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商品のパッケージデザインは包装だけでなくブランドの第一印象を決定づける役割を果たし、消費者の購買行動に大きな影響を与える重要な要素です。機能性やデザイン性の追求はもちろんのこと、消費者の目を引くための斬新なアイデアが求められます。
ここ数年は、見た目の美しさや斬新さに加えて、環境に配慮できる素材であるかどうかも消費者が気にするポイントです。さらに、インタラクティブな仕掛けを取り入れて消費者に新たな体験を提供するなど、パッケージデザインはますます進歩しています。
この記事では、特に注目されている海外のパッケージデザイン事例を紹介し、その独自性や成功の要因に迫ります。
Here’s your first look at the stunning packaging of Apple Pencil Pro. pic.twitter.com/z5daElbfRw
— Nikias Molina (@NikiasMolina) May 8, 2024
iPad Pro、iPad Airとあわせて、アップルは2024年5月にApple Pencil Proの新バージョンを発表しました。アップルのパッケージデザインで通常思い浮かぶのは「クリーン」や「シンプル」、あるいは「実用的」というイメージでしょう。しかし今回のApple Pencil Proは、ある意味「アップルらしさ」とはほど遠い5種類のパッケージが用意されており、注文してもどれが届くのかわからないのが最大の楽しみとなっています。
新しいパッケージには「Pro」という文字が、それぞれ個性的なブラシスタイルのタイポグラフィで表現されています。公式サイトによると、最新のApple Pencil Proは触覚フィードバックなど複数の先進的な機能を備え、メモを取ることひとつをとっても直感的な動作を実現しています。従来製品と比べて「魔法のようなことを一段と多くできる」製品と表現しており、今回のパッケージデザインにもその世界観を表していることがうかがえます。
2024年5月13〜19日までのイギリスでのメンタルヘルス啓発週間に、マクドナルドが「ハッピーセット」からお馴染みのスマイルマークをなくすキャンペーンを展開しました。この取り組みは、子どもたちに「いつもハッピーでなくても大丈夫」というメッセージを送り、家庭内での対話を促すことを目的としています。
マクドナルドの調査によると、イギリスの子どもたちの48%が、いつも幸せでいなければならないというプレッシャーを感じていることが明らかになりました。期間限定パッケージの「ハッピーセット」には、子どもたちが「ハッピー」以外の感情をパッケージ上で表現できるように、さまざまな口の形をしたシールが添えられました。
マクドナルドはBBC Children in Needと協力し、イギリスの若者が抱える心の問題にフォーカスを当て、子どもたちと心の健康について気軽に話すことを促進する専用サイトを開設しました。このウェブサイトは、本キャンペーンの限定パッケージにあるQRコードからもアクセスできるようになっています。この取り組みを通じて、マクドナルドは家庭内でのオープンな対話を促進し、子どもたちのメンタルヘルスへの理解と支援を世界に求めました。
プリングルズは、TikTokトレンドとしてユーザーの間で話題騒然となった「キャビアをプリングルズに乗せて食べるスナック習慣」のブームにあわせ、ザ・キャビア・カンパニーとのコラボレーション商品を発表しました。最高級のキャビアとプリングルズを組み合わせた限定セットで、「スモーキー・ショアーズ」「ソルト・オブ・ザ・シー」「クリスプ＆キャビア」の3フレーバーを展開。2023年9月19日からザ・キャビア・カンパニーのオンラインショップで展開をスタートし、49〜140ドルという異例の価格で販売されました。
パッケージは黒を基調としたシックなボックスに、ゴールドのロゴやリボンの留め具がアクセントとしてあしらわれ、高級感があり洗練された印象に仕上がっています。さらに、付属品であるキャビア缶を開けるためのキーホルダーとスプーン2本もゴールドで統一され、その豪華なセット内容も注目を集めました。
キャビアという意外性のある食材との組み合わせでラグジュアリーな気分を味わえるこの限定セットにより、プリングルズの味覚体験に新たな付加価値をつけることに成功しました。
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出典：Milk & More
2024年4月、乳製品メーカーのMilk & Moreは、楽しいデザインとインタラクティブな工夫を取り入れた牛乳パックの新コレクションを発表しました。全6種類からなるパッケージには、それぞれユニークな玄関や窓のミニハウスが描かれており、パックを並べるとまるで絵本の世界のような小さな街が現れます。手書き風のタッチやカラーリングも相まって、思わず全種類集めたくなるデザインです。
また、各パックにはQRコードが印字され、毎週更新されるコンテンツが掲載されたウェブサイトにアクセスできます。配達員たちの日常が映し出された遊び心にあふれた動画や朝食レシピ、お得な商品情報が網羅されており、ユーザーとの継続的な接点を作る工夫がなされています。
デザインやインタラクティブ性に加えて、サステナビリティに配慮したパッケージ素材を採用している点も注目されています。同社のニュースリリースによると、再利用された植物油から作るバイオ循環型のボール紙を使用したパッケージは丸ごとリサイクルが可能で、さらに高品質の繊維を使用していることから最大7回まで再利用できるとのことです。
毎日の朝食が楽しくなるだけでなく、環境に配慮した消費行動にもつながる本パッケージ。「エシカル消費」の観点を取り入れることは、今後のパッケージデザインにおいて考慮すべき重要な要素と言えるでしょう。
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カナダ人シェフ兼伝統的なレストラン経営者のマティ・マセソン（Matty Matheson）氏は、2024年に自身の食品ブランド「MATHESON FOOD COMPANY」を創設しました。バーベキューソース、サラダドレッシング、箱入りマカロニ＆チーズの3商品を発表し、そのパッケージデザインからカナダ中のパントリーにノスタルジックな世界観を届けています。
デザインのコアアイデンティティは、1930年代の食品パッケージに見られた美学と、マティが子どもの頃にいつも食べていた「ヘレフォード・コンビーフ」をインスピレーション源にして構築されました。赤、黄、青、白の原色を基調としたカラーパレット、商品や味に重点を置いて直接的に訴求する力強いタイポグラフィが特徴です。これには「流行りものでなく、現代的なものでもなく、余分なものを削ぎ落とす」という彼の確固たるデザイン哲学が反映されています。
「MATHESON FOOD COMPANY」のパッケージデザインはクラシカルなテイストを全面に打ち出すことで、懐かしさを感じつつ現代にも受け入れられるシンプルかつ洗練されたスタイルを提案しました。同ブランドは、彼が幼少から食べ親しみ現在は敬意を表する食品ブランドと同様に、後世に愛され続けることを目指しています。
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以上のように、海外で注目を集めるパッケージデザインは単なる商品包装を超えて、消費者のライフスタイルや価値観を考慮していることがわかります。
現状のメインターゲットであるZ世代は、デジタルやハイテクに精通し、社会に対する意識も強いため、ブランドに多くのことを求める傾向にあります。それを踏まえ、彼らの心を動かす視覚的デザインから、環境への配慮、ブランドのストーリーテリング、インタラクティブな体験までを含めた総合的なアプローチが成功の鍵となるでしょう。
パッケージデザインは製品の顔であり、ブランドの魅力を伝える重要なコミュニケーションツールです。技術の進歩や人と社会の変化に柔軟に対応しながら、より魅力的で本質を捉えたパッケージデザインが生み出されることが期待されます。
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