今さら聞けない著作権の基礎を解説する「クリエイターのための著作権解説」。第3回は「著作者」について、詳しく紹介。わかっているつもりでも、実は奥が深い「著作者」。誰がどういった態様で権利を持つかによって、保護の及ぶ範囲が変わってきますので注意が必要です。
前回の『著作権の種類』で解説したように、著作権には人格的権利を保護するための「著作者人格権」と財産的権利を保護するための「著作権」があります。「著作者人格権」は「著作者」本人にのみ帰属する権利ですが、「著作権」は譲渡・相続が可能なので、その権利を受け継いだ人が「著作権者」になり得ます。
たとえば、画家Aさんがいたとします。
Aさんが描いた作品は、Aさんが生きている間は原則として著作者人格権も著作権も本人が持っています。
ですが、Aさんが亡くなった場合、著作者人格権は相続できませんが、著作権はその遺族が相続することができます。
著作者と著作権者の違いは、下記の表を参照してください。
複数の人が共同で制作したものは「共同著作」と呼ばれ、そのすべての制作者が著作者となります。たとえば、3人の共同著作を使用したいと思った場合、3人全員の許諾が必要になりますし、保護期間も最後の1人の死後70年経過するまで存続します。ただし、資金や企画を出しただけで制作に携わっていない人は著作者とはなりません。
従業員が業務上制作したものは以下の5つの条件を満たす場合、「法人著作」として会社等の法人が著作権を有すことになります。
① 法人その他の使用者の発意によって創作されたもの
② 従業員の創作である
③ 職務上の創作である
④ 法人の名義で公表されたもの
⑤ 契約や職務規定等において、従業員を著作者とする定めがない
ただし、プログラムの著作物に関しては、法人等の名義で公表されたものであるという要件は必要ありません。
まとめ
・ 「著作者」は著作物を制作した人のことを指し、原則的に著作者人
・「共同著作」では、制作に携わった全ての人が著作者となる。
・ 従業員が業務上制作したものは、一定の条件を満たせば「法人著作」となり、会社が著作者となる。
さまざまな著作者についての違いについて、理解の手助けになったでしょうか?
次回は、著作者の違いによって、微妙に異なる保護期間について解説します!
イラスト:ひらのあすみ
amana著作権勉強会
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