今さら聞けない著作権の基礎を解説する「クリエイターのための著作権解説」。第1回から4回にわたり著作権について解説してきましたが、読者の皆さんの中には写真に写っている人やモノの権利はどうなっているの?と疑問に思われている方もいるかもしれません。
そこで今回から少し著作権を離れて、人やモノなどの被写体の権利について考えてみましょう。まずは、人物の権利について解説します!
人には自分の肖像(人の姿形およびその画像、氏名など)を無断で利用されない権利があり、勝手に写真を撮られたり、公表されたり、利用されたりしないよう主張することができます。
著作権と違い、日本では肖像権に関する明文法がありませんが、人格権の一部として判例によって認められています。ただし、法律がないため保護期間や譲渡・相続についての規定はありません。
たとえば、10年前に死んだ人の写真を使いたい場合はどうすればよいのでしょうか?
肖像権は本人のみに帰属する「一身専属権」である(本人の死亡と共に消滅する)という学説もありますが、その消滅時期に関してははっきりとした基準はありません。
亡くなった人の肖像を無断で使用すると遺族からのクレームにつながる可能性もあるので、安易に使用することはおすすめできませんので、可能な限り、遺族の許可を得て使うようにしましょう。
有名人の場合、報道目的で肖像を使われることが避けられない反面、商業的・広告的な目的では、無断で肖像を利用されない権利、パブリシティー権が認められています。
肖像権同様、日本ではパブリシティー権に関しても明文法がありませんので、判例を基に判断することが必要になります。ちなみにアメリカの場合、肖像権・パブリシティー権の保護期間は
「建物の肖像権が……」「犬の肖像権って……」、こんな会話をたまに聞くことがありますが、すべて誤りです。肖像権・パブリシティー権は人格権を根拠としているため、人固有の権利とされており、動物やキャラクター、物には認められていません。ただし、動物やキャラクターにも著作権やその他の権利が認められる場合がありますので、権利フリーと考えてはいけません!
まとめ
・ 人には自分の肖像(姿形およびその画像、氏名など)を無断で利用されない権利、肖像権がある。
・ 有名人の肖像には顧客吸引力があるため、パブリシティー権という権利がある。
・ 肖像権は人にのみ認められた権利で、動物やキャラクターにはない。
イラスト:ひらのあすみ
amana著作権勉強会
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