最近よく耳にする「著作権」。モノを創るクリエイターであれば、誰しも気になる権利ですが、「難しそう」「今さら聞けない」とお悩みの方もいるかもしれません。そんな方に贈る新連載「クリエイターのための著作権解説」。第1回の著作権、著作物とは何か?に続いて、著作権マスターのケイコ先生が著作権では具体的にどのような権利が保護されているのか解説します。
※2020年11月10日更新
著作権には、著作物を作った人(著作者)の人格的な権利を守る「著作者人格権」と財産的な権利を守るための「著作権」があります。
前回お話したように、著作権とは「人間の思想または感情を創作的に表現したもの(著作物)を排他的に支配する権利」のことで、原則的に創作時から著作者の死後70年間保護されます。では、実際にどんな種類の権利が守られるのか、詳しくみてみましょう。
著作権には、下記のような種類があります。
まず、著作者の人格的な権利を守る「著作者人格権」です。
著作物を公表するかしないか、公表するとしたらいつどのようにするかを決める権利
氏名を表示するかしないか、表示するとしたら本名かペンネームや雅号にするかを決める権利
著作物を勝手に改変されない権利
次に、財産的な権利として守られる「著作権」はこちらです。
著作物を写真に撮ったり、印刷したり、録音・録画したりして複製する権利
演劇の上演や音楽演奏のように、観衆・聴衆の前で直接著作物を見せたり聞かせたりする権利
著作物を多くの人の前でスクリーンやディスプレイ画面で見せる権利
インターネット、TV、ラジオ、有線放送などによって情報を発信する権利、またそれによって多くの人に見せたり聞かせたりする権利
小説や詩などの言語の著作物を朗読するなど、口頭で多くの人に聞かせる権利
美術の著作物や写真の著作物を展示する権利
有償・無償を問わず、映画の著作物を販売したり、貸したりする権利
映画の著作権以外の著作権の原作品または複製物を公衆に譲渡(販売などの方法で多くの人に提供)
レンタルCD・DVDのように、著作物の複製物を多くの人に貸す権利
著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化するなどして二次元的著作物を貸す権利
自分の著作物を原作とする二次的著作物を利用する際に、二次的著作物の著作権者と同様に利用する権利
この他、演奏者や放送事業者など、実際に著作物を作ったわけではないけれどその伝達に寄与した人の「著作隣接権」という権利も認められています。
「著作権」は財産的な権利なので、譲渡・相続することができますが、「著作者人格権」は著作者だけに認められた権利なので、譲渡・相続ができません。
著作権は原則的に著作者の死後70年間保護されますので、著作者の死後はその権利を相続した人が「著作権者」となり、権利が存続します。また、著作者の存命中であっても売買等で権利を譲渡することが可能です。
一方で、著作者人格権は著作者本人のみに帰属する権利なので著作者の死後は誰もその権利を引き継ぐことはできません。ただし、死後であっても著作者人格権を侵害する行為をすることは禁止されているので、注意しましょう。
著作権としてどのような権利が保護されるのか、理解の手助けになったでしょうか?
次回は、複数の人が共同で制作した場合や、会社で制作した場合どうなるのか、「著作者」について詳しく解説します。ご期待ください!
※2020年11月10日更新
amana著作権勉強会
amana著作権勉強会
昨今、SNSやオウンドメディアなどでさまざまな情報コンテンツの発信が増えている中、それに比例してコンテンツにかかる権利トラブルのリスクも高まっています。アマナでは長年のクリエイティブ制作の中で培った著作権に関するナレッジを、セミナーコンテンツ『amana著作権勉強会』としてご提供。 さまざまなトラブル事例をもとに、情報発信を行う際、注意しなければならないポイントを解説します。