動画広告のサイズあれこれ|縦型・横型どちらが最適?SNS時代の映像制作ヒント

動画広告のサイズあれこれ|縦型・横型どちらが最適?SNS時代の映像制作ヒント

いま、縦か横か――それが意外と大事な話

スマホで動画を観るのが当たり前になった今、動画広告における「サイズ問題(サイズ選び)」は多くのマーケティング担当者を悩ませる課題になっています。
ひと昔前までは「16:9の横長」がスタンダードでした。テレビもYouTubeも、同じ横長フォーマットで完結できていたからです。

ところが現在は、Instagram Reels、TikTok、YouTube Shortsなど、縦長動画が主役のプラットフォームが増加。さらに店頭サイネージなどでは縦型・横型が混在し、「縦」「横」「正方形」──配信先によって最適サイズがバラバラに。その結果、制作現場では“どの比率で作るか”の判断が難しい、戦略的に見極めるべきポイントとなっています。 

プラットフォーム別に異なる「見え方」と注意点

たとえば、Instagram Reelsは、縦長の全画面表示ではあるものの、上下にUI(ユーザー名やキャプションなど)が重なるため、上下に重要な文字を配置すると見切れるリスクがあります。

TikTokも同様で、ボタンやコメント欄の位置にテキストを入れてしまうと一部が隠れてしまいます。

一方で、YouTube Shortsはやや中央寄りの構図が安心です。

同じ縦動画でもプラットフォームごとに「安全地帯(セーフティエリア)」が異なるのです。

さらにやっかいなのは、スマホ端末(iPhone/Android) の画面比率でも見え方が微妙に異なるため、正確にセーフティエリアを定めることは、もはや不可能となっています。

TikTokのセーフティエリア例

TikTokで配布されているセーフティエリアの参考ガイドをご覧いただくと分かりやすいでしょう。
この緑色の部分が、見切れてはいけない文字や情報を収めるべき「安全領域」として設定されています。動画内の重要なテキストやロゴは、この範囲に収まるように構成するのが基本です。

セーフティエリア

出典:TikTok公式ヘルプ「インフィード動画」

すべて対応するのは非現実的――制作の“ 軸 ”を決める重要性

理想を言えば、配信先ごとに最適なサイズを作り分けたいところ。
しかし現実的には、コストもスケジュールもかかりすぎてしまうため、すべてを完璧に対応するのは難しいのが実情です。

そこで重要になるのが、“軸をどこに置くか”を明確にすること。
たとえばキャンペーンの中心がYouTubeなら横長(16:9)をベースにし、SNS展開ではトリミングや再構成で縦長に対応する。
逆にTikTokやInstagramが主戦場なら、最初から縦長を想定して企画を立てる。

主軸を決めておくことで、制作時の判断ブレを防ぎ、効率的に進行できます。

撮影段階からの設計がカギ。トリミング対応を前提に構図を考える

撮影の段階から、複数フォーマットを意識して構図を考えることが重要です。
被写体を中央に寄せたり、左右に余白を確保したりすることで、後から横型にも縦型にも切り出せる柔軟な構図を作れます。
「一度の撮影で多様なサイズに対応する」考え方が、制作効率を高める鍵です。

実際に、横長で完成させた映像を後から縦型で使用したいというケースでは、トリミングの制約によって、縦型ならではのフル画面のインパクトを活かせず、泣く泣くあきらめたこともありました。

この経験から、現在では同じカットを「横型用」と「縦型用」としてあらかじめ別撮りすることを意識しています。

近年では、6K(6144×3160ピクセル)などのHDの約2倍の高解像度撮影が一般的になり、撮影後に多少のデジタルズームやトリミングで構図を調整することも可能です。

とはいえ、縦と横では見せ方や構図バランスが大きく異なるため、撮影段階からトリミングを想定することが、より魅力的な映像を作る重要なポイントだと感じています。

どんなサイズでも伝わるメッセージ設計とは

フォーマットの多様化は大変でも、共通して大事なのは“伝わる設計”です。
縦でも横でも、短尺でも長尺でも、視聴者が一瞬で理解できるメッセージの核があれば、サイズの壁を越えて効果を発揮します。
たとえば「ブランドカラー」「一言キャッチ」「印象的な動き」など、記憶に残るフックを明確にしておくことで、どんな画面比でも伝わる広告になります。

SNS動画広告を成功させる3つの制作ヒント

①メインの視聴媒体をひとつ決める

どこで最も見られたいかを決めるだけで、サイズ選択の迷いが減ります。
メインを決めて、他は派生展開で考えるのが現実的。事前にどの媒体で展開をするのか、マーケティング戦略と連動して検討しましょう。

②撮影時にセーフティ構図を意識、入れ込む要素を洗練させる

端に要素を詰めない、テロップ位置を中央寄りにするなど、編集前から“トリミング対応”を想定しておくことが大切。これらはマストで映像クリエイター、デザイナーが取り組むことではあります。しかし、その前に「入れたい要素」をしっかりと選び抜く、ということも大事です。あの情報もいれたい、この文字も大きくしたい、このラベルもいれたい…と情報がモリモリになってしまうと、動画尺として1カットおよそ4、5秒で見せ切るためには過剰な場合があり、印象が散漫になってしまいます。

③メッセージを比率に依存させない

映像のスケール感よりも、伝えたいキーワードや印象的なビジュアルを優先。
サイズを超えて響くコンテンツは、どのフォーマットでも強い印象を残します。

まとめ:サイズを超えて“伝わる瞬間”を設計する

動画広告の世界では、「どんなサイズで見るか」も体験の一部です。
プラットフォームの特性を理解しながら、“伝わる瞬間”をどう設計するか。
その一手間が、ブランドを印象づけるクリエイティブの差になるはずです。

文:謝花香織(アマナ/ ムービーディレクター) 


よくある質問(FAQ)

Q1:SNS広告では縦型動画と横型動画、どちらが効果的ですか?

A:配信先のプラットフォームによって最適な比率は異なります。
YouTubeなど横型中心の媒体では16:9、TikTokやInstagramなどモバイル中心の媒体では9:16が主流です。
重要なのは「どこで見られたいか」を最初に決め、その媒体に最適な構成を考えることです。

Q2:すべてのフォーマットに対応するにはどうすればいいですか?

A:撮影段階からトリミングを想定した構図設計が重要です。
被写体を中央に寄せる、左右に余白を取るなどで、後の縦横変換に柔軟に対応できます。

Q3:縦型・横型どちらでも伝わる動画にするコツは?

A:サイズよりも「何を伝えたいか」を明確にすること。
ブランドカラーやキャッチコピー、印象的な動きを設計しておくことで、どんなフォーマットでも効果的に伝わります。

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