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2025年の広告・クリエイティブ業界は、引き続き大きな変革を遂げようとしています。企業のブランド担当者は、新たなメディアや進化するテクノロジー、新しいビジュアルスタイルを適材適所で活用しながら、効果的にメッセージを伝えるコミュニケーションの戦略立案が求められるでしょう。本記事では、海外でも注目されている広告・クリエイティブ制作の主要なトレンドを紹介します。2025年を見据えたブランドコミュニケーションのためのヒントとしてお役立てください。
ショート動画は2025年も広告の主流な手法になると言われています。若年層向けの広告において強力な影響力を持つTikTokやInstagram のリール、YouTubeショートといったプラットフォームでの人気はさらに拡大していくでしょう。
WORLDMETRICS.ORGが発表した2024年の統計レポートからも、消費者・マーケターともにショート動画に好意的なことがわかっています。また、Hubpostの分析でも、Instagram の動画は 30 秒以内、Twitter は 45 秒以内、Facebook の動画は 1 分以内に制限すべきとの見解を示しています。特に消費者の集中力が低下しつつあるなかで、数秒単位でメッセージを効果的に伝えることが、ブランドの成功に直結すると予想されます。
ただし、そこに消費者を引き付けるための高品質なクリエイティブが伴っていることも重要です。短い動画でも、きちんとブランドのストーリーを伝え、楽しませ、問題を迅速に解決しているか、テンポの良い編集や強調されたビジュアルエフェクトで視覚的に強いインパクトを与えられるかなどの視点が、高いエンゲージメントを生み出すための鍵と言えるでしょう。
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デジタルオーディオ広告は2025年に大きな成長を遂げ、主流になると予測されています。EMARKETERの2024年3月の調査では、米国全体のデジタルオーディオ広告費は年内に 71 億 2,000 万ドルに達すると見込まれ、ラジオ広告の支出は減少傾向にあるなかでオーディオ広告費全体に占める割合は増加しているとのことです。
これはPodcastやスマートスピーカー、各種ストリーミングサービスなどの急速な普及により、新たな機会が生まれているためです。音声コンテンツが人々の生活の一部となるなかで、デジタルオーディオ広告は消費者の日常生活にシームレスに統合されます。その結果、従来の広告手法とは異なり、まるで広告を聞くのではなく「会話している」ような親密な体験を提供します。
音楽、聞き慣れた声、キャッチーなスローガンなど、音には感情を呼び起こす独特の方法があり、広告の視聴後も、ずっとリスナーの心に残り続けます。さらにはリスナーの所在地、興味、聴いている時間帯といった行動に基づいたパーソナライズド広告の台頭も、ブランドと消費者の感情的なつながりの強化を後押しするでしょう。
スマートスピーカーが家庭に普及し、音声検索が引き続き増加しているという背景からも、デジタルオーディオ広告は 2025年に無視できないトレンドとなっています。
出典:IKEA
拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を活用した広告は増加傾向にあり、2025年にはさらなる普及で本格的に一般的なものとなるでしょう。SKYQUESTのレポートによると、2022年に約300億ドルだったARとVRの世界市場価値は、2031年までには5,200億ドル以上に増加すると予想され、技術の活用が飛躍的に拡大する見込みです。
AR技術はすでにファッション業界や小売業界での活用が進んでおり、消費者がバーチャル上で製品を試すことを可能にしています。購入前に服を試着したり、家具がリビングルームにどのように収まるかを確認したりできるようになり、購買意欲を高めるツールとして活用されています。
一方でVR技術は、旅行先のバーチャルツアーや、実際の店舗にいるかのように製品を閲覧できるバーチャルショールームなど、製品デモや仮想ツアーなどを通じて顧客を今までにない世界へ誘導することができるようになっています。
Business Moneyの見解によれば、AR/VRをカスタマージャーニーの不可欠な要素として捉え、マーケティング戦略に適切に投資を行えるブランドは、顧客エンゲージメントとコンバージョンの面で大きな利益を得ることができると語っています。
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ここ数年のデザイン業界ではレトロテイストが注目され、ピクセルアートやノスタルジーな表現が数多く見られます。2025年は、そんなノスタルジックな要素に未来的なコンセプトをかけ合わせた「レトロフューチャリズム」を取り入れたビジュアルデザインが多く登場すると予想されています。
レトロフューチャリズムとは、過去の美学やデザイン要素からインスピレーションを得ながら、現代のテクノロジーやデザイン手法と未来的なアイデアを取り入れることで、ユニークで魅力的な表現を生み出します。具体的な要素としては、1980〜1990年代を思い起こさせる幾何学的な形状、鮮やかな色彩と落ち着いた色調のバランス、ヴィンテージ感がありながらも洗練されたタイポグラフィの組み合わせなどです。アーケードゲームやネオンサインの懐モチーフを取り入れたものも消費者を引き付けるでしょう。
懐かしさのあるグラフィックと未来的かつモダンなタッチの融合によって、親しみと革新性を同時に感じさせることができます。幅広いオーディエンスとつながる方法を提供できるでしょう。
出典:FUNKi
デザイン・クリエイティブトレンドとしてもう1点、長らく主流となっていたクリーンでミニマルなデザインにマキシマリズムの要素を追加した表現が注目を集めています。
このスタイルは、例えば白いスペースにシンプルな線といったミニマルなレイアウトをベースに、大胆な色使いや特大のタイポグラフィ、豊かな色彩表現などを組み合わせたもののことを指しています。一見すると相反する2つの要素を組み合わせていますが、余白や繊細なテクスチャですっきりとしたレイアウトを保ちながらダイナミックな表現を上手く取り入れて、視覚的な印象を残しつつバランスの取れたデザインに仕上げることが特徴となっています。
2025年は、こうしたデザインとしての機能性を維持しながら、他とは一線を画すユニークなセンスを加えた表現が増えていくでしょう。
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2025年、生成AIの進化により、デザインのプロセスがさらに民主化され、プロ・アマ問わず誰でも高品質なビジュアルを生成し、クリエイティブなコンテンツを作成できるようになると予想されます。「Canva」や「Adobe」などのプラットフォームは、ユーザーにパーソナライズされたデザインの提案やレイアウトオプションを提供し、プロフェッショナルな仕上がりを支援しています。他にもクリエイティブワークフローを革新するさまざまなツールが登場し、新しいアイデアの創出や、制作プロセスの合理化を促し、クリエイティブインスピレーションを与える助けとなるでしょう。
また、電通が発表した、2025年の10の主要なメディアトレンドのレポートでも、AIの影響力はますます拡大し、生成型AIによるデジタル体験が消費者とブランドとの関わりを変えるだろうとの見解を示しています。ブランドは、AIを活用したインサイトの抽出や最適化をリアルタイムで行い、よりダイナミックでパーソナライズされたキャンペーンを計画することで、消費者とのやり取りを変革する可能性があります。一方で、「低品質なクリエイティブはリーチに悪影響を及ぼす」とも指摘しています。
AIがもたらすあらゆる面での効率化は明白ですが、スキルギャップを埋めることも急務と言えます。Autodeskの調査では、79%の企業はAI の活用で業界がよりクリエイティブになると考えているにもかかわらず、AIツールを効果的に使いこなせている従業員はわずか39%にとどまっているとの結果が出ています。あらゆる業界で「AI を扱う」能力が最も重要なスキルとされているなか、広告・クリエイティブにおいても、AIの力を最大限に活用してコンテンツを洗練させ、ブランドに合った高品質のアウトプットができる人材が求められるでしょう。
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パーソナライズされた高品質な広告体験や、時代のニーズに合わせた表現技術の活用といったトレンドは、ブランドと消費者のつながりを一変させる可能性を秘めています。最新テクノロジーやクリエイティブ向上につながる要素を適切に活用することで、企業やブランドは新たな価値を提供し、競争力を高めることができるはずです。ますます多様化する未来を見据えて、いち早くこれらのトレンドを取り入れることが成功への鍵となるでしょう。
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