体は倉庫を所有していませんが、倉庫を所有するディストリビューターがいます。そうする理由は、彼らはロジスティクスのサポートを提供しており、各店舗に出向いて注文を集めるセールスチームを抱えているからです。営業員は注文を受けて店舗に向かい、商品を配達し、集金をします」と語ります。「しかし、完全にマニュアルのプロセスのため、販売員たちはほとんどの時間を往来に費やしていました」。

論理的なプロセスは、前述のプロセスの一部を自動化するテクノロジーを実装することでしょう。とはいえその複雑さと、顧客に及ぶ影響について考えなくてはなりません。

Parikhはこのように警告します。「中抜きをすることもできるでしょう。しかし、弊社のような消費財を扱う業界でそれを行ったら、ビジネスは崩壊します。どうしてかって?この営業担当者は、20〜30年以上にわたり顧客に対応しています。顧客と関わり合い続け、顧客側にしてみれば彼らこそアンバサダーであり、あなたのプログラムを可能にする存在です。彼ら抜きで物事を進められると思っているのであれば …まあせいぜい頑張ってください」。

組織内でテクノロジーの活用に最適な場所を見つける

「誰もがデジタル化を進めています。私たちの業界には、Amazon for Business、Ali baba、それ以外にもさまざまなマーケットスペースが数多く存在します。これらの企業は商品を所有せず、後方支援をしています。彼らがエコシステムを所有しているのです」。

AmazonはB2Bに関してどのような取り組みを行い、なぜその取り組みが評価されたのでしょうか。Parikhによると、「彼らは、倉庫と供給を見通せるように、在庫プロセス全体を自動化させた複雑なテクノロジーに統合しました。B2Bの販売業者として、私はチーム全体の力を借りて価格戦略を決定するアルゴリズムに取り組んでいますが、Amazon B2Bはデータを所有しているので、この取り組みは必要ないのです」。

とは言え、デジタルトランスフォーメーションを通じてUnileverのプロセスを効率的に変革する方法はいくつかあります。販売する仲介業者を中抜きするのではなく、同社はデリバリー(納品)のメカニズムを変革して非効率な要素を埋め合わせました。

「B2Bでは、適切な顧客体験を推進し、エコシステムを構築することの方が大切です。顧客に対応するウェブサイトだけでなく、競争が激化する環境下において顧客の期待に応え続けてください」と、Parikhは説明しています。

最終的に、新しいテクノロジーの導入を望むマーケティングチームは、ここから何を学べるでしょうか。

あなたとチームに問いかけてみてください。トランスフォーメーションを実施する理由は何ですか?それにより、恩恵を受けるのは誰ですか(組織、それとも顧客)?

それとも、名目上やらなければならないから実施しようとしているのですか?

 

元記事「How Digital Transformation Can Solve for Inefficiencies and Improve the Customer Experience」は2019年7月24日にInsights.newscred.comに掲載されました。

 

この記事は、NewsCred BlogのMarta Ripollが執筆し、Industry Diveのパブリッシャー・ネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。

 

また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

 

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