ブランドの一貫性は、なぜ「運用の現場」で崩れるのか?〜アドビ×アマナ共催セミナーレポート

ブランドの一貫性は、なぜ「運用の現場」で崩れるのか?〜アドビ×アマナ共催セミナーレポート

2026年4月、アドビ×アマナの共催セミナー「ブランドの一貫性は、なぜ「運用の現場」で崩れるのか?〜AI活用で仕組み化する、ブランド毀損の防ぎ方〜」が開催されました。画像生成AIが広く使われるようになった今、その使い方に課題を抱いている企業も多々あります。一方で、ブランド構築においてAI活用を推進することで、ブランドの一貫性を保ちつつ効果的なアウトプットと量産を実現することも可能です。

このセミナーでは、アドビのカスタマーサクセス部でエンタープライズのお客様の対応をしている小木哲也さん、企業の課題解決のソリューションコンサルタントを担当している名久井舞子さん、デジタルマーケティングのソリューションを担当している阿部成行さん、アマナのAI Creative特化組織「」でマネジャーをしている堀口高士が登壇。企業において、インハウスのマーケティングやブランディング、DX推進、クリエイティブ統括などを担当している責任者に向けて、組織として「ブランドらしさ」を守りつつ、AIを安全に実装するためにどのような仕組みを作ればいいのか、「判断基準の型」と「実装の順序」のヒントが得られるセミナーとワークショップを実施しました。

アドビ×アマナの共催セミナー「ブランドの一貫性は、なぜ「運用の現場」で崩れるのか?〜AI活用で仕組み化する、ブランド毀損の防ぎ方〜」が開催されました

Part1:ブランドの一貫性は、なぜ「運用の現場」で崩れるのか?

堀口高士(以下、堀口):ブランドの一貫性が大事でありながら、現場が重要性を感じられないのはなぜでしょうか。わかってはいるけどできない、という現状があると思われます。

その理由として、4つの要素が挙げられます。まず1つ目は、多角化する事業の影響。いくつものブランドを抱えている企業ではブランドそれぞれに「らしさ」があって、企業としての「らしさ」に一貫性を持たせるのが困難だと感じています。ブランド拡張を行うと発信する内容が多岐にわたり、ブランドらしさが明文化されづらくなるということです。

そして2つ目の理由が、短期成果目標。製品プロモーションだと、とにかくこのキャンペーンを成功させたい!と近視眼的な判断になりがちです。ブランド戦略を決めても、それを実行するのが別の部署だと連携が難しくなることもあります。

3つ目は、組織内の分断による影響で、ブランドの一貫性を守ることと自分の仕事が接続できていないことがあり得ます。それぞれの組織ごとにKPIが違うと、個別の意思決定に陥りがちですから。

小木哲也さん(以下、小木):まさに私が今、直面している課題かもですね。アドビのコーポレートブランディングのガイドラインを刷新するという話が1年半前にあって、社内で広げていくためのハブ役になってくれと言われて。ですが、早く成果物を作って出したい部署にとってはガイドラインを遵守する意識が必ずしも高くない傾向があります。

小木哲也|Tetsuya Ogi アドビ株式会社/カスタマーストラテジー&サクセス統括本部
小木哲也|Tetsuya Ogi
アドビ株式会社/カスタマーストラテジー&サクセス統括本部 
カスタマーサクセス部でエンタープライズ版をご利用中のお客様に対する製品利用促進の支援、運用サポートを担当。プロ・アマ問わず、アドビの製品を愛し使ってくれるすべてのユーザーの方々へ、ワクワクを届け続けることが目標。

名久井舞子さん(以下、名久井):社員の優先順位の中に「ブランド」という概念がないと、理解されづらいかもですね。

堀口:4つ目は、運用しにくいガイドラインによる影響。ガイドラインは方針を示すうえで重要なものですが、大量の情報を多くの人に伝えようとすると、表現が抽象的になってしまいます。そうすると解釈も人それぞれになってしまい、何が正解かわからずガイドラインが機能しなくなってしまう傾向があります。

名久井:私たちはアメリカ本社で決められたものを受け取る側でもあるので、「温かい感じ」とか、「革新的でサイバー」という表現があっても、日本語でのニュアンスがよくわからないという難しさもあります。

堀口:特に海外とのコミュニケーションにおいては、ガイドラインの設定が難しいですよね。日本語は抽象的な表現が多いので、違ったニュアンスで伝わってしまうと。

小木:ニュアンスが変わると、プロトコルを合わせるのはなかなか難しいですね。

堀口:そうですね。こうした影響で、ブランドの一貫性が崩れる状況が多々あるのではないかと思います。打つ手としては、ガイドラインやテンプレートが有効なツールだと考えられますが、ガイドラインを作って終わりにしてしまい、それを守ることが目的化してしまうこともあって、そこにマネジメントの限界を感じます。

堀口高士|Takashi Hori株式会社アマナ/Department Manager / Project Director
堀口高士|Takashi Horiguchi
株式会社アマナ/Department Manager / Project Director
事業構想大学院⼤学 修⼠課程(Master of Project Design)修了。家電、モビリティ、食品、飲料、通信、インフラなど幅広い業界の企業が抱える、さまざまなコミュニケーション課題をクリエイティブで解決するディレクターとして活動している。

小木:解決のためにはどうしたらいいのでしょうか?

堀口:一貫性を守る戦略に対する施策としては、ガイドラインを作る、チェック機能を作る、アセットを管理する、社員浸透するなどがあります。実行に関しては、人がメインになっていたところにAIの仕組みを入れていくことが重要です。AIは客観的な分析や表現ができるので、その特性をうまく活用していくのがポイントかなと。感覚的で運用困難なブランドらしさを、AIを活用したブランドらしさのマネジメントに転換していくということですね。

一貫性を守る戦略に対する施策の資料1

一貫性を守る戦略に対する施策の資料2

小木:AIに全部組ませるのではなくて、あくまで人とAIをうまく融合させるという考え方ですか。

堀口:AIにガイドラインを学習させても、人間の判断が入らないと推進できないところがあります。我々のアプローチとしては、AIと人のクリエイティビティを合わせたマネジメントの方法がいいと思います。プロンプトでコントロールする、評価システムでコントロールする、それをやることで誰もがブランドらしいビジュアルを作れる、選べる、指示できる、そういった仕組みを作るということです。

一貫性を守る戦略に対する施策の資料3

堀口: 現在、「らしさ」を指示するAIプロンプトビルダーという形で、アマナでプロンプトを作るツールを開発中です。日本語でもプロンプトを入れられますが、AIはそもそも英語圏のツールなので、英語のほうが精度がよくなります。精度のいい英語のプロンプトが作れる、快適なシステムで生成できるようなツールを作っています。

小木:「らしさ」というのがブランドのこのビジュアルは本当にブランドらしいのかにつながりますよね。

堀口:とはいえ、「らしさ」というのはすごく抽象的です。こういう余白がありすぎる言葉をちゃんと定義することで、効果的なプロンプトを作ることができるシステムになるのではと考えています。

Fireflyのカスタムモデルは、画像を入れるとそのトンマナでビジュアルが出てきますが、その際にもプロンプトが大事。プロンプトビルダーを使うと制御しやすくなるのではないかと思います。「らしさ」を評価するAIスコアリングは、出てきた画像を入れ込むと、それがブランドらしさに適合しているかを評価してくれるシステム。これは点数が付く形になっていますが、重要なのは点数ではなく、「こう直したらブランドらしくなるよ」と提案してくれるところ。そのため、外部のクリエイターから出てきた画像に対して「何か違う」「どう指示すればいいのか」と感じる部分をサポートしてくれるサービスになるということです。

小木:あらかじめ言語化された「らしさ」があるから、要素分解できるということですね。

「らしさ」を指示するAIプロンプトビルダー

堀口:最終的には人が判断しなくてはならないですし、元となるビジュアルをどう作るか、ブランドらしさをどう定義するかは人が定義するものだと思います。人が考えるところとそれを制御する部分にAIを活用し、一貫性を保っていく仕組みを作っていくうえで、アドビさんとの協業も進めていきたいと考えています。実際にある企業で行ったアプローチですが、左がベーシックなプロンプトで生成したビジュアル、右がAIが理解できる言葉で構文化したプロンプトです。らしさをきちんと言語化し、それを活用した構文を構築すると、一貫性をもったビジュアル生成が可能になります。

左がベーシックなプロンプトで生成したビジュアル、右がAIが理解できる言葉で構文化したプロンプト

堀口:この仕組みをプロンプトに反映させる場合、一貫性を持つブランドらしさの価値思想をしっかり言語化しないといけません。それができるとイメージの共通言語、共通認識にもつながるし、評価システムの評価指標を作ることにもつながるという結果が出ています。

Adobe Amana seminar

Part2:ブランドの一貫性をAIで保つために必要な準備

堀口:ここから、参加された皆さんと共にワークショップに入ります。テーマは「らしさのビジュアル言語化」。ブランドらしさとは何かを見直していただいて、プロンプトに応用できるように定義を考えていきましょう。皆さんに、ビジュアルの言語化にチャレンジしていただくわけですね。「このビジュアルは本当にブランドらしいのか?」と考え、それがなぜらしいのか?らしくないのか?を言語化していきます。そのプロセスを経てブランドのコアとは何かを紐解くと、らしさが言語化されていくのです。

ワークショップテーマは「らしさのビジュアル言語化」

堀口:まず、お手元のパソコンで自社ブランドを検索して画像を表示し、その中から自社ブランド「らしい」「らしくない」をフォルダに振り分けてください。そうすることで、自社のブランドがどのように社会の中で表示されるのか、それをお客様がどう見ているかが感じられます。そこで分類したものを、なぜ「らしい」「らしくない」のか、言葉にして付箋に貼ってください。

その後で、同じテーブルで発表し合い、他の方から質問攻めにされましょう。「それって御社らしいのですか?」と聞いてもらうことで、自社らしいかどうかの認識をし、ブランドの解像度を上げていくといいと思います。

ワークショップ。テーマは「らしさのビジュアル言語化」

堀口:今、会場で耳にしましたが、コンテンツ制作と発信をTikTokerにお願いするけど、作ってもらったビジュアルがブランドらしくないことがあるそうです。その企業ではスポーツ選手を広告ビジュアルに起用していますが、その選手に対する信頼性とTikTokerが挙げた画像の信頼性とどこが違うのか、そこの解像度を上げていくことで、ブランドにふさわしい画像が出せるようになっていくのではと思います。

カスタムモデルにビジュアルを入れる際にも、プロンプトで的確な指示を入れないとトンマナが崩れてしまいます。そうしたブランドらしさをマネジメントする観点を意識しながら、AIに向き合っていくのが重要です。

Part3:自社ブランドを資産データ化し業務に組み込む

名久井:言語化されたブランドの概念をいかに社内で共有可能な仕組みにしていくか、そこにアドビがどのように関与できるかについてお話します。

名久井舞子|Maiko Nakui アドビ株式会社/Creative Cloud シニアソリューションコンサルタント
名久井舞子|Maiko Nakui
アドビ株式会社/Creative Cloud シニアソリューションコンサルタント
主にクリエイティブ製品の製品担当として多様な業界に対して活用情報を訴求。ビジュアル品質と生産性、コミュニケーション精度を上げるための最新のアドビ製品活用情報を提供。企業の課題解決、制作ワークフロー開拓を支援。

名久井:アドビのツールは、商用利用を前提としたAIとして設計し提供しています。
当社の調査によると、生成AIの活用において懸念されるのは、有用性や正確性などクオリティの部分が気になるという反応が多いですが、それ以外だとセキュリティや法務リスクが曖昧であることに不安を抱かれています。あと、社員の皆さんに生成AIを使うことの正しい教育、ガバナンスの難しさも感じているとのことで、どのようなリスクを正しく感じていればいいか、また社内浸透の難しさもあると思います。

アドビのツールは、商用利用を前提としたAIとして設計し提供しています

名久井:そういった懸念点を汲んで設計されているFireflyは、法務の方に通りやすい生成AIとして使っていただいていることが多いです。学習データに使用されるのはAdobe Stockのライセンスコンテンツやパブリックドメインからのものがメインで、ウェブスクレイピングは行っておりません。お客様に入力していただく情報の再学習はしませんということを、あらためて伝えておきたいです。

さらにクリエイター還元ということで、学習素材を提供してくれたクリエイターに対して、対価を支払う契約を結んでいます。こうした安全基盤があって、組織的にブランドを維持する仕組みとして安心して使っていくことができるわけです。

企業で生成AIを使う際の安全基盤

名久井:ここで自社事例を紹介します。2025年11月にBlack Fridayの告知をグローバルに展開するという案件がありました。

まず、Fireflyと人の手によって作成されたアセット10数枚を用意して、カスタムモデルで学習させました。定型構文によるプロンプトで、各国のいろいろなロケーションのイメージに展開。レイヤー違い、サイズ違い、ワールドワイド展開などローカライゼーションコンテンツを量産していく仕組みを構築し、テンプレートの要素の流し込みによっていろいろなサイズに適応させました。

この方法によって5日間で52,000のバリエーションを実現。PhotoshopやIllustratorのような、デザインツールで編集が可能な要素を残した状態でアウトプットもできます。AIで完結させることもできるし、人間の手を介在させることもできるわけで、堀口さんの話にあった「AIと人間が作る」ことでサポートができるのが私たちのツールベンダーのあり方だと思っています。

キャンペーンビジュアルを学習>生成により拡大1

キャンペーンビジュアルを学習>生成により拡大2

名久井:カスタムモデルで学習の比較をさせてみたものを紹介します。アドビのロゴに東京駅のビジュアルを足して、イメージを膨らませてみました。プロンプトを入力させたところ、BEFOREは標準のFireflyでアウトプットしましたが、アドビのロゴとはいえないものを模しています。

カスタムモデルを起用したAFTERだと、アドビのロゴが合っていて、アートの一部を飛び出させて立体感を演出させた感じは、空気を読んでくれている印象があります。
このようにカスタムモデルであれば企業さん独自のデザイン哲学をデータ化して、長く使える資産として安心安定的に活用できます。

カスタムモデルで学習の比較をさせてみたものを紹介

カスタムモデルで学習の比較をさせてみたものを紹介_トレーニングされたモデルが基盤に

名久井:次にプロセスの共有についてですが、アドビのFireflyはいわゆるPhotoshop、Illustrator、InDesignなど以前からのアプリケーション機能を切り出したAPI(Application Programming Interface)によって、繰り返しのタスクを自動化できたり、既存の仕組みがある場合はその中に組み込むこともできたりします。

たとえば下記の図のように、APIの組み合わせによって視覚的に触れるインターフェースを構築して、その中でカスタムモデルを応用することもできます。

アドビのFireflyはいわゆるPhotoshop、Illustrator、InDesignなど以前からのアプリケーション機能を切り出したAPI(Application Programming Interface)によって、繰り返しのタスクを自動化できたり、既存の仕組みがある場合はその中に組み込むこともできたりします。

名久井:ではここから直近2週間で、何をすればいいでしょうか?

まずは、「ブランド“らしさ”の仕組み化」を業務選定しましょう。とりかかりやすいのは、ブランドトーンが安定していて変化の少ないもの、ビジュアルのバリエーション展開など量が多いもの、ブランドの判断者が明確なもの。

仕組み化は小さく始めても効果が見えやすいので、次の一手につなげやすいです。ブランドの言語化を完成させ、ブランドの棚卸しをしたうえで何から取り組めばいいかを考えていただくといいと思います。

直近2週間で、何をすればいいでしょうか? まずは、「ブランド“らしさ”の仕組み化」を業務選定しましょう。とりかかりやすいのは、ブランドトーンが安定していて変化の少ないもの、ビジュアルのバリエーション展開など量が多いもの、ブランドの判断者が明確なもの。

企業内でのAI活用に関するQ&A

Q:ブランドパーソナリティのブレについて。末端の制作物になるほど、ブランドより「売り」に直結する表現に偏ります。何か良い解決策はありますか?

堀口:AIで制御するのがポイントで、カスタムモデルでビジュアルを通じて制御する、プロンプトで制御する、スコアリング評価する、この3つのポイントをしっかり組み込んでいくことで、そういったギャップも少しずつ減っていくのではないかと考えています。具体的に言語化したり数値化したりすることは避けては通れないですし、それをしないとAIは判断しないので、人間がコントロールするところですね。


Q:コストと成果について。大量にコンテンツが発生する場合、単純にコストアップにならないでしょうか? 現状よりも運用コストを下げつつ、質と量を上げていく道筋はありますか。生成AIでどこまで内製化できるか、どこまで代理店やエージェンシーを頼ったほうがいいのでしょうか。

堀口:大量のコンテンツ制作は、ブランドらしさを制御できなければコストが上がります。制作コストだけでなく、コミュニケーションコストもです。そうならないように、内部でしっかりとらしさの規定が作れれば、それをベースとしながらアウトソーシングをすることができ、効率化につながると思います。その規定をブラッシュアップしていく行為の繰り返しが、ナレッジの蓄積となりブランドが強固になっていきますね。

阿部成行さん(以下、阿部):テクノロジーによってEnd-to-Endでつながるようになってくると、作ったものがどう売上に貢献しているのかが、ダイレクトに見えるようになってきました。そうすると、パーソナライズすると売上が上がるというのが統計的にわかってきています。であるならば、どういうバリエーションを作ったらどうコンバージョンが上がるのかという知見をためていくのが、ポイントになります。


Q:セキュリティや権利問題を解決した中での商品企画や、マーケティングへの生成AIの活用事例を社内で実績を出したいです。どういうアプローチでどういう点から着手すべきでしょうか?

名久井:まずは小さく始めて早期に成果が出やすいものから着手するのがいいかなと思います。たとえば、ブランドの仕組み化について全ブランドを仕組み化して社員全員に周知、となると規模が大きく、取り組む価値はありますが時間がかかってしまいます。ミニマムに試してPOC(Proof of Concept:概念実証)をしてみるなど、優先順位の決め方としてそういう観点を持っていただいてはいかがでしょう。

セミナー参加者の企業内でのAI活用に関するQ&A

Part4:組織で生成AIを活用するためのフレームワーク

阿部:ここまで、ブランドをどう言語化して構築していくのかという話をされてきたと思いますが、デジタルマーケティングを管轄している我々として、それを組織内で展開しながらさらにマネタイズをしていく方法をお伝えします。

私も日常的にAIで調査をしていますが、追いつかないくらい変化が早いですよね。特に、消費者であるお客様のほうが変化してきているなと感じています。お客様が製品などを検索する時に、2028年までにオーガニック検索よりAIに相談する方へ、半分は移行するだろうと予測されています。

これはアドビ調べですけど、オウンドメディアに送客する2割がすでにAIに置き換わっているというデータも出ています。さらに、送客の量だけではなく、いわゆる質・コンバージョンもAIから送客してもらったほうが高いというデータもあります。

阿部成行|Shigeyuki Abe  アドビ株式会社 /デジタルエクスペリエンス事業本部
阿部成行|Shigeyuki Abe 
アドビ株式会社 /デジタルエクスペリエンス事業本部
1992年、米国アルダス社の日本法人設立に参画し、日本のDTP市場を切り開く。1994年にはマクロメディア社の設立メンバーとして、Flash技術を軸にインターネットビジネスの発展に寄与。2005年にアドビによる買収を経て、現在は生成AIを含む最新技術を駆使して顧客体験を革新する市場開発を推進。

AI ECONOMY 知的選択が自動化される経済

阿部:今まで人間の感情に対してアプローチしていたブランドが、ある種、機械というかロボットに対しても認知してもらわないといけなくなり、お客様がエージェントを通じてインタラクションする中で、どのような体験を提供していくのかをきちんと設計する必要がある時代になってきました。

お客様が体験を望まれているときに、コンテンツを一つ作って終わりにするのではなく、コンテンツの提供をシステムとして回していくことが求められる、とアドビは捉えています。お客様にどう届け続けていくのかを可視化し、フィードバックをしながらより最適化していこうと、デジタルマーケティングの部門では考えています。

意図に沿った、よりパーソナライズされた体験が求められる

阿部:お客様に届けるコンテンツを属性ごとにバラバラにしてAIにタグ付けさせ、行動データとの相関関係を探っていくと、どの属性にどう刺さったかがわかってきます。これにブランディングを組み合わせることによって、どういう表現がコンバージョンに影響するのかが検証できるようになってきました。さらに、アドビが今開発しているアプリケーションでは、コンテンツを作る際にブランドガイドラインをきちんと認識し、それに沿って組み立てられるようになりつつあります。

ブランドコアを作った時に、どうやって売り場までつなげていくのか、たとえばグローバル企業で多いのは、遠いところにブランドを届けようと思っても途中で勝手な解釈をされて全然違う表現になってしまうことが起こります。アドビのツールでは、システムとしてブランドコアを守りながら各チャネルに展開していく、ということを実行しようとしています。

コンテンツアナリティクス:エンタープライズ規模でコンテンツと効果を紐づけて検証

コンテンツのパフォーマンスを属性レベルで分析し、コンテンツのROI向上のためのインサイトを提供

小木:以前と比べて今、領域の重なり合いの変化はどんな感じですか?

阿部:いちばん大きな違いは、作りっぱなしになっていないということ。CMなどは費用対効果を問われると、効果はあってもそれを数値で示すのは苦手なチャネルだったと思いますが、今みたいにデジタルチャネルが中心になってくると、かなり正確な答え合わせができるようになってきました。

さらに属性に対してかなり細かい粒度で何が刺さったのかがわかるようになってきた中で、今度はシステムとして回せるようになってきたときに、ブランドをどう担保していくのか、しかもブランドをどう発展させるのかが、これから起こっていく流れだと感じています。

<アドビ×アマナ共催セミナー> スピーカー:名久井舞子(アドビ)、阿部成行(アドビ)、堀口高士(アマナ) モデレーター:小木哲也(アドビ)

<アドビ×アマナ共催セミナー>
スピーカー:名久井舞子(アドビ)、阿部成行(アドビ)、堀口高士(アマナ)
モデレーター:小木哲也(アドビ)

<記事制作>
取材・文:大橋智子
取材撮影:INFOTO

SOLUTION

A³ | amana AI Architects

A³ | amana AI Architects

A³|amana AI Architectsは、「AIの進化を、美意識の進化へ」というビジョンのもと、生成AIを“ブランドに最適化する”ソリューション「AI Creative Architecture」を核に、企業のブランド表現を次世代の制作基準へアップデートするプロフェッショナル集団です。

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