プレゼン資料ならWeb上の画像を自由に使える? Webと著作権

連載「写真の権利」、第二回のテーマは、皆さんも何かと作る機会が多いプレゼンテーション資料におけるネット画像の使用についてです。プレゼン資料の多くは、限られた関係者の間だけで共有される場合が多く、実際に無断で使用していることが外部に漏れてトラブルに発展するケースは少ないでしょう。しかしこんな万引きのような行為を繰り返していると、リスクはどんどん積み重なっていくばかり。トラブルを未然に防ぐためにも、正しい知識を知っておきましょう。
※2020年11月27日更新

ネット画像の使用は権利侵害になってしまうかも?

そもそも他人が上げたネット画像を無断で使用する行為は法的にどうなのでしょうか。これは著作権法第21条で規定されている複製権などの侵害にあたる可能性があります。

著作権法21条

著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

他人がアップしたネット上の画像や資料などを、無断で自分のパソコンにコピーする行為が著作権法でいう複製にあたるという考えです。つまり法的な観点では、ほぼアウト。しかしながら、今の時代にネット上の画像を無断でパソコン上にコピーする行為を、即座に違法扱いする考えもいかがなものでしょうか。

そこで、リスクを最小限に抑えながらネット上の画像を上手に活用する方法はないか、プレゼン資料に使用する写真を機能別に大きく二つに分けて考えてみました。

一つは、デザイン的な要素として使用するイメージカットとしての写真。もう一つは、具体的な事例やモノ・人などを明示するための参考資料としての写真です。

画像は一例です

(1)イメージカット写真

プレゼン資料をより美しく、内容をより効果的に伝える上で、写真やイラストなどの活用は非常に重要です。このような目的で使用する写真に関しては、やはり有料もしくは無料で提供されているストックフォトを活用するのが最も安全で便利な方法です。

よくプレゼン資料でウォーターマーク(透かし文字)が入ったストックフォトを使用しているケースを見かけますが、本来は提供会社が定める利用規約に違反する行為(特別な契約を締結していれば別ですが)ですから注意が必要です。最近ではプレゼンテーション使用を前提とした、安価な定額制の画像ダウンロードサービスも充実してきているので、会社や部署単位で契約するなど、安心して使用できる環境作りをしてみるのも良いでしょう。年賀状用などでもよく見かける無料提供画像ですが、著作権者本人との同意に基づく安全な画像なのかどうか、念のために確認することもお忘れなく。

(2)参考資料としての写真

そして、プレゼンテーションに説得力を付加する上で重要な、資料としての図版や写真。代表的な例としては、過去に他社で行われた事例を紹介するための写真や、特定の企業やサービス、あるいは経営者のプロフィールなどを説明するために、その企業のホームページ内の画像や、ニュースサイトなどの記事をキャプチャーして使う場合などが上げられるかと思います。このような画像を使用するにあたって、いちいち相手側の許可をとることは大変面倒な作業ですね。

「引用」の活用

実は著作権法にはこのような条文があります。

著作権法第32条 引用

1.公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

引用とは、自分の論じる説を補強するために、すでに公表されている他人の文章や図版を資料内などで使用することを指しますが、インターネット上の記事や画像は、まさに公表された著作物と言えますから、この引用の条件を満たせば、少なくとも著作権法上は問題なく他人の著作物を利用できることになります。

引用するためのルールを、簡単に5つにまとめてみました。

①引用部分を改変しないこと
 (例:画面キャプチャーを使用する)
②引用元が正しく明記されていること
 (例:出典として、サイト名やURL等を記載する)
③引用部分が本編と明確に区別されていること
 (例:囲み罫を入れる、網を引く)
④本編がメインで、引用がサブであること
⑤本編との関連性・必然性があること

上記5つのルールを守れば、仮に引用元が「無断転載禁止」と明示していたとしても、基本的には、許可を取得せずともネット上の画像を拝借して利用することができます。詳しくは、文化庁が運営する情報サイト「著作権 なるほど 質問箱」を参照してみてください。

ただし、引用元がどのような権利処理をして自分たちのウェブサイトに画像を掲載しているのかどうかまでは知る事ができませんので、潜在的なリスクが常に存在していることは認識しておく必要があります。

プレゼン資料でも、正しく権利処理された写真を使う習慣を

誰のものかも分からない画像を安易に無断使用することは、思わぬトラブルにつながる可能性があります。プレゼン資料であってもきちんと権利処理がされた写真を使いましょう。

また、引用に関しても、仮に法的には問題がなくても、無断で使われることを不快に感じるサイト管理者も少なくありません。使い方によっては引用の要件を満たさない場合も考えられますので、会社・組織単位で引用使用も含めたネット画像の利用に関するガイドラインを設けるなど、トラブル回避のためのリスク管理をぜひ検討してみてください。
※2020年11月27日更新

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