ストックフォトやイラストの模倣&パクリは、どこまで許される?

連載「写真の権利」、第4回のテーマは、他人の表現の模倣、いわゆる「パクリ」についてです。ストックフォト素材の活用現場で比較的起こり易い以下3つの場面を例にとり、そこでの問題点やリスクについて詳しくみていきます。

 1 : ストックフォトで作ったカンプとそっくり同じ構図で撮影をするケース
 2 : 他人の写真からイラストを書き起こすケース
 3 : 他人のイラストを加工して別のイラストを起こすケース

※2020年11月27日更新

CASE1 : ストックフォトで撮影用のカンプを作成その構図のまま新規撮影をする

とくに広告ビジュアルの制作現場では、よくあるシチュエーションです。クライアント向けのプレゼン資料において、完成予想図(カンプ)にストックフォトを使って、それと同じ構図で撮影を行うケース。この行為には、2つの問題が潜んでいます。

まず一つ目は、新規の撮影案件にもかかわらず、ストックフォトをカンプ制作に使用している点です。一体何が問題なのでしょうか。

実はストックフォトの利用規約で認められている「カンプ使用」とは、あくまでもその素材そのものを使用するかどうかを検討するために認めているのであって、最終的に素材そのものが使用されない撮影用のカンプとしては使用を認めていません。このことをきちんと理解している人は結構少ないのではないでしょうか。もっともストックフォト業界全体が、このことを長きに渡って黙認してきたのも事実です・・

さて、二つ目の問題は、ストックフォトで表現されている構図やアイディアを、無断で借用してしまっている点です。これはまさに「パクリ」です。

著作権法に、以下の条文があります。


著作権法 第27条「翻訳権、翻案権等」

著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

これはオリジナルの作者の独占的な権利として「翻案」することを認めている条文ですが、「翻案」とは、既存の著作物のアイディアを用いて新たな著作物を創り出すことをいうので、元のストックフォトの具体的な構図や表現を、新規に撮影する写真表現に借用することは、この翻案権の侵害になる可能性があるというわけです。

大規模な広告キャンペーンで使用するメインビジュアルであればあるほど、トラブルが起きてしまった際のダメージも巨大になります。オリジナル作家への賠償金の支払いのみならず、クライアントやそのブランドへ与えるネガティブインパクトは計り知れず、安易な模倣は絶対に避けなければなりません。あくまでもイメージを共有するためのサンプルとして使用するレベルに留めておく必要があります。

CASE2 : 他人が撮影した写真からイラストを書き起こす

この行為も他人の著作物である元の写真の翻案にあたる可能性があるため、NGです。

写真を画像処理ソフトでイラスト調に加工して無断で使用することはもちろん、仮に手書きで模写したとしても同じことです。写真の輪郭線のトレース(線でなぞって書き写す行為)も翻案と見なされる場合があるので要注意です。ケース1同様、参考にする程度にとどめておかないと、大変なトラブルに発展してしまうリスクがあります。ぜひ肝に銘じておきましょう。

CASE3 : 他人のイラストを部分的にトレース、または新たに加筆して別のイラストを起こす

こちらも、無断で行った場合はケース2と同様に他人の著作物の模倣もしくは翻案、場合によっては同一性保持権の侵害にあたる可能性があります。

部分的であればバレないと思っても、オリジナルの作者には一発で見抜かれますし、一般人から見ても、線の流れや角度などの一致、全体のテイスト感の相似など、写真以上に模倣したことが分かり易いのもイラストの特徴です。実際にこの手のトラブルは後をたちません。ただし、正規にライセンス購入したイラスト素材を、部分的に使ったり、コラージュして新たな制作物を作り上げることは全く問題ない(特別な規制がある場合は別です)のでご安心ください。

市販のストックフォトであっても、無断での模倣は著作権侵害になる可能性あり

偶然似てしまった場合は大丈夫でしょうか?

これは、私が講師を務める著作権セミナーでも度々いただく質問の一つです。

はい、偶然の一致は何ら問題となりません。それと、仮に何かを参考にしたとしても、元となる作品にそもそも表現上の独創性が認められない場合は、侵害そのものも発生しないとされていますので、極端に神経質になる必要はありません。

どこまでのパクリだったら許されるのでしょうか?

こちらもよくいただく質問ですが、明快なガイドラインを設けることは極めて困難です。判断する上での参考資料としては、過去の裁判事例を参照して見る方法があります。たくさんの事例を共有することが、トラブルを未然に防ごうという気風や文化を醸成することにつながりますので、発生してしまったトラブル事例などについても、社内で積極的に共有することをおすすめします。
※2020年11月27日更新

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